会津さざえ堂
濃〜い秋田の旅からの帰り道、ちょっと福島県に寄り道しまして、まずは喜多方ラーメンを食べました。ラーメンに詳しくない私には、普通の醤油ラーメンにしか思えなかったのですが、まあそういうものなんでしょう。いや、たしかに旨かったっす。奇を衒わず王道を行く、といった感じ…なのかな。
それで、お隣の会津若松市に移動しまして、念願の「さざえ堂参り(巡り?)」を実現いたしました。以前、私こちらの記事で「早速行かねば」と書いておりますね。7ヶ月目にして実現であります。そうそう、この前再放送されていた夢の美術館 世界の名建築100選にも選ばれていましたっけ。
このさざえ堂が鎮座する飯盛山は、言うまでもなく白虎隊の悲劇の現場であります。よって、そのような目的(ってどんな目的なのか微妙でしたが)でいらっしゃる多くの観光客でごった返しておりました。それにしてもなあ、白虎隊を可愛いお土産キャラにしちゃったり、あるいはあの石段の隣の動く歩道みたいなの、ある意味トンデモぶりでは、さざえ堂以上だったかもしれませんね。ムッソリーニが建てた碑もなんか場違いな感じだったし。日本人ってホントすごいわ。
で、いちおう白虎隊を供養しまして、土産物屋でなんだかんだ結構楽しみながら(そうそう、白虎隊なのに土方歳三がたくさんいたなあ。これも土方巽の霊のなせるわざか…笑)さざえ堂に向かいます。
まず私が驚き、そして感嘆したのは、切符売りのおばさんの呼び声です。妙に通る声で「このさざえ堂は…」って言ってるんで、てっきりテープかと思ったら肉声でした。ああやって拝観券を売りながら解説もしちゃってるわけですね。やるな。
で、そのおばちゃんから券を3枚買いまして家族4人でいよいよ拝観であります。下の娘は入り口の像(設計者の郁堂像)にびびってます。大丈夫、大丈夫、これは遊園地みたいなもんだから、となだめすかしながら、自分でも確かにこれは江戸のレジャー施設の一つだよな、などと思ったりして、いざ登楼開始。建物自体は小さいのですが、歩いてみると意外に道のりが長く感じます。第一、木造なのに全体が曲線で構成されているという実に不思議な感覚。これはすごい。なんとなく空間が歪んでいるような、あるいは自分が酔っぱらっているような錯覚に襲われます。時間の流れもおかしいのかも。
そして、最上階(?)に到着するといきなり下り坂になります。下り坂になると同じ傾斜のはずなのに急坂に感じられます。カミさんは恐い恐いと言っていました。子どもたちは、さっき上った坂を下っていると思っているようなので、ちょっと説明します。たしかに所々に安置されている「モノ」がさっきと違う。
これがウワサの二重らせん構造、木製DNAモデルか!たしかにすごい。これを設計した郁堂という禅僧もすごいが、現実に作り上げてしまった棟梁たちの技もすごい。日本のオタク道…いやいや職人道のたまものです。
右の写真は売店越しのさざえ堂です。なんていうかなあ、日本人のすごさって、こういう職人的なあるいは芸術的な、トンデモない世界に誇る物が俗っぽい商売にまみれるというかなあ、それも神聖な地での供養というか、信仰のようなものと、思いっきり俗っぽいものとの共存というか、いや、あるいは向こう側でそういうものどうしが一つになるというか、まさに二重螺旋構造のようになってるところがスゴイんですよね。行きと帰りと似てるけど違う道を歩むというかね。まさに聖俗清濁併せ呑むというか、ですね。窮屈な線引きをしないところが強いところなのかもしれないなあ。そんな気がしました。
できれば、さざえ堂を一つ庭にほしいと思いました。あるいは模型でもいいや。プラモデルとか、それこそ土産物屋で売れば売れるんじゃないかなあ。これはすごいですよ。
ある意味、本質的なところで、昨日の「鎌鼬」や土方巽の世界とも重なっているのではないでしょうか。いわゆる世界標準の「芸術」を超えたところの…やっぱり「超芸術」っていうことかあ。土方の洗礼をたっぷりと受けている赤瀬川原平さんも、実はそのあたりに敏感になっているのでは。
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コメント
さざえ堂のプラモ作ったら儲かりそうですね。
話し変わって、
バロックバイオリニストのなかでも知性派と目される某女流奏者はトマソンの大ファンでした。師匠のお宅でお会いしてびっくりした思い出があります。(もう20年以上前かな・・・)なにやらいまは無き霊南坂教会付近の坂の話で盛り上がったような記憶があります。
投稿: 貧乏伯爵 | 2008.03.31 23:58
伯爵さま、おはようございます。
プラモ作ると構造がわかりそうな気がしますね。
あっ、そうなんですか。あの方もトマソンをお好きとは。
やはり知性とトマソンは関係がありますね。
ところで、霊南坂教会の付近の坂と言いますと、
どのようなトマソンでしたっけ。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.04.02 05:57
通りすがりの者です。さきほど妙なきっかけでさざえ堂の存在を知りました。ぐぐってみると土産物は実在するようですね。サイズはわかりませんが。
投稿: 桜川 | 2010.05.17 19:48
桜川さん、コメントありがとうございました。
そうですか。
売ってないなら自分で作ろうと思ってました。
さっそく探してみます。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.05.18 19:52