『図解<出口式>論理力ノート』 出口汪 (PHP研究所)
昨日はある意味での出口王仁三郎の後継者を紹介しました。今日はまさに正統的な後継者の本です。これは素晴らしい。今、カミさんが「痛快!」と言いながら読んでます(というか図を見ています)。自分も含めて世の奥様方に読んで(見て)いただきたい、と申しております。賛成です(笑)。
それにしても、まったく不思議なものですね。職場では出口汪さんの「論理エンジン」を教材にしていますし、汪さんのいとこである出口光さんの天命本に癒され励まされ、汪さんのお父さん出口和明さんの残した名著「大地の母」に興奮しつつ難渋し(膨大な量なので)、そして和明さんのおじいちゃんである王仁三郎の耀盌を毎日拝する…。はたから見ますと、私が出口教の信者に見えることでしょう。まあ、私は彼らの生徒みたいなものですよ。学ぶことがたくさんあります。「モノ」と「コト」の総合された、その先の世界を学べるんですね。
私の「モノ・コト論」を読んでおられる方には、論理とはまさに「コト」であり、私はどちらかというとそれを否定し、「モノ」の復権を目指しているように感じられるでしょう。
汪さんはその「論理」を身につけることを強くすすめます。「コト」の権化である「言葉」を正しく使うことこそ大切だと説きます。それだけ見ますと、私とは意見が真っ向から衝突しているように感じられるでしょう。なのになぜ私は彼に共感するのか。
彼のすごいところは、「論理=言葉=コト」を武器に受験やビジネスのリングで勝つことだけを目指しているのではないというところです。
彼はこの本の冒頭でこう述べています。
「論理は他者意識から生まれる」「恋愛によって他者の存在を知り、受験によって自立の覚悟ができる」「論理に習熟した人間は、やがて論理など意識しなくなる」「真の国際語は論理である」
つまり、彼の目指すところは、もっと先の「モノ」なんです。「コト」を通過したのちの「モノ」世界。それはなんなのか。あるいは悟りというものなのかもしれませんね。あるいはデカルト的に言うところの、分析の先の総合、知性の先の理性という世界なのかもしれません。あるいは不立文字の境地かもしれない。言語の集合体でありながら、言語以前の言語に帰っている、王仁三郎の「霊界物語」の世界かもしれない。
いずれにしても、そこには調和や協調、人間の脳ミソのレベルを超えたところの(一見無秩序、渾沌に見える)秩序世界、ミクロとマクロの統合したような世界が開けているような気がします。あのペレリマンがポアンカレ予想の証明の先に見た「モノ」。彼がこの社会から姿をくらまし、全く語らなくなったというのは象徴的です。
彼らとは実際レベルが違いすぎるんですけれど、実は私もそんなところを目指しているんです。こうして毎日書き散らしているうちに、何か全体像のようなものが立ち上がってくることを期待してるんです。もちろんなかなかそうは行かないわけですが。
やっぱり、コトはモノの一部なんだと思います(反対のことを言っている有名な方もいますけど)。論理の習得や、いわゆる勉強や、修行という「コト」が結局前提になってるんですね。人間が、目指すべきところに到達するためには、どうしても通過しなければならないコトがあるわけです。
今、カミさんが娘を叱ってました。「無理!」とか「意味不明!」とか言うなって。まったくです。最近、小学校ではみんなそう言うらしい。高校生ももちろんそうです。すぐに「無理!」「意味わかんね!」って言う。口癖になってるんです。
で、汪さんも書いてますが、そういう言葉を使っているとそういう脳ミソになってしまう。そういう人間になってしまう。そうすると、「超やべえ」とか「ムカツク」とか「キモい」とか、そんなことしか言えなくなっちゃうんですね。まさにそこには自分の感覚というものしかありません。他者意識や思いやりや譲歩や尊敬なんてものはありませんね。
それって原始人ですよねえ。言語以前の言語(笑)。我々は人間界から畜生界に行こうとしているのかもしれませんね。論理(コト)を使いこなせるのが人間なんでしょう。そして、その先の世界こそが天界なのかもしれません。できれば私はそっちを目指したいし、生徒や子どもたちにもそっちを見てもらいたいですね。その第一歩として、この本は素晴らしい導入になると思いますよ。
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