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2007.12.17

リベンジ!『消せるボールペン』(PILOT フリクションボール)

Imagelfb20f ちょうど3年くらい前に同じパイロットの「D-ink」についての記事を書きました。消しゴムで消せるという触れ込みだったのですが、結局私の指でも普通に消せてしまうので、これは「プロジェクト╳(ペケ)」だ、みたいなこと書いてます。そんな評にパイロット開発陣が奮起したのか(ないない)、今年の3月に新しい発想の「消せるボールペン」を発売しました。私はこの前東京に行った時に初めて購入して使ってみました。いろいろ言った手前、すぐにでも使ってみるべきだったのにね。
 さあ今回、満を持して、いや雪辱を果たす意気込みで開発した(と思われる)この「消せるボールペン」、どんな仕組みでどんな使い心地なんでしょう。
 まず面白いのは、消しゴムで消すのではないということです。一見ペンのお尻に付いているのは消しゴムのようですけど、実は単なる半球形の樹脂の塊でして、使い方としても消しゴムのようにこするんですが、消しカスが出たり減ったりはしません。ただこするだけです。そうすると確かに書いた文字が消える。
 そう、これはなんと摩擦熱によってインクが無色化するという仕組みなのです。う〜む、そう来たか。やられた。
 この前のD-inkや他社の製品は、たいがいインクの粒子を大きく設計して、つまり紙の奥深くにしみ込まないようにして、それで紙の表面にへばりついているインクを消しゴムで削り取るというような仕組みだったんですね(たぶん)。だから、私の指のように性能のよい指でも消す(削り取る)ことができた。それがいけなかったんです。
 しかし、このフリクションシリーズはインク自体を無色化するわけですから、もちろん紙にしみ込んでもほとんど問題ないわけです。発想が前と全然違いますね。
 インクの粒子が大きかったことで、実は前の製品は書き心地もなんだかイマイチだったんです。インクが紙にのらないというか、いや、なんかホントに乗ってるだけというか、とにかくいかにもこすれば取れそうな感触だったんです。それが今回は普通の水性ボールペンと同じようにちゃんと紙と一体になっている感じがする。good!
 で、実際にお尻のニセ消しゴムでコシコシやってみますと、うんちょっとタイムラグはあるけど、たしかにきれいに消える(無色になる)。インク自体は残っているわけですから、光の具合で書き跡が見えるのかなと思ってよく見てみましたが、ほとんど見えません。実用上問題ありませんね。
 今回、私は東京でのバンドの練習で使ったんです。つまり楽譜への書き込みですね。いつもは鉛筆を使います。4Bとかの。で、訂正や変更がある時は消しゴムでコシコシするんですけど、そうするとたいがい汚くなってたんですね。それに赤鉛筆とかは基本使えなかった。それが、このフリクションボールにはいろいろな色がありますし(8色)、消え味もいいので、ちょっと便利です。まあ、譜面台に楽譜を立てた状態のままこするのはちょっと無理がありますが。
Gder という感じで、これはなかなか使えそうだぞ。しかし、待てよ。ものは試しだ。私の超高性能の指をもってすれば、こいつも消すことができるのではないか…なんていう邪念がまたフツフツとわいてきたぞよ。いざ勝負!コシコシコシコシ…。
 う〜、指先がやばいっす。どうもこのインク60度くらいにならないと無色にならないらしい。指先で60度まで摩擦熱を起こすのはかなりきついっす。つまり指先も60度になるわけでして、私の超高性能高感度の指にはちょっと刺激的すぎます(笑)。よってフリクションボールの勝ち!う〜負けた…orz。
 で、試しに今すぐ横にあるファンヒーターの温風の出口に紙を持っていったら、すぐに字が消えました。面白い。そして、温風から離すとすぐに字がまた復活する。おお、楽しい。あぶり出しの逆バージョンみたい。ん?ということは、温度が下がるとまた字が復活しちゃうってことか?それじゃあ、お尻のラバーで消してもすぐに復活しちゃうじゃんねえ。
 いろいろ試してみますと、どうも温度が上がると化学反応が起きる仕組みのようでして、ある程度時間をかけて暖めると、もう常温では復活しなくなります。つまり、さっきのファンヒーターの場合は、字が消えた瞬間に常温に戻していたので、反応が逆戻りしたみたい。
 さて、ついでに実験。完全に文字が消えた紙を冷凍庫に入れてみました。はたしてどうなるか。
 10分経過…お〜っと、字が復活してまいりました!ということは、これは可逆反応ということですな。ん?ということは、ということは…もしかして。
 え〜っ!?ダメじゃないですか。ウチみたいな寒冷地は余裕で−10℃以下になりますよ。今だって−8℃です。私なんかいろんな楽譜やメモなんかを車の中に放置してますから、そうすると消したはずのものが全部出てきちゃうってこと?うわぁ〜、そりゃ困る。パイロットさん、次は寒冷地仕様、あるいは不可逆反応仕様をお願いします。
 まっ、逆に考えれば消しちゃったものも復活するということで、それはそれで実は便利なのかもしれませんね。書誌学的には(笑)。というか、これで年賀状とか書いて、いったんファンヒーターで消しといてですねえ、そして、冷凍庫に入れて下さいみたいなこともできますね。あぶり出しならぬ冷やし出し(笑)。
 いずれにせよ、ボールペンで書いた字を消したいなんていうのは人間の煩悩の最たるもの。やってしまったことを消してしまいたい、やり直したい。そんなに世の中甘くないってことですか。でも、今回のパイロットさんのリベンジには合格点を差し上げたいと思います。これで私の中のD-inkの記憶は消えました(…かな?)。

フリクションボール公式

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コメント

前略 薀恥庵御亭主 様
いつも 拝読いたしておりまして・・・・
楽しくて しょうがありません。笑
こんな 面白くて為になる御話が・・・・
毎日 読めるのですから 本当に幸せです。
願望としては総てに「コメント」いたしたいのです。笑
師走ですので・・名僧(師匠)は走っていても・・・
愚僧は毎日「愚か」に迷走を楽しんでおります。笑
勿論 仕事という石に躓(つまづ)いて・・・
故障して支障を来たすコトだけは明白です。笑
さてPILOTといえば・・・・
「高畑正幸」様の「究極の文房具カタログ」という
御本の中に・・・PILOT Vコーンという・・・
100円程度の水性ボールペンが高く評価されておりました。
何年か前に そのボールペンを愚僧の御寺の信者様方に・・・500本ほど寺報と一緒に御配りいたした事があります。それは とても評判がよく・・・「アンタの書いた妙な標語みたいなチラシはいらんけん あの ボールペンば やらんね。」トホホホホ・・・苦笑
本当に・・・よい製品は・・・多数の消費者様に受け入れられ・・・煩悩塗(まみ)れの駄文は・・・・
その裏面の白紙がメモ帳として活躍するようですね。笑
これぞ正に・・・因果応報 意気消沈で御座います。
来年こそは・・・日々精進 意気揚々で参ります。
うぅぅぅん。竜頭蛇尾にならねばよいのでが・・・・。
薀恥庵御亭主様の益々の御活躍を祈念いたしております。            合唱おじさん 拝


投稿: 合唱おじさん | 2007.12.18 23:14

追記(訂正)
竜頭蛇尾にならねばよいのでが・・・・。×  

竜頭蛇尾にならねばよいのですが・・・。◎
 
いまから・・・これでは先が思いやられます。笑 

投稿: 合唱おじさん | 2007.12.18 23:20

合唱おじさんさま、おはようございます。
なんか本当に申し訳ないほどのお言葉をいただき…。
なんと申して良いやら。
私にとってはある意味このブログは修行です。
毎日の公案だと思ってやっております。
しかし、それこそ煩悩まみれの駄文でございます。
野狐にもなっていない戯れ言です。
でも、やめられないのはなぜでしょう。
けっこう毎日キツイのですが…
これがもしかして求道というものなのでしょうか。
なんちゃって…

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.12.19 08:27

御返事いただき 誠に有難うございました。
毎日 御継続なされておられる御姿勢
まことに 天晴(あっぱれ)至極で あります。
まさに求道精進。継続は「力」なりであります。
内容も素晴らしく  有難いことで あります。
「パソコン通信」時代の文章を 友人から
メールで送られましたが・・・・
もう「10年以上前の文章」・・・・
再読しましたが まったく 尻滅裂× 支離滅裂
で 今同様 「出鱈目馬鹿話」です。
糖尿病治療などで・・・パソコン通信も
中断いたしました。この度・・・・
薀恥庵御亭主様の「御文」を拝読し・・・
とても 「こころ踊り」「こころ軽く」
楽しまさせていただきました。
多くの「読者」様も同様の事と存じます。
たいへん勉強になりました。本来なら・・・
御月謝を払うべきところであります。笑
今後の御活躍を祈念いたしております。

投稿: 合唱おじさん | 2007.12.23 20:08

月謝だなんてとんでもない…。
実のところこのブログを通じてお小遣いが入るんですよ。
読者の皆さまのおかげで、新しい本などを購入することができるんです。
ありがたいことです。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.12.24 06:48

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