『出口王仁三郎 "軍国日本"を震憾させた土俗の超能力者』長谷邦夫 フジオプロ (ダイヤモンド社 コミック 世紀の巨人)
先日紹介した名著『漫画に愛を叫んだ男たち』を書いた、準トキワ荘メンバーであり、長く赤塚不二夫のプレーンを務めた長谷邦夫さん。こんなマンガを書いていたんですよ。びっくり。本当に不思議なリンクですよ、ワタクシ的には。でも、なんとなく納得。
王仁三郎ファンであり、赤塚ファンでもあり、霊界物語全巻と天才バカボン全巻を聖典として神棚に奉納している(笑)私やカミさんは、よく話してたんです。バカボンの世界って霊界物語だよなあ…って。あるいは霊界物語ってバカボンじゃん!って。両方ともカオスのエネルギーに満ちています。諧謔に宿る真理であったり、ナンセンスの中の意味であったり、常識や時空を簡単に飛び越えたり…そして、なんといっても、私からしますと、両者の言語センスが似ているように感じられるんです。お二人ともものすごい言葉の感覚をお持ちですよ。日本語なんていうちっちゃな枠にとらわれていませんし。とにかくいろんなところを自由に行き来する感じですね。
そんな王仁三郎と赤塚不二夫が、こんなふうにコラボレーションするとは。王仁三郎とバカボンのパパが同じところにいるなんて!長谷さんのおかげです。いや、右の写真はですねえ、バカボンのパパが出口なおに変身してるところです(笑)。すごいよなあ。夢の共演…てか、共演ではなく本人になってしまっているわけで…これはまさにカオスです。そして!レレレのおじさんが「霊霊霊の霊〜ッ!」ですから(笑)。素晴らしすぎます。もうこの時点でワタクシは撃沈されました。
そして左のページは王仁三郎とニャロメとパパが同一画面に。ちなみに左のコマのおじさんが、長谷さん自身です。ほかにも本官さんやウナギイヌやおそ松くんやイヤミやチビ太やケムンパスやベシや、赤塚キャラが総出演してます。まさに霊界物語みたいですね。個性的なキャラが無意味に(しかし有意味に)登場しては消えてゆきます。基本的に王仁三郎の生涯を時系列的に紹介するのですが、そこにニャロメ一郎という人物(?)がカオス神党という新党を作るという現代劇が絡んでいきます。それでますますカオスになっているかというとそうでもなくて、途中こうして長谷さん自身がたくさん解説してくれているので、これは王仁三郎初心者にも実にわかりやすいと思います。いろんな王仁三郎伝が出ていますけど、やっぱりコミックはわかりやすいですね。
さて、右の写真は長谷さんが耀わんの中に入っているところです(笑)。もう一人の人物は赤塚不二夫さんであります。これぞ本当の王仁三郎と赤塚不二夫の共演ということになりますね。このページでは赤塚さんが一つの結論的なことを述べています。
赤塚「七〇歳にしてこの明るさとエネルギーをもちえた点でも驚異だね」
長谷「かれをカリスマだの巨人だのといってまとめようとしてもまとめきれない」
赤塚「現代でいえばまさに『カオス』の人だな」
長谷「そう!それカオスの巨人だ!」
これはなかなか上手な結論づけですね。次のページでは長谷さんが「決定論的カオス」、赤塚さんが「無秩序状態に潜む法則」という言葉を使っています。これは私が考える「モノ」に潜む真理と重なるところがありますね。私のモノ・コト論では、「モノ」はカオス、「コト」はロゴスに相当しますので。
いやあ、それにしても面白かったなあ。普通の人が読んだらよくわからんマンガかもしれませんが。もう絶版になってしまったのでなかなか手に入らないようです。私も最近ネットの古本屋で見つけたんですよ。このコミック世紀の巨人シリーズ、ほかには「ノストラダムス」「フロイト」「アインシュタイン」「南方熊楠」があるようです。なるほど。
Amazon 出口王仁三郎 "軍国日本"を震憾させた土俗の超能力者
| 固定リンク
「アニメ・コミック」カテゴリの記事
- 『江戸の妖怪革命』 香川雅信 (角川ソフィア文庫)(2021.01.16)
- 『ライオン・キング』 (フルCG・実写版)(2020.11.16)
- 富士御神火文黒黄羅紗陣羽織(2020.11.14)
- 黄昏のアメリカ(2020.11.12)
- 米中戦争第1ラウンドは中国の勝ち?!(2020.11.08)
「歴史・宗教」カテゴリの記事
- 『「生きる力」としての仏教』 町田宗鳳・上田紀行 (PHP新書)(2021.01.20)
- 日本人は何を考えてきたのか…第9回「大本教 民衆は何を求めたのか」 (NHK Eテレ)(2021.01.19)
- 今こそ!俺たちの東京スポーツ最強伝説(2021.01.17)
- 『江戸の妖怪革命』 香川雅信 (角川ソフィア文庫)(2021.01.16)
- 『聖断 天皇と鈴木貫太郎』 半藤一利 (文春文庫)(2021.01.15)
「モノ・コト論」カテゴリの記事
- 『「生きる力」としての仏教』 町田宗鳳・上田紀行 (PHP新書)(2021.01.20)
- 『江戸の妖怪革命』 香川雅信 (角川ソフィア文庫)(2021.01.16)
- 『ゴジラ』 本多猪四郎監督作品(2021.01.04)
- 『生き方は星空が教えてくれる』 木内鶴彦 (サンマーク文庫)(2020.12.27)
- 『異界探訪 パワースポットの最深部に異界への扉があった』 町田宗鳳 (山と渓谷社)(2020.12.22)
コメント
前略 薀恥庵御亭主 様
御挨拶無しで御無礼いたします。
赤塚先生の「ウンコール・ワット」
を小学生の高学年の頃
拝読いたしました。笑
その影響は計り知れ図× ず
今日(こんにち)に到っております。
愚僧の根幹を成しております。笑
合唱おじさん 拝
投稿: 合唱おじさん | 2008.02.24 07:23
合唱おじさんさま、おひさしぶりです。
ウンコール・ワット…いいですねえ。
「かみ」と「しも」ってつながってますからね。
王仁三郎のエログロナンセンスも素晴らしいですよ。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.02.24 08:41
表紙画像ですが、一瞬、赤塚先生のコラかと思ってしまいました・・・・・。
投稿: 貧乏伯爵 | 2008.02.24 09:57
伯爵さま、今日はお疲れさまでした。
うん、たしかに赤塚先生にも似てますね。
この表紙のデザイン、江戸~東京デジタルマップの中川恵司さんなんですよ。
ぶっとんでますね。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.02.24 21:10