『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』 北尾トロ (文春文庫)
教頭先生からお借りして読んでみました。以前、『裁判大噴火』を読んでどうもイマイチ小噴火で終わってしまったみたいなこと書きましたよね。やっぱり事態が事態なだけに不謹慎な発言(つまり噴火)は避けたのではないかと想像しています。
こちらにの北尾トロさんの裁判傍聴記はですね、そのへん結構躊躇せず爆発してまして、スカッとしちゃいました。下世話なやじ馬根性的な観点からの発言が多発しており、逆に大丈夫かなと思われるほどです。実際、不快感を持つ人も多いんじゃないでしょうか。Amazonのレビューなんか見ますとね、やっぱり女性は特に腹立ててるみたいです。ごもっともですよ。
まあ、ことが殺人やら強姦やら、そういうことですからね。特にトロさん、私たちフツーの男性のご多分にもれず、男女のドロドロ事件とか、痴漢とか、なんとなくそういう方に興味を持ってしまうわけですよ。傍聴は基本自由に事件を選択できますからね。ついついそういう方に行ってしまうのはよくわかります。テレビのチャンネルを選ぶようなものですから。
そんなわけですので、阿曽山さんの本ではどうも奥歯に挟まったような感じがしてたモノがですね、スッキリ取れたっていう感じです。これは、連載されていた雑誌の性質にも関係しますね。阿曽山さんのは月刊「創」、トロさんのは月刊「裏モノJAPAN」です。ま、そういうことですよ。表街道か裏街道かっていうこと。
それにしても、正直裁判の傍聴って面白そうですね。ぜったいはまりますよ。お金もかからないし、ドラマとかと違ってガチンコだし。教頭先生とも一回行こうかみたいな話になりました。実際、のぞき見的な教育者らしからぬ気持ちもあります…いやいや、そうじゃなくて、やっぱり勉強ですよ、勉強。だって、裁判員制度も始まることだし、我々もいつ傍聴人ではなく、傍聴される側にならないとも限らないんですから(笑)。
それ以前に何事もお客さんというのは大切ですよね。格闘技をはじめとするスポーツも、やっぱりお客さんによって選手の頑張り方が違うじゃないですか。私もプロレス観に行ったりする時は自分も選手と一緒に試合を作ってるつもりになりますよ。この前の日曜日のノアの試合なんかも、まあこれはテレビで観てたんですけどね、杉浦選手なんかリングサイドにきれいなお姉ちゃんが何人かいたんでメチャクチャ張りきってましたよ。いや、気が散ったのか、途中で戦線離脱してたってけな(笑)。
この本でも大量の女子高生が傍聴しているケースが紹介されてました。裁判官も検察官も弁護士もみんな頑張る頑張る。そういうものですよ。そういう意味も含めて、一見堅苦しい「法」の世界や「法」の言葉の中に、逆に鮮明に照射される人間臭さというのが面白いんでしょうね。みんな人生や、場合によっては命がかかってるんですよね。それこそ不謹慎かもしれませんが、そこに見える人間の愚かさや悲哀みたいなものが、まあ他人事だと楽しいんですよ。
そして,その不謹慎さ自体の魅力というのもありますね。ドラマや小説や映画やコミックならいくらそこに耽溺しても許されますよね。でも、こっちは事実ですからね。なんか微妙にうしろめたいじゃないですか。法廷というその「場」や「空気」とのギャップに緊張して、その緊張具合に萌えるみたいな(笑)。そう、それこそが不謹慎さの正体ですよね。相手の心のステージと自分のステージがあまりに違うけれど、人間にはお互いそれは見えないので、黙っていたり、あるいは表情に出さなければ基本伝わらないわけですよ。そういう「本当のことを言わないで相手をだましている状態」、潜在的な「心裡留保(法律用語です)」かな、それってなぜか快感なんですよね。それも最もお堅い席上ですから。スリルっていうのかなあ。行ったことのない私でもドキドキしますよ。まったく人間って変な生き物ですね。
というわけで、いつか私も傍聴席に座ってみたいですね。退職後にゆっくり…そうだ、まず親父にすすめてみようかな。議会とかしょっちゅう傍聴してるみたいだし、法律関係好きだし、メモ魔だしね。
Amazon 裁判長!ここは懲役4年でどうすか
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