小橋→茶道具→フォリア
今日は濃い一日でしたなあ。テーマは「アンサンブル」「様式美」「演劇性」。
まずは、フジファブリックをガンガン聴きながら東京へ移動。彼らもけっこうアンサンブル感や演劇性の強いバンドですね。
上野毛の駐車場に車を置いて、いざ渋谷のHMVへ!そうです。今日は小橋建太選手のトークショー&握手会があるのです。店内で12.2のDVDを購入しイベント参加券をゲット。150人のファンの皆さんとともに小橋選手を待ちます。と、出てきたのはなんと谷口周平選手。お約束のボケですね。結局谷口選手は温かいブーイングを浴びてしまいます。そしてにわかに起こるコバシコール。本物の登場です。
今までも生小橋選手は何回も見てきましたが、こんなに近くなのは初めてかな。感激。そして、楽しいトークのあとの握手会で、ついに小橋選手と握手!そして会話!小橋選手、本当に一人一人とていねいにお話しをしてくれます。本当に誠実で実直な方ですね。改めて感じましたが、こういうタイプのキャラクターで人気を得るプロレスラーというのは稀有ですね。逆にプロレスが伝えることができるものの幅広さとも言えますか。
あっそうそう、ついでと言ってはなんですが、せっかくですから谷口選手とも握手してきました。彼(と青木選手)には話さなきゃならないことがあったんですが(これを話せば一緒に食事に行けるらしい…)、時間がなかったので、それは次回どこかで。
さて興奮さめやらぬワタクシは、その興奮を抑えるため、いや、その興奮をさらなる高みに昇華するため、上野毛に戻りました。そうです。いきなりですが、茶道具の展覧会に向かったのです(笑)。五島美術館で行われている「茶道具取合せ展」。
私はお茶はやらないんですけど、なんとなくその世界に興味はありまして、特にプロレスとの類似性についてよく考えます。これは冗談ではなくて、その「演劇性」「様式美」「アンサンブル」という点において似た部分が多々あるような気がするんです。「虚構性」の中の「真剣勝負」と言いますかね。その勝負は別に亭主と客に限られたものではありません。その「場」や「道具」との闘いもあるんですね。そこに現れる規則性と即興性。統一と変化。壮大で深遠なる変奏曲。
まあなんとでも言えるわな(笑)。でも、私の中ではたしかにプロレスと茶道はつながってるんです。自然に。両者とも日本文化の真髄とも言えます。で、今回の展覧会ですが、うん、たしかにこいつらと勝負するのはそれなりの訓練が必要だなという逸品ぞろいでした。私なんかは観戦だけでいいや。やっぱりシロウトの私には楽茶碗が印象的だったなあ。光悦、長次郎、のんこう…すさまじい存在感の名品が並んでいます。
ただ、なんていうかなあ。その道具たちも、今日は美術品として並べられているわけであって、まあこれは私服姿の小橋選手みたいなものであって、リング上の本来の姿とは違うんですね。茶席における、それこそ場の空気の中に存在する「もの」ではない。それは仕方ないんですけれど、どこか物足りなさを感じたのも事実です。実は一番インパクトがあったのは一休宗純の掛け軸「梅画賛」でした。あれは悪役レスラーだな。なんか怖かったっす、あの字。
前にも書きましたが、できればお茶の名勝負も観戦したい。DVD(副音声で実況と解説付き)とかで出してくれるとシロウトとしては嬉しいんですけどね。けっこう異種格闘技なこともあるようですし、他団体との交流戦というのも面白そうですしね。超一流選手の試合はやるかやられるか的な部分もあるとかないとか…。こればっかりは自分が参戦するしかないみたいですね。残念。
さて、五島美術館をあとにした私はしばし駐車場でガチンコ勝負。漢検の勉強です。昨年1級に挑戦し玉砕したワタクシは今年は階級を下げて参戦です。カーラジオからは昨年末行われたバッハ・コレギウム・ジャパンのメサイアのライヴ録音が流れています。お〜いいアンサンブルだぞ。
1時間半ほど車内で勉強したのち、向かうは新宿。5月の演奏会に向けてトリオ・ソナタの練習です。今日はヴィヴァルディのラ・フォリアを集中的に。小橋→茶道具の洗礼を受けた私は、いつもよりアンサンブルの調子がいいぞ。相手の技を受けつつ自己主張し、全体の構成をみんなで作り上げていく。これはまさにプロレスの試合作りや茶会の進行に似ているぞ。そして、ヴィヴァルディのラ・フォリア自体、みごとな「統一」と「変化」だ。今まで何回も弾いてきた曲ですが、今日は新たな発見が多くありました。
皆さんからしますと、なんだこの人?っていう感じがもしれませんけど、私の中では今日のいろいろな出来事は全て自然につながっています。私はどれもみんなエセですけど、エセも極めていきますと、それなりの世界観というものが出来上がってくるんですよね。もっともっと裾野を広げて一流のエセになりたいな(笑)。
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コメント
最近アフェクト Affektenlehreについて調べたりしています。18世紀ドイツでは理論書も書かれたそうです。
芸術作品は媒介は何にせよある情念を表現するもので、その表現はその感情を演じなくてはいけないということだそうです。ある感情を伝えるけれども、なりきるのではなく、その感情はフィクションであることを受け取る側にそれとなくほのめかすようでなくてはいけない。
それで芸術というか技においてだいじなのがスプレッツァトゥーラで、カスティリョーネの『宮廷人』によればスプレッツァトゥーラとは技を隠すさりげなさ、ルーリーの『内なるオルフェウスの歌』によればそれは、稲妻のようなエネルギーや興奮をもたらし、即興を愛すること、計算された無頓着さ、「高貴な無造作」なのだそうです。
以前、能楽堂で観た狂言がとても面白かったのである機会に野村萬斎とかが出演する野村家の狂言を観たことがありました。野村家の狂言はあまりにもリアリスティックな演じ方をしているがゆえに、けっきょく様式の枠から逃げているから、私にとって面白くなくぜんぜん笑えなくてがっかりしたことがありました。
プロレスはあまり観たことがありませんが、それはアフェクトの表現やパフォーマンスにおける観衆とのコミュニケーションの伝統が引き継がれているものではないかと最近思うようになりました。
投稿: 龍川順 | 2008.01.28 16:38
毎日、高テンション記事でこちらがコメントをまとめる間もなく?次の日になってること多し。そんなわけでお久しぶりです。今日のプロレス〜茶〜フォリア、そうそうそう!と深く共感。プロレスのエンターテイメント性というかコミュニケーションには私らももっと学んだ方がいいのかも、です。私はもっぱら野球的演奏論?に走っておりますが。
投稿: よこよこ | 2008.01.28 20:03
龍川さん、よこよこさん、こんばんは!
こうしてプロレスと古楽ネタでこんなに盛り上がるとは。
たぶん中村さんや岡田さんも語り出したら止まりませんよ(笑)。
アフェクト、スプレッツァトゥーラ、ものすごく興味深いです。
また、みんなで集まって語り合いましょうよ。
ぜったい面白いですよ。
野球的演奏論もいいですねえ。
ベースボールじゃなくて野球ですよね。
特に昭和の野球(例えばミスター)の演劇性にはヒントがありそうですね。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.01.28 21:40
小橋の病気のことを聞いて、ジャンボ鶴田のことを思い出してしまいました。2人ともどうしてこんなに肉体的にも恵まれていたはずなのに、若くして病魔に襲われてしまうのか。あの厚い胸板、肩・・・。何とか完全復活してほしいです。
そういえば、昨日は杉並公会堂でバロックダンスがあってフォリアも踊られていました。バックドロップもジャンピングニーもそうですが、バロックダンスのステップに共通する何かがあるような気が。バックドロップも脚のばねを使っていますよね。
投稿: AH | 2008.01.28 22:40
AHさん、どうもです。
病気の件は、やっぱり体を酷使してるからでしょうか。
それにしても本当に小橋は体自体が芸術的ですね。
造型自体がプロです。
なるほど、バロックダンスも下半身のバネですね、たしかに。
タメを生むバネ。
演奏の方も当然それに則らねばなりません。
今日から鶴田さんのこちらの本に従ってトレーニングを開始します(笑)。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.01.29 09:02