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2008.02.21

ジャンボ鶴田伝説 Vol.3「最強の章」

Jumbo 最強のビデオ入手!やっと適正価格で手に入りました。プレミアが付いてずいぶんいいお値段で取引されてますよね。しかし、たしかにそれだけの価値はある。最強すぎます。
 今137分見終わったところですが、なんというか、この充実感、う〜んこれはガチですねえ。本当のガチですわ、こりゃ。興奮だけでなく戦慄もおぼえました。それに比べて最近のプロレスや総合格闘技のしょぼいことと言ったら…。
 エネルギーが違います。選手やお客さんの気持ちが違います。物語が息づいています。ドロップキック一つ取っても全然今とは違う。美しくて強い。選手が大きく見えます。偉大に見えます。私たちとは違う世界の「神」に見えます。だからそこには畏敬の念が生まれます。物の怪たちによる神事。誰が人類最強かなんていう次元ではありません。
 収録されているのは1985年から1989年まで試合です。まさにジャンボ鶴田全盛期。

ジャンボ鶴田・天龍源一郎 VS 長州力・マサ斎藤
ジャンボ鶴田・天龍源一郎・大熊元司 VS 長州力・谷津嘉章・アニマル浜口
長州力 VS ジャンボ鶴田(ノーカット)
ジャンボ鶴田・タイガーマスク VS 天龍源一郎・阿修羅原
天龍源一郎 VS ジャンボ鶴田
ジャンボ鶴田 VS 天龍源一郎(ノーカット)

 実はこれ以外にも、フレアー対長州、ハンセン対天龍やブロディー対鶴田などがダイジェストで収録されており、本当に素晴らしい内容になっています。
 う〜ん、熱いわあ。そして鶴田強いわ。やっぱり最強です。この前の天龍の「七勝八敗で生きよ」を読んでからこのビデオを観ますとね、いかに天龍がジャンボに対してむかついていたか(いろいろな意味でね)、そしてそのために鶴田をどれだけ本気にさせたか、それによってジャンボのみならず天龍自身も輝いたか、よ〜くわかります。前半、鶴田と組んで長州たちとやりあっていた時、彼が何を思っていたのか、それを知って観ると実に面白い。後半鶴田と袂を分かってライバルになってからも、天龍の「むかつき」は収まらない、そして…。
 そう考えると、このビデオは最強の鶴田の裏にある天龍のドラマとも言えますね。たしかに全編にわたってドス黒く輝く負のオーラを発している、あの天龍の憂鬱感はたまりません。そしてそれがまた何も考えていない天才鶴田を際立たせてしまう。そして天龍のブラックホールはさらに爆縮していく…。
 最後にノーカットで収められている伝説の三冠戦。最後あの危険きわまりない鶴田のパワーボムで天龍ブラックホールは限界点を越えてしまいました。あれは何度観ても危なすぎる。さすがの鶴田も心配してましたっけ。「ちょっと本気出しちゃった」とか後でコメントしてましたけど。普通死んでます。死なない天龍の、いやプロレスラーの凄みを感じる瞬間ですね。
 さてさて、天龍がらみの試合もすごいんですけど、何と言っても長州との60分フルタイムドローですね。これがノーカットで収録されている。私は自分が録画していたダイジェスト版を紛失してしまっていたので、5年ぶりくらいに観ました。ノーカットは初めてかな。
 いやあ、これは本当にすごいですね。馬場さんの言う「格闘技を超えたものがプロレス」という意味がよくわかります。サソリ固めと四の字固めの応酬など、今のプロレスからすると動きがないようにも見えるかもしれませんが、よく観ると実に深い戦いをしている。お互い60分の中でどういうドラマを作ろうか、お互いの強さを引き出しつつ、自分の方が「さらに強い」というのを主張しようとしているのがわかります。
 長州もけっこう細かいことできるんですねえ。というか、二人ともミュンヘン五輪の代表だもんなあ。あのKIDのお父さん山本郁榮さんといっしょにミュンヘン行ったんだもんなあ。考えてみるとすごいメンバーだわ。
 結論から言いますと、世間でもよく言われているとおり、あの試合は完全に鶴田の勝ちでした。試合後息が上がって立つことも困難になっている長州を尻目に、全く息も乱さずコーナーに登って「オ〜!」をやる鶴田…怪物の面目躍如です。第一試合中も口を閉じて鼻で息してるもんなあ。ありえない心肺能力、スタミナです。ちょっと思ったんですけど、あの鼻の穴のデカさがあのスタミナを生んでるのかも(笑)。
 あとですねえ、いろいろな選手が画面に映りこんでいるわけですが、亡くなってしまった方の多いこと…。鶴田や馬場さんはもちろん、ブロディー、冬木、薗田、大熊、羽田…辛いですね。特にブロディーの突然の死にショックを受け暴走するハンセンの姿が哀しみを助長します。ベルトを取って「ブロディー!」と叫ぶシーンが入っていました。泣けるなあ。そして、時々顔を見せるハル薗田さん…87年、新婚旅行を兼ねた遠征で彼と奥さんの乗った飛行機が墜落してしまいました。あまりに辛い出来事でした。
 まあ、とにかくとてもここでは語り尽くせないほどの「伝説」「物語」が詰まった137分です。これはお宝でしょう。今だからこそ分かることもたくさんあります。こういう語り継がれるプロレスや格闘技やスポーツや芸能、芸術といったものがどれほどあるでしょうか。物語を紡ぎ続ける生命力溢れる「もの」。何が変ってしまったのかと言えば、それはたぶん選手たちや表現者たちと言うよりも、私たち観る者の中の何かなんでしょうね。そんなことを感じました。

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コメント

つーるった、オー!!
Jのテーマに涙;;!!!
昨日観ていた黒い画面だけで出るその曲のYouTube
どれでした?! 見つかりません。。

投稿: 庵主セコンド | 2008.02.22 09:03

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.02.22 11:15

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