『誰も見たことのないときめきの富士』 ロッキー田中 (飛鳥新社)
今年も年賀状をたくさんいただきました。その中の何枚かは「郵便番号 富士山 氏名」だけでウチに届いています。ちょっとカッコいいでしょ。住所「富士山」だけです。別に自分が偉いわけじゃないんですが、なんとなく自慢したくてなってしまいます。
そんなわけで、私は小さい頃からの夢を叶えて富士山の上に家を建ててしまったわけですが、「灯台下暗し」というやつで、10年も富士山に抱かれて生活していますと、その姿を見るのを忘れる日さえあるんですね。まあ、皆さんも地球の上に住んでいて地球を意識しないでしょうけど。
それでも通勤途中とか、仕事の途中とか、あるいは東京に遊びに行った時とか、ふと美しい富士山に目が留まる時があります。特に遠くから富士山を見た時、それからこれは今日も朝あったんですけど、テレビで映るじゃないですか、ニュースの途中とかに生中継で…そういう時、子どもと「あっ富士山だ。この辺に住んでるんだよ」って指さして、ついでになんだか知らんけど手を振ったりする。映らないって(笑)。変な話ですよね。
で、どういうわけだか、いわゆる富士山の写真集って今まであんまり好きじゃなかったんですよ。何て言いますかね、ものすごくずうずうしい比喩を使いますとね、ハウスメーカーのCMみたいな感じ。あるいは車のCMかな。あまりに自分が知っている現実と違って美しすぎる。作られた感じがする。写真だからある意味真実のはずなんですけどね。その時間と空間の切り取り方が図ったものだからでしょうか。いや、写真は時間を重層させることのできるメディアなんですよね。切り取るどころか重ねていくことが出来る。そうして「作られた」写真が多すぎるからでしょうか。
しかし、例えば北斎や広重の富士は大好きだったりする。これって何なんだろうってずっと思ってきたんですよ。見合い写真に照れてるのかなあ…とか。あるいは自分には富士山のいい写真が撮れない…それは機材の違いもありますが、おもに根性の問題でしょうね…というコンプレックスからなのか。
ところが最近になって純粋にいいなあと思えるようにもなってきたんです。コテコテの絵はがきみたいなのも悪くないなと。単純に富士山のあの神懸かり的な造形を楽しめばいいんじゃないかと。これもまたとっても良くないたとえですけど、絵だと思えばいいのではと。もっと言ってしまうと、写真の場合は塗り絵なのではないかと。
つい先日発売されたこのロッキー田中さんの写真集も見事な塗り絵です。これはけなしてるんじゃありませんよ。本当に感心してるんです。ものすごくきれいです。実際の生活の中の富士山はこんなにきれいじゃありません。そう、素顔で普段着の富士山は美しいというよりこわい。恐ろしいんです。つまり、こういう写真って、女性が化粧をしてきれいに着飾ってるんですね。それはそれで写真集としては大いに意味があるわけですね。
ぜひこちらロッキー田中さんの公式ページでその一部をご堪能ください。モデルさんみたいな富士山に正直「萌え〜」ですよ。私も富士山のあの逆三角形を使って塗り絵してみようかな。
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