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2008.02.19

厚い思い?

Photo01 今日のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」、プロフェッショナルなのに「素人力」がキーワードになっていて面白かった。ちょうど今読んでいる本とリンクしてましてね。その本はまた近いうちに紹介します。私なんかも、このブログを通じて、プロフェッショナルではなく「マチュアなアマチュア(成熟した素人)」を目指してます(笑)。
 また、私の職場がある町も織物の町でしてね、今まったく元気がありません。その活性化のヒントもあったような気がします。「あきらめなければ、失敗ではない」か。あきらめたら失敗なんですね。
 さてさてところで、プロなのにどうもこれはいかんということ。今日のこの番組でも連発してましたよ。
 最近、といいますか、ここ数年テレビを観ていて気になること。「熱い〜」のアクセントですねえ。いまやNHKのアナウンサーでさえヘーキで「熱い戦い」を「厚い戦い」のように発音します。つまり「LHHHHHH」というふうにいわゆる平板アクセントにしちゃうんですね。
 ほかによく聞く例としては、「熱い思い」「熱い声援」「熱い気持ち」などがあります。これらも全部「厚い〜」に聞こえる。ただし、「熱い思い」の「思い」は中高型(LHL)なので全体としては「LHHLHL」となります。したがって他の語に見られる単純な平板化とは違う現象のようでもあります。
 一方で、同じ中高のアクセントを持つ「暑い」は、たとえば「暑い一日」が「厚い〜」風になったりすることはありません。また、意味的に誤解が生じやすい「あつい鉄板」なんかは、ちゃんと「熱い鉄板」と「厚い鉄板」を発音し分けていますよね。ほかの中高3拍の形容詞、たとえば「白い」などが「LHH」となることはないようですから、これは実に不思議な現象です。
 いろいろ聞いてみますと、気にならないという方の方が多いようですけど、ま、いちおうアクセント史を専門で勉強した者からしますと、どうも気持ち悪くてしかたないんですよねえ。皆さんどうですか?
 今日の「プロフェッショナル仕事の流儀」にも出てくる出てくる。ナレーターの橋本さとしさんが「厚い素人魂」「厚い注目」「厚い出会い」、住吉アナが「厚い社長」…NHK的にはこれでいいんでしょうか。まあ、「〜的には」なんてヘーキで書いてる国語のセンセイに、そんなことを言う権利ありませんけどね(笑)。
 言葉は生き物でどんどん変化するのは当然ですし、特にアクセントはですね、これは勉強するほどよくわかるんですけど、とにかく常に変化している。文法や音韻や語形や語彙なんかよりずっと変わりやすい。一番変わりやすいんですね。また、地域差も非常に大きい。しかし、いちおうNHKさんにはちゃんとしてもらいたいなあ。
 でも、こういう逆のこともあるんですよ。NHKのアクセント辞典に則っていると、たとえば、インターネットを表す「ネット」は頭高に発音しなければなりません。すなわち「HLL」となるわけです。そうすると逆に私たちの感覚とずれてしまう。もろ「網」っていうふうにとらえちゃいますよね。
 これは現代(若者)語の特徴であるカタカナ語の平板化との兼ね合いなんですよね。「クラブ」とか「ショップ」とか「パンツ」とかね。アクセントによって意味の使い分けをしているということで言えば「ドライバー」なんかはもうそれぞれのアクセントで発音されているようですが。揺れている過渡期のものとしては「ブログ」とかね。そうそう、若者の間では「ギター」とか「ビデオ」なんかも平板化してます。私はちょっと抵抗ありますけど。とにかく身近になると平板化するんですよ。特に外来語は。そう考えると、肝心の「テレビ」が全く平板化の兆しすら感じられないのは面白いですね。なんでだろ。
 あと、「を」の発音についてとか、いろいろあるんですが、またいつか。
 あ、今思ったんですけど、タイトルにした「厚い思い」ってもしかして「厚意」っていう意味だったら正しいのかな。なんだかわからなくなっちゃった。まあ、なんとなく通じればいいのか、素人どうしにおいては。

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コメント

この番組、僕も最後まで見てしまいました。素人とかプロとかいう問題でなく、本気になれるってことが大事なのかな~なんて思いながら。本気で何かに取り組んでいる人って魅力的ですね。

投稿: mf | 2008.02.20 20:08

庵主さん、こんばんは!
LHHHのお話面白いです。
抑揚が少ない日本語で、こんな風にいたずらな上げ下げイントネーションが用いられるようになったのはどうしてだろう。発祥はマルキューでしょうか?
甥っ子が喋ってたりすると面白がってたまにマネしたり
してます;
但し「ワンマンLHHH(ライブ)」と発話したとき、
逆だったんです。HLHLって言ってました。
それじゃぁ自己中のワンマンだろう?などとめっちゃ議論になりました。
写真の人が加藤浩次さんに見えました(笑)

投稿: くぅた | 2008.02.20 20:49

mfさん、こんにちは。
何事にも本気になれない私はダメダメです。
これじゃあプロフェッショナルにはなれないなあ。
もう諦めちゃってます。
死ぬまでに一つくらい一生懸命やりたいんですけどね。
時節柄、生徒の本気な姿を見て、ますますそんなふうに思います。

くぅたさん、どうもです。
ワンマンは単独で言う時は私も自己中になりますね。
日本語は後に名詞がくっついて複合語になるとアクセントが変わるので厄介なんです。
外国人にはチンプンカンプンでしょう。
いくら日本語が上手な外国人でも、アクセントはなかなか完璧になりません。
英語のようなストレスアクセントよりピッチアクセントの方がわかりやすそうですけどね。
加藤浩次さんか…なるほど(笑)

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.02.21 11:04

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