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2007.12.02

おめでとう!小橋建太546日ぶり復帰!(腎臓ガン克服)

07120201 泣けた!家族で号泣しながら生放送を観ました。
 昨年の6月に、こぶし大の腫瘍が発見され腎臓ガンであることが判明した小橋選手。その後すぐに右腎臓を全摘出し、リハビリを続けてきました。そして、リングを去ってから1年半、とうとう復帰の日を迎えました。
 この復帰のカードが素晴らしいではないですか。脳梗塞から奇跡的な復帰を果たした高山善廣がパートナー。対戦相手はノア最強の三沢・秋山組。本来なら1年半の高山の復帰戦はこの組み合わせになるはずでした。
 今日は当然武道館に観戦に行くつもりだったんですけど、全くチケットが手に入らなかった。異常とも言えるほどのフィーバーでした。ああ、こんなに鉄人小橋を待つ人たちがいるんだな、プロレス界には絶対王者小橋が必要なんだなあ。
 チケットはあきらめて、汐留で行われるパブリック・ビューイングに参戦しようかとも思ったんですけど、村のイベントが入ってしまいそれも断念。ただ、今日はラッキーなことに12月第1日曜日じゃありませんか。スカパーe2が無料開放の日です。ということは、G+の生中継が観れるということじゃないですか!ということで、イベント終了後、家族で観戦したわけです。
 それにしても素晴らしい試合内容でした。小橋はそれなりに体を作ってきていました。さすがに最初は動きが固かったけれども、ライバルたちの強烈な技を受けるうちにだんだん調子も上がっていったようです。ムーンサルトやラリアット、各種スープレックスなど、1年半前と何ら遜色ない大技を見せてくれました。そしてそれよりなにより、三沢・秋山の厳しい容赦ない技を見事に受けきりました。プロレスは「受け」が全てですから、そういう意味では非常に安心しましたね。
 今日私たち家族は、小淵沢で行われた「物語」に関するイベントに参加してきたんです(それも非常に面白かったので明日にでも紹介します)。そこで実感したのは、「文脈」と「虚実皮膜の間」と「演出」ということでした。プロレスってまさにそれですね。小橋は見事な「物語」を紡いでいましたよ。
07120202 新しい物語の始まりです。小橋建太、試合は見事に負けました(社長の雪崩式エメラルドフロウジョン)が、矢島アナウンサーは「小橋勝った〜!腎臓ガンに勝った〜!」と叫びました。そして、解説の本田多聞選手の涙が我々の涙を誘いましたね。なんか、つきなみな言い方になってしまいますけど、勇気を与えられたような気がします。ああ、こうして「意志」が物語を作るんだな。
 負けてあれだけ感動を与える…プロレス的な世界ですね。勝者三沢のテーマ曲「スパルタンX」に乗る敗者に対する小橋コール。美しい。武道館で、そして日本中でいったい何リットルの涙が流れたのでしょうか。
 「物語論」的、「モノ・コト論」的に印象的だったのは、試合後のインタビューです。

—小橋選手にとってプロレスとは?
小橋(その答えは)オレが聞きたいです。何だろ?答えが分からないからリングに立つし、これからもプロレスをやめるまでは分からないだろうと思います。だからプロレスをやり続けていくんだろうしね。

 つまり、小橋選手にとっては、プロレスという仕事自体「モノ」、すなわち「わからない」ものなんですね。それを語っていく。語れば語るほど分からなくなるのかもしれない。彼のように本当に真面目に仕事をする「コトを為す」というのは、こういうことなんだなと思いました。私のようないい加減な人間は適当に自分や自分の仕事や世の中を定義づけて(コト化して)、物語を勝手に終わらせてしまっている。そうなるとその物語は誰とも共有されることなく死んでいく。小橋選手のように自分自身にも、そして他者にも語り続けることで、どんどん物語は成長し、新たな意味を創造しつづけ、そして感動・感銘を生む。
 冗談でなく、彼の生き様、物語から明日の生きる力をもらいましたよ。ありがとう小橋。よし、オレも頑張ろう。問いかけ続け、そして語り続けましょう。
 今日は一日中優れた「物語」に接し、最近自分や社会が失ってしまった「モノ」を思い出すことができました。すぐに答えが出るような「コト」ばかりでは、私たちは生きられないのですね。

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