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2008.02.25

はじめに言葉ありき…

Sad さっきAmazonのトップページを開いたら、左のような広告が出ていました。なに〜?SADですと。哀しい名前つけるなよ。誰だって人前では緊張して普段の自分を出せないに決まってるじゃん。毎日人前でしゃべる仕事やってる私でも、あるいは音楽やってて舞台に上がることが多い私でも、緊張して実力が発揮できないなんていうのは当り前。つまり、ほとんどの人はSADということになります。で、薬で治るってことですか?
 いろいろありますよね。こういう病気の名称。「うつ」なんかもその典型です。うつ診断なんてやると、ほとんど9割の人が軽度の「うつ」に認定されます。教育現場でも「多動」やら「学習障害」やら、いろいろありますなあ。
 「分節」「概念化」「名づけ」「コト化」…こうやって世の中にいろいろなコトが立ち上がってきます。その功罪について考えることが多いこの頃であります。特に「言葉」が「金」になるのはどうなんだろう。そう言えば、昔こんな記事も書いたっけな。
 先日、「Rh−の血液が足りない!」みたいなメールが飛び交って、奥さん方が大騒ぎしてました。これもまた「騙り」による感情や行動の醸成であります。ちょっと考えれば分かるでしょう!そうそう、3年前には集団気分について書きました。
 聖書の「はじめに言葉ありき」…これに関しては、私はこちらに書きましたように一般的な解釈とはちょっと違う考えを持っております。しかし、今書いたような「言葉が先にあって存在があとから付いてくる」という意味では、たしかに「はじめに言葉ありき」だと思いますね。
 で、面白いのは、病気の名前なんかは、さっきみたいにアルファベットを並べたり、難しい漢語を並べたりして、いかにも深刻な感じ、しかしなんとなく身近でないような感じ、なんだか分かったような分からないような感じを出すんですが、対照的なのは和語の新語ですね。
 これは大概動詞の連用形の形をとります。「いじめ」とか「ひきこもり」とか「ねじれ」とかですね。これは和語なだけに身近な感じがする。生々しい感じがする。薬で治らない感じがする。「ボケ」と「認知症」なんていうのも面白いコントラストですね。
 「いじめ」と同様なことは昔も散々ありましたが、それが「いじめ」という名称を与えられた途端に社会問題化しました。そして、私は「いじめ」の対象だとか、私は「いじめ」の犯人だとか、そういう概念が生まれて問題を複雑化してしまいました。「ひきこもり」なんかもそうですね。そうして自分に名称が与えられて、そこにはまってしまう。分節された一部屋、箱みたいな中に、それこそひきこもってしまう。
 それで安心を得るというのもありますし、実際対処や治療が可能になることも多いので、一概には言えないのですが、私から見ますと、どうも「コト化」がマイナス方向に働くことが多いように感じます。
 ちなみに「偽装」みたいな漢語一語のヤツはですねえ、大概流行語止まりなんですね。今までも使われて新味もないし。
 さて、おまけの話ですが、今日の授業の脱線について。まあ、私の授業は脱線どころか次元を超えてしまうくらい、あっちこっち行っちゃうことで有名(?)なんですね。で、今日も授業中いろいろと話が脱線しまくりまして、さあ大変。はっと気づいた時はとんでもない所にいたりするんで、そういう時は生徒とどうやってこんなとこまで来たんだ?と考えるんです。つまり、どこからどう話がそれてここまで来たかというプロセスをさかのぼるんです。で、最初の脱線のきっかけを作ったヤツは誰だ?というのを追及するわけです。それがみんなで考えても案外思い出せない。今日はなんとか辿って行って、結局犯人は私だったんですけど(笑)。
 そう、それで「ニート」という言葉についての話。これは私なんかは「きちんとした」「すてきな」っていう意味だと思ってたんですよ。つまり「NEAT」の方ですね。だって、ジムニーのキャッチフレーズが「タフ&ニート」でしたから。思いっきりアウトドア系でたくましいっす。でも、皆さん御存知の通り、今は逆のイメージになってしまいました。
 それで、「ニートなニート」っているのかなっていうくだらない話になったのでした。つまり「きちんとした怠け者」みたいな。いや、「NEET」を怠け者と言い換えてはいけない。ある意味「NEAT」すぎると「NEET」になるのかもしれないぞ。社会性なんていうものは、適度な諦めや妥協やウソで出来ているものですから。
 ついでに「ひきこもりのホームレス」ってのはどうかなっていう話。ホームがないっていうことはひきこもれないっていうことかな。いや、段ボールにひきこもるというのもあるのではないか、とまじめな論議になってしまったのでした。なんとなく不謹慎なような気もしますけど、しかし、こうして命名してイメージを固定して、それを組み合わせて「どうかな」なんて考えるのも、言葉の功罪の一つなのでした。いちおう生徒にはそういう話もして、「国語の勉強」っぽくしておきましたよ(笑)。
 最後にこんな話もしたっけな。比較的近所にあるお店があって、それが「ニート」っていう名前なんですよ。昔はいい名前だなと思ってたんですけど、今じゃあねえ…かわいそうに。

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