« 東京大学入試問題(国語) | トップページ | 『失われた愛を求めて―吉井和哉自伝』 吉井和哉 (ロッキング・オン) »

2008.02.27

チック・コリア・トリオ 『ドクター・ジョー〜ジョー・ヘンダーソンに捧ぐ』

31xl7dumlcl_aa240_ ジャズバンド部の顧問の先生に聴かせていただきました。なんか、久々にチック・コリアをじっくり聴いたなあ。
 このアルバムは日本のファンのためのトリオ5枚シリーズの1枚ということで、ジョン・ヘンダーソンに捧げる内容になっています。ベースはジョン・パティトゥッチ、ドラムスはアントニオ・サンチェスです。たしかにこの組み合わせは聴いたことなかったなあ。
 もちろんチックとパティトゥッチが一緒にやってるのは何度も聴いてますし(生でも聴いてるなあ)、サンチェスはパット・メセニー・グループでの演奏をいやというほど聴いてます。でも、この3人でトリオというのは…けっこう新鮮ですねえ。だって、私の中で、チックとパットってクロスしそうでクロスしないんですよ。もちろんこういうとんでもない名作もありますけど、それ以来あんまりなんじゃないですか。またプロレスのたとえで申し訳ないんですが、この前の記事的に言えば、馬場さんのところに猪木のもとで修行した長州が乗り込むって感じかな。いや、そんなに殺伐としたものでも緊張感のあるものでもないか(笑)。
 私のシロウト印象では、3人ともとにかくリズムが鋭いというイメージがある。チックのピアノの魅力は、とにかくタッチの細かさ(お分かりになりますかね)と正確さに乗っかった独特のメロディック・リリシズムにあります。朗々と歌って聴かせるというより、詩のようにリズムで聴かせるところがあると思うんです。そして、パティトゥッチもまずは強力なビートが基本。チックと手が合うというのは、彼のリズム感によるのではないでしょうか。まあ、息が合ってるわけですね。そして、サンチェスです。
 彼の、パット・メセニー・グループにおけるドラミングは、どちらかというとファンタジックな、フィルハーモニックなイメージが強い。それはまさにパットの音楽性によるわけですけど、今回は全く違う印象だなあと思ったら、こんなインタビューを見つけました。これは実に興味深い内容です。まずはお読みになってみてください。
 これを読みますと、サンチェスがいかに謙虚で柔軟性に富むアーティストであるか分かりますね。ドラムの役割に関する発言部分や尊敬するドラマーを列挙するところには、正直ドキドキしてしまいました。喜びというか興奮というか。うわぁ!すごい人だなと。レベルは違いすぎるとは言え、音楽(特にアンサンブル)をたしなむ者としては、この内容は刺激的ですし、勉強になりますよ。素晴らしい音楽家ですね、彼。
 というわけで、そういうサンチェスの心意気というか人間性みたいなものを意識して、もう一度このアルバムを聴きますとね、本当にまた感動的です。ジャズのものすごいセッションというのは大概こういう独特の精神性〜たぶんそれは宗教的な領域にまで達すると思いますよ〜に裏付けされていることが多い。おそらく他のジャンルよりこういうアンサンブルが多いんじゃないかなあ。そこがジャズの良さでもありますよね。
 チックもローズやムーグを駆使して、そういう空気をより楽しいものにしていますし、パティトゥッチも楽しそうにアコースティックとエレクトリック両ベースを弾きまくってます。個人技はもう言うまでもないんですけど、やはりこういう「合奏」の心、そう、テクニックではなくて心…いや、もしかすると心以前のそれこそ「からだ」の表現なのかもしれませんね。昨日の東大の問題じゃありませんが。
 ロックやクラシックの方々には是非とも見習ってもらいたい「心」であり「体」であり、その総体たる「人間」たちでありますね。私も少しはあやかりたいものです。
 あっ、まるで追伸になっちゃいましたけど、こういう奇跡をとりもった「ドクター・ジョー」ことジョー・ヘンダーソン様にもお礼を言わなきゃね。

Amazon ドクター・ジョー

不二草紙に戻る

|

« 東京大学入試問題(国語) | トップページ | 『失われた愛を求めて―吉井和哉自伝』 吉井和哉 (ロッキング・オン) »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55913/40290085

この記事へのトラックバック一覧です: チック・コリア・トリオ 『ドクター・ジョー〜ジョー・ヘンダーソンに捧ぐ』:

« 東京大学入試問題(国語) | トップページ | 『失われた愛を求めて―吉井和哉自伝』 吉井和哉 (ロッキング・オン) »