島津亜矢 『ヨイトマケの唄』
ありました!ありました!ウチ中探したら出てきました。おとといの記事で少し触れた亜矢姫のヨイトマケの唄。これは絶対に聴いてください!聴かねば死ねませんよ。ホント素晴らしい唄です。
右の人気記事のランキングを見ますと、バンプを島津亜矢が追い上げる(そこに松田聖子とグルーヴァーズもくい込む)という、いかにも不二草紙的な展開になってますね(笑)。ワケわからないなんて言わないでください。音楽にジャンルなんて関係ありませんから。
さて…この歌ですよ!
これはソウルですか?シャンソンですか?アリアですか?カンツォーネですか?はたまたロック・バラードですか?レチタティーヴォですか?演歌ですか?ブルースですか?いや、とにかくこれこそが「唄」でありましょう。
それこそジャンルなんか関係ありません。このブログの読者さんには、ロック・ファン、クラシック・ファン、ジャズ・ファンが多いと思いますけれど、ぜひともこの魂の歌もお聴き下さい。
これは某公共放送の某番組での歌唱です。私も家内もたまたまこの番組を観ていたんですが、もう本当に号泣でした。以前、本家美輪明宏様の歌唱、米良美一さんの歌唱、桑田佳祐さんの歌唱などで、感動の涙を流してきましたが、これはまた違った意味ですごい。
女性がこの歌を歌うのも、実は初めて聴きました。いわゆる男歌を得意とする島津亜矢さんですし、亜矢さんはまさにお母様と二人三脚でやってきた方ですからね、まあある意味この歌を歌ってもおかしくはないわけですが、正直彼女が舞台に出てきて、「ヨイトマケの唄」というタイトルが出た時、私はちょっと不安になりました。それは、今まで何回か、この難曲そのものに押しつぶされてしまった人たちを見てきたからです。
それほど、この曲はあまりに直截的に深い。音楽的にはこの上なくシンプルです。だからこそ歌い手に与えられる使命は、とんでもなく大きく重要なものになります。そこに乗る真に美しい日本語を、いかに音楽と有機的に結びつけるか。いや、その逆でしょうか。いや、音楽と言葉などという二元論を排除して、単純に「歌」を語るということでしょうか。
本来私たち日本人が歌い継いできた、たとえば「和歌」の伝統というのは、まさにこういうものだったはずです。これはこの前の BUMP OF CHICKEN のライヴでも感じたことですね。言葉と音楽は、もともと一つのものだったのです(もちろん言葉を離れた肉体の鼓動として生まれた音楽のジャンルもありますが…いや、声帯の震えも肉体の鼓動の一つでしょうか)。
さあ、この島津亜矢さんの「ヨイトマケの唄」、これはまさに言葉と音楽的表現の一体となった素晴らしいパフォーマンスだと思います。もちろん好き嫌いはあると思いますけれど、私は、ここに一つの理想を見ました。彼女がどのような気持ちでこの曲に挑戦し、どのような努力と試行錯誤を経て、この芸に達したか。美輪明宏さんの作り上げた言葉と音楽の世界と、島津亜矢さんの技術と魂とが、見事に強力な反応を起こして、新しい「ヨイトマケの唄」が誕生しました。
それぞれの言葉に対して、彼女がどのような表現法を使って歌っているか。演歌を歌う時の彼女とはまた違う一面がたくさん聴かれます。私のような楽器奏者にとっても、本当に勉強になりますね。ディナーミク、アーティキュレーション、呼吸、音色、音程…私が特にぐぐっと来るのは(あくまで冷静にテクニックとして聴いた場合の話ですが)、後半にある「ぐれかけたけど」の部分で音程を低くし、微妙なブルーノートを作り出しているところです。本来の音程とはなんぞやというのを教えられますね。
ここに音を載せることは本来なら憚られるべきことですが、私はどうしてもこれを皆さんに聴いてもらいたいのです。これを聴いて、そしてそれぞれに何かを感じてもらいたい。世界中の人に聴いてもらいたい。これは日本の宝です。
長いこと放送禁止の憂き目に遭ってきたこの曲が、こうして女性の手によって歌われ、NHKで堂々と放送されるようになったということも、正直うれしいことですね。それでは下のリンクをクリックしてじっくりお聴きください。おそらく期間限定の公開になると思いますので、お早めに。
Amazon 島津亜矢リサイタル2007~邂逅~
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コメント
島津亜矢の「ヨイトマケの唄」私BSで聴きました!最近我がパートナーが演歌好みになりまして・・・お付き合いしているのですが、苦手な歌手の多い中、島津亜矢の歌声は私の深いところに届きます。
「ヨイトマケの唄」には心底感動しました。
以前、某東京のデパートでお見かけしたところ、実際はもうすこしほっそりしていてびっくりしました(笑)。
投稿: komichi | 2008.05.23 10:20
残念ながら島津亜矢の歌声はまだ聞いた事がありません。
しかしiPodには三輪明宏の「ヨイトマケの唄」が入っています。いいですね~~!
すばらしすぎて言葉になりません。
「とーうちゃんのためーならーエンヤーコーラー・・・」
投稿: あなたの1番弟子 | 2008.05.23 16:30
komichiさん、こんにちは。
私もツレが演歌好きでして、最近になってようやく聴き方がわかってきたクチです。
島津亜矢さんはたしかに入りやすいかもしれませんね。
これからの円熟ぶりも楽しみです。
1番弟子よ、1番弟子って1番弟子だよな(笑)
若いのになかなかいい唄を聴いているではないか。
さすがマニアック道の継承者だな。
とうちゃん、かあちゃんのためにガンバレよ!
今度飲もうな。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.05.23 17:39