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2008.01.12

村の成人式(2008)

080112 昨年に引き続き、今年も鳴沢村の成人式にゲストとして招待されまして、記念のミニコンサートをさせていただきました。
 今年は最近ご一緒する機会の多い、音楽家の渡辺敏晴さんに無理をお願いして共演していただきました。おそらくこの田舎の小さな村の皆さん、初めてチェンバロの音を聴かれたのではないでしょうか。
 式自体は昨年と同様、厳粛な中に温かさあふれる素晴らしいものでした。いろいろと騒がれている中、こういう若者たちがいて、こういう共同体があって、そしてこういう成人式があるということをぜひ全国の皆さんに知っていただきたいですね。でもなあ、この村もいつか隣町と合併してまえば、この成人式もなくなってしまうのか…。
 さて、今年は何を演奏したかといいますと、まずは「のだめカンタービレ」の新春スペシャルでも流れてましたっけ、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」です。当日朝にこれをやることに決めまして、ほとんどぶっつけでの演奏でしたが、さすが渡辺さん、うまいことこなしてくれました。チェンバロとヴァイオリンでこの曲を演奏するというのもちょっと珍しいのではないでしょうか。案外いい雰囲気でしたよ。
 続きまして、昨年秋のお寺のコンサートでも披露した「縁」についてのお話と演奏。そしてそこからの流れでレミオロメンの「3月9日」。こういう旅立ちの席でのこの曲というのは、本当に弾いていても感動してしまいます。いい曲だなあ…。
 次は渡辺さんのソロコーナーで、イギリスとフランスの舞曲をじっくりと。皆さん初めて聴くであろうチェンバロによるバロック音楽の響きに、すごい集中力で耳を傾けていましたよ。渋いと言えば渋い演目ですが、それをちゃんと聴ける彼らは偉い!
 あっそうそう、今回、渡辺さんはなんと紋付き袴といういでたちだったんです。紋付き袴でチェンバロ演奏っていうのもなかなかオツですねえ。実は世界初だったりして。いつも思うんですけど、チェンバロってお寺とか和服とか、和のムードに案外似合うんですよね。私たちはたまたま二人とも邦楽もやるんですが、最近いろんなジャンルとか国とか楽器とか奏法とかにとらわれない音楽のあり方に興味がありまして、昨夜もたらふく呑みながら二人で「スーパー古楽」の話で盛り上がりました。これからの展開に大いに期待です。
 さてコンサートの最後、300年前のヴェルサイユの音楽から、いきなり10年前の鳴沢村に帰ってきまして、新成人の方々と一緒に「鳴沢小学校校歌」を演奏しました。皆さん立って歌いましょうと呼びかけましたら、ちゃんと全員立ってくれましてね、男の子も大きな声で懐かしい校歌を歌ってくれました。そういうことをちゃんとできるというのも案外珍しいことなのではないでしょうか。彼らの純粋さ、村に対する愛情を感じる感動的な瞬間でした。
 いずれにせよ、このような大切な式典に私どもを呼んでいただき、そして私たちの演奏や話を一生懸命聴いていただき、本当にありがたく思います。今日の音楽がほんの少しでも彼らの思い出に残れば私たちとしても幸甚であります。
 もう一度申し上げます。新成人の皆さん、本当におめでとうございました。これからたくさんの縁を得て豊かな人生を歩んでください。そして、鳴沢村を愛しつづけ、できればずっとこの村に住んでください。そして、村の関係者の皆さま、いろいろとありがとうございました。そしてそして、渡辺敏晴さん、本当にありがとうございました。楽しかったっすよね。またいろいろとお願いします。

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