フジファブリック 『TEENAGER FANCLUB TOUR』追加公演 at 富士五湖文化センター
終演後のメンバーと。お疲れさま!そして、ありがとう!
本当に素晴らしいライヴでした。心が震え、心が笑い、心が泣き、心が踊り…これほどに自分の中の奥の方から大きな「何か」が湧き上がった経験、もしかすると初めてだったかもしれません。これほど歌い手の心がわかるコンサートというのも初めてだったかも。
いやあ、大げさでなく、今まで44年間生きてきて、自分なりにいろいろなものを感じ取ってきて、本当に良かったと思いました。それほどに、今日のフジファブリックは、特に志村正彦くんは素晴らしかった。この歳になって、若者からこんなに力をいただけるなんて…本当に私は幸せ者です。
昨日今日と私の職場では宿泊学習会が行われていました。前にも書きましたように、ウチの学校は志村くんの生まれ育った地域にあります。今日休み時間に少し外に出てみますと、その古びた街、いつものあの街が、異様な雰囲気になっていました。全国から集まったファンの人たちが、小さな月江寺駅周辺にたくさんいるんです。冷たい雨の中、熱いエネルギーが次第に集結していくその感じが、日常のそこを知っている私たちにとっては、本当に異常にさえ感じられました。
駅にはお手製の横断幕が。「夢よ叶え!聴かせておくれよフジファブリック!」「富士山から世界へ響け!フジファブリック!」もうそれを見ただけで、私の目には涙が…。ああ、本当に彼らが来るんだ。この月江寺駅の改札を全国のファンが通るんだ。まさに夢よ叶え!です。志村くんにとっては12年越しの夢の実現。私にとっても、そう、前に『蒼い鳥』の記事のコメント欄で教え子と、そしてZeppライヴの記事で友人たちと妄想していた富士五湖文化センターでの凱旋ライヴが実現するんですから!
実は昨日、学習会の中で三者懇談をしまして、ウチのクラスのある生徒の親と志村くんの話をしたんです。お母さんは志村くんの保育園時代の先生でして、3歳の頃の「まーくん」をよ〜く覚えていたんですよ。その話がまた、本当にいい話でしてね。ああ、三つ子の魂百までとはよく言ったもので、その頃の彼にすでに今の彼の片鱗がうかがえたんです。表現は下手だったけど、ものすごく繊細で…。いろいろと胸に迫るお話をいただきまして、生徒そっちのけでお母さんと盛り上がる盛り上がる(笑)。
さて、そんなことも重なりまして、今日の朝から私の心はフジファブリック一色(かなりサイケな一色ですけど…)だったわけですが、少し早く学習会を上がらせてもらい、東京方面から駆けつけた数人の友人と落ち合って、いざ富士五湖文化センターへ!
現場はそれこそ非日常的な状況です。いつもの見慣れた、今にも壊れそうなあのコンクリートの塊(!)の前に若い女性を中心とした時ならぬ長蛇の列が…。いやがおうにも興奮は高まります。そして、その時奇跡が…。
連れの一人が志村くんのお父様を見つけたものですから、さあここからはいつもの突撃力の発揮です。私も志村くんの詞(詩)を教材として使わせてもらっていたりしますから、これはしっかり挨拶せねばということですね。実は私ご家族とは全く面識がありませんでした。しかし、こちらから「○○高校の○○と申します、本日はまことにおめでとうございます…」と言いかけたところで、お父様、「ああ、ああ、どうもいつもブログ読ませていただいてます…」と…な、な、なに〜〜!!??ぐわぁ〜!あ、ありえない…えっ?ど、どうして私のこのブログを知ってるの?
その後、お父様がお母様に私を紹介してくれまして、ご挨拶をしましたら、ななななんと、お母様、私の名前まで知ってらっしゃるではないですか!「いやあ、本当によくわかっていらっしゃて、詳しく分析してくださって、授業で使っていただいたりして…これからも応援してください…」いやいや、恐縮するのはこちらですよ…。もちろん応援し続けます!!
開演寸前にこの驚きはないでしょう!本当に不思議なものです。いやはや、ブログやってて良かった。毎日ヒーヒー言いながら書き続けて良かった。なんというご褒美でしょう。感謝感謝です。
さて、興奮冷めやらぬ状態で着席した(前から10列目の真ん中という好位置!)我々を待っていたのは、見慣れたあの富士山と忠霊塔の五重の塔の縫い込まれた緞帳と、なんと下吉田中学校の生徒たちの歌声による(志村くんの声も成分として含まれている)「大地讃頌」(のCD)!それもフルコーラス!これには笑わせていただきました。ハハハ、志村くんらしい演出ですな。
さあ、ついに緞帳が上がりました。ここからはもう何をか言わんや…昨年、Zepp Tokyoと両国国技館のライヴに参戦し、存分に彼らの世界を堪能したつもりだったんですが、いやあ、全く違った印象も持ったのは、これはやはり地元凱旋ということなんでしょうか。そう、たしかにそれもあったと思います。なにしろ、志村くんのTEENAGERの頃の夢が今ここで実現しているんですから。あの忠霊塔で見た「市民会館で日本中からファンを集めてコンサートをやる」という夢が、今まさにこうして現実のものになっていく…。
そして、それを温かく迎える私たち地元民の気持ちと、その現場に居合わせメンバーのみんなと一緒に一つの物語を紡ごうとする全国のファンが終結して、この奇跡が生まれたんでしょうね。演奏からMCまで、まさに神がかっていました。楽しく、切なく、熱く、懐かしく、いとおしく、色っぽく、彼らの音楽が富士五湖文化センターに響き渡りました。何か、40年近い歴史を刻み、そしてそろそろその命を終えようとしているあの建物も、ともにライヴを楽しんでいるかのように感じられました。
中盤、「線香花火」から「浮雲」へと流れていったあたり、本当に切なかった。涙が止まらなくなってしまった。隣でカミさんも号泣。今までも何度も書いてきましたが(右の人気検索ワードをクリックして読んでみてください)、志村くんの抱える、いや我々男が抱える、いや全ての人が抱える、それこそ10代の、鬱屈した、どうにも扱いづらい、壊れそうなくせにしかし妙にしぶとい、「センチメンタリズム」や「ナルシシズム」や「妄想」や「エロティシズム」や、そして「恋」でしょうか、そういう自分たちの中のドロドロした、しかし純粋な「もの」を、彼は見事に音楽に昇華して聴かせてくれました。
そう、私たち凡人は、そのやり場のない「もの」をですね、やり場がないからこそ、いいかげんに隠蔽して大人になってしまうんです。そして、時々思い出して、ノスタルジーの対象にするのが関の山です。それがフツーな大人になる唯一の方法ですから。
今日、アンコール前のMCで志村くんは、こんなようなことを言いました。「9年前、普通の大人になりたくないと思って上京した。でも、普通の大人になっていく人たちを見て、幸せそうだなと感じたりすることもあった。楽しいことだけでなく、辛いこともいっぱいあった…」そう、彼はいわゆる普通の大人の幸せを放棄して、自ら茨の道を歩んで、苦しんで、そうして我々普通の大人に普通でない幸せを分けてくれているんです。それはものすごく崇高なことですし、美しいことだと心から感じました。素晴らしい「仕事」をしているな…本心からそう思いました。
「いろいろなコトやモノがあって…この曲を歌うためにやってきた…」そう言って彼が歌い始めたのは、先日私が「茜色の夕日(フジファブリック)」に見る「もの」と「こと」として生徒たちと一緒に読み、聴いた「茜色の夕日」でした。私も涙で前が見えなくなるほど泣きましたが、志村くんも途中涙で歌えなくなってしまいました。本当にいろいろな思いが彼の脳裏をよぎったのでしょう。まさに彼は「思い出すモノ」を一つ一つ言葉にして、「コト」にしていったのでしょう。故郷を思って18の時に東京で歌ったこの歌を、今こうして故郷で歌っている…その歌が生まれた東京を始発駅とすれば、ここ富士吉田はたった一つの終着駅なのです。その道のり、その時々の風景、それぞれの駅で乗り込んできた人たち、降りていった人たち…彼はその一つ一つをかみしめながらこの歌を心の底から歌ったのでしょう。もうここまで来ますと、私のような者がとやかく言うべきものではありません…。
ただ、私はこの曲を聴いている間中、自分の中の「母性」のようなもの(初めての経験だったので、なんとも説明のしようがないのですが)が、よどみなく湧いてくるのを感じました。不思議な体験でした。頑張っている彼を本気で抱きしめたくなってしまいました。ありがとう…って(気持ち悪いなんて言わないでくださいね)。カミさんも全く同じことを感じたと、あとで申しておりました。私たちでさえこんな感じですから、お父様やお母様、あるいはおばあちゃまの感慨と言ったら、これはもうどんなものなのでしょう。
いやあ、本当に素晴らしい時間と空間を体験させていただきました。心からありがとう。終演後、全く予期せぬことになり、幸運にも直接メンバーにご挨拶することができました。彼らの優しい笑顔、そして澄んだ瞳(4人とも本当にきれいな目をしていた!)は美しかった。疲れていたでしょうに、本当に本当にありがとうございました。
私も彼らのように、少しでも生徒たちに「何か」を伝えられるような先生(大人)になろうと、今さらながら思いましたね。毎日 TEENAGER を相手にしている者として、いろいろと反省もしてしまいましたよ。
ああ、他のメンバーのことについてもいろいろと書きたいところなんですが、今日は志村くんにとっての特別な日ということで、お許しくださいね。いや、ホントにいいバンドですよ。志村くんもあの仲間たちだから、という部分もありますね。これから、フジファブリックは終着駅から折り返します。きっと新たな世界を私たちに聴かせてくれることでしょう。期待しましょう。
初参戦のカミさんもすっかりはまってしまったようです。これからも地元富士吉田の雄として、いやそれだけでなく、純粋に表現者としての彼らを、家族や生徒と一緒に応援していこうと思います。今日は本当にありがとう!生きてて良かったよ〜!そして、音楽が生む全ての縁に感謝!
本日の演奏曲目(セットリストという言い方は間違いでしょう)
1.ペダル
2.記念写真
3.B.O.I.P.
4.Sunny Morning
5.chocolate panic
6.桜の季節
7.唇のソレ
8.ロマネ
9.線香花火
10.浮雲
11.まばたき
12.若者のすべて
13.星降る夜になったら
14.銀河
15.TAIFU
16.Surfer King
17.TEENAGER
En1.茜色の夕日
En2.陽炎
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