『ブッダ―大人になる道』 アルボムッレ スマナサーラ (ちくまプリマー親書)
この本の紹介の前に、ハッとわかったことから。
昨日の記事で紹介したグールドのバッハを聴きながら、一つ鮮明に腑に落ちたことがあったんです。それを教えてくれたのは、なんとお釈迦様でした!(笑)
グールドって個性的だよなあ、唯一無二だよなあ、不二だよなあ…これってやっぱり個性なのかな…と考えていたんです。グールドって自分の個性を表現しようとして、こうなったのかなあ、なんか違うような気がするよなあって。
そしたらお釈迦様がさっと入ってきて簡単なことを教えてくれたんです。いや、別にお釈迦様がここに現れたとかではなくて、お釈迦様が語ったこととグールドの音楽が突然リンクしたってことです。
この素晴らしい音楽、真似のしようがない個性は、グールド自身の個性じゃないって。彼は自分の個性の表現としてバッハをハープシピアノで弾いたのではない。どちらかというと逆。
バッハの音楽(ここでは楽譜です)と、ハープシピアノという楽器と、共演者と、テレビ番組という「場」と、とにかくいろいろな要因が重なって作用して、こういうグールドが立ち現れたと。枝葉を捨てて根幹の部分だけで言ってしまえば、バッハの(音楽の)個性がグールドというメディアを通じて立ち現れたと。
そう思ったらすごくいろんなことがシンプルに見えてきました。そして自分もいろいろと楽になった。個性尊重とか、自己主張とか、自己表現とか、今まで考えあぐねてきたことが、実はあんまり意味がないということがわかって、ちょっと安心しました。
イチローの番組を観た時に少し予感があったんです。あ、これはイチローの個性じゃないなって。でも、その時は、じゃあそれは何?という答えは出なかった。それが今日分かりました。もしかして「悟った」のか?(笑)
実はこの本を読んだ影響が大だったんです。ということは、やっぱりブッダが教えてくれたっていうことですかね。ある意味こうして書いていることは、私をメディアとしてブッダ(の教え)が語っているとも言えますよね。
つまりそういうことなんです。ブッダの語った「真理」。究極の真実。自分が「自分」だと思っているものは、実は「自分」ではない…無我。
「苦しみ」は普遍であること。その原因が「自己への執着」であること。全てのものは「無常」であり、変化すること。全ては「因果法則」に則っていること。「苦悩」から脱するには、そうした真理を理解し、「自己」への執着を捨てる、すなわち「智慧」によるしかないこと。
この本はそうしたブッダの教えの核心部分を、本当に分かり易く(中学生にも分かるように)語ってくれています。著者はスリランカ出身の僧侶、『般若心経は間違い?』でも紹介したアルボムッレ・スマナサーラさんです。
この本は仏教の入門書として最高のものでしょう。こんな私にも本当によく理解できました。読みながら、「うんうん」と何度うなずいたことか。そう、実はブッダの語ったことは実にシンプルでブレがなく誰にも分かり易いことなんです。それを実際に優しく易しく書くというのは難しいものです。仏教は、勉強すればするほどに、余計な「知恵」ばっかり身について、その実体から遠くなりがちなんです。
私はこの本で久々に仏教の本質の部分に立ち返ることができたわけです。それがものすごく気持ち良かった。ああ、これだ、これだ。いつも感じていたのに、自分ではうまく表現できなかったこと。そうだ、単にお釈迦様の言葉自身に帰れば良かったんだよなって。
スマナサーラさんは、ブッダの言葉に基づいて、「生きていること」「心」とは何かというところまで語ってくれます。そして、実生活でこうして生きれば「楽」になるし「楽しい」よと、アドバイスしてくれるんです。若者相手に書いたつもりでしょうが、いえいえ、私にピッタリの内容でした。なんか、救われたような気がするなあ。
それで、なぜかグールドを観ていて、この本の内容が思い出されたんです。そして「グールドの個性」だと思っていたものは「グールドの個性」ではなかったと気づいて、なんかすっきりしたわけですね。
そして、自分の音楽や、仕事や、またこのブログにおける表現なんかについても、同様のことが理解された。そしたら、急に楽になったし、自身すら出てきたんですよ。お分かりになりますか?そんなこと皆さんとっくにお気づきなのかもしれませんね。私は遅ればせながら本日「プチ悟り」に至りました。なんか恥ずかしくなってきたな。ま、とにかくこの本とグールドのおかげです。感謝いたします。
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