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2008.01.17

『鎌鼬 KAMAITACHI 細江英公写真集』 (写真・細江英公、舞踏・土方巽、装丁・田中一光 )

103_2 来ました!『鎌鼬(かまいたち)』。二十数年前、どうしても手に入れたいと思った。けれども、とても学生が買える金額ではありませんでした。その幻の写真集が今手もとにあります。それも全く予想しなかった特別な意味をもって…。
 『鎌鼬』…写真の世界及び舞踏の世界ではあまりにも有名な写真集です。私も二十数年前、この、稲架の上にとまった鴉のような土方巽に、言葉では言い表わせない衝撃を覚えました。土俗的でありながら、しかし、すさまじくてっぺん。のちに他の数枚も見る機会がありましたが、どれもまさに舞踏している。写真が舞踏するというのはどういうことだ。それもまるで土方が大地に焼き付けられるがごとく。私の頭は混乱しました。
 そんなわけで、私の頭の中には常に数葉の鎌鼬が存在していたんですけれど、しかしその後格別に写真や舞踏の世界に興味を持っていたわけでもなかったので、自分の人生にとってもどこか幻の写真集となっていたのです。逆に言えば、今その不勉強を恥じています。
 …その事実が判明したのはついこの前のことです。
 な、なんと、このてっぺんの写真、カミさんのお母さんの実家の前の田んぼで撮影されていたのです!!!秋田県雄勝郡羽後町田代天神堂…たしかに、義母の生家のある場所です。
 いやはや、本当に信じられません。そして繰りかえしますが、自分の不勉強を恥じます。カミさんと結婚してそろそろ10年になりますが、今まで全然知らないでそのお宅を何度も訪問していました。そしてその田んぼを何も考えず臨んでいました。あまりにも不覚…。
 本当に人生何が起きるか分かりません。今までもけっこう不思議なことに巻き込まれる人生ではありましたが、これはけっこうショックです。
Kamaitachi2 で、この写真集、多少のお金はかかっても手に入れるしかないじゃないですか。1969年の初版は限定1000部(実際には200部程度しか世に出ていないとの噂も)で、ほとんど入手不可能。よって、2005年に限定500部で完全復刻された青幻社版を古本屋から購入しました。細江さんのサイン入り。218番/500でした。それなりの金額でしたが、もうそれ以上の価値があることは間違いありません。特にウチにとっては…。
 その衝撃的な内容については後日あらためて紹介します。とりあえず今日は、自分にとって信じられないことが起きた、そのことだけを報告しておきます。
 さっそくカミさんの実家に電話して聞いてみました。(当時12歳の)母「そう言えばそんな変な人が来たっけ」…。(地元の農協に勤め始めたばかりの)父「そう言えば、稲架に登りたいって言うからみんなで組んだっけ」…。う〜む、その何気なさがたまりませんね。興奮しているのは私だけです。
 さらに恐ろしいことに、当然羽後町出身であるウチのカミさんに至っては、「ヒジカタタツミ…?誰それ?」おいおい!!(笑〉ちなみに伝説の舞踏家(神)土方巽は羽後町の郡山(新成)の生まれのようです。
 しかし、そんな素朴な秋田の農村の方々とのコラボレーションだったからこそ、あの世界的に有名な、奇跡的な写真集が出来上がったのです。そのへんについては、またのちほど。
 ふぅ、それにしてもなんでこうなるんだろう。今年は土方生誕80年です。何か不思議な縁を感じます。春には田代を訪問して、この写真集に写っている人たちを訪ねてみることになりました。いったいどんな話が聞けるのか。そして、今後私はこの流れにどう巻き込まれていくのか。非常に楽しみです。
 いやあ、ありえない…やっぱりありえない…。

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『鎌鼬』 巡礼の旅 その1 (土方巽生家訪問)
『鎌鼬』 巡礼の旅 その2 (高橋市之助さん宅訪問)
土方巽〜白井晟一…秋田で昭和の奇才の面影に触れる
藤波さんと…細江さんと…またまた夢実現

参考サイト

Amazon 鎌鼬

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コメント

土方巽と同時代に活躍した大野一雄氏の(還暦時)写真を年賀状として今年、送ってきた友人がありました。
「暗黒舞踏」創世の二人はほんとうにもう神のようなものですね。
かつて日本より海外で評価の高かった「暗黒舞踏」ですが、やはり凄い芸術だと思っています。

それにしてもなんというご縁でしょうか。
もう導かれているとしか言いようがないかもしれませんね。

投稿: komichi | 2008.01.18 22:32

この写真集にでてくる土地のひとたちの顔がじつによくて好きです。土方巽がにょきっと顔をあらわして、それを見ているおばさんたちが笑っていたり、おじさんたちが土方巽を担いで歩いていたり。

土方巽の『病める舞姫』をたしか持っていたはずだと思って本棚からひっぱりだしてきました。この本の裏表紙には、暗黒舞踏の「聖書」だとか、東北の原風景が、などと書いてありますが、彼の文章はそのようのものを超えた、もっと普遍的なものを表現しているように感じます。

本のなかに「舞踏映像会 土方巽淵舞祭」のチラシがはさんでありました。2001年1月、目黒のアスベスト館であったものです。この映画会で「解説トーク」をしてくださった元藤さんはたしかその後、アスベスト館がなくなって、すぐに亡くなられたとか。

投稿: 龍川順 | 2008.01.18 23:13

komichiさん、龍川さん、おはようございます。
もう、ホントにビックリしてしまいました。
上の写真でいい笑顔の方、隣の家の御主人だそうで、
そのお孫さんとウチのカミさんとはお友達だとか…
もうわけわかりません。
私、結局生土方は見ることができませんでしたが、
その周辺の人間関係も含めて、大変に影響を受けました。
これを機に私も若かりし頃を思い出して、
もう一度土方巽に臨んでみたいと思います。
とにかくビックリでした。
元藤さん、西馬音内の盆踊りに行って、その後すぐに亡くなられたとか。
その時同行した田中一光さんも元藤さんの少し前に…。
あの盆踊りはたしかに土方の原点と言えますね、今考えると。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2008.01.19 09:11

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