大晦日格闘技のMVPは…(2007)
だいぶ遅くなりましたが、心のプロレスラーとして書かずにはいられません。
2007年もまた、格闘技イベントで締めくくり。いつからでしょうかね。紅白に対して格闘技がぶつけられるようになったのは。これは面白いことだと思いますよ。歌の祭祀性に対し、格闘技の祭祀性をぶつける。どちらもガチンコであり、どちらも演劇であり、どちらも日常であり、どちらも非日常であるという事実。
とにかく、大晦日というのは「大いなる三十日」なのです。年をまたぐ、その寸前の場という意味で、過去と現在と未来をつなぐ時間であり、日常と非日常、ケとハレ、現実と夢をつなぐ空間でもあるわけですね。
そんな特別な時を、我々は歌を聴き、歌を歌い、格闘技に心震わせ、そしてソバを喰ってすごすわけです。おそらく唯一全国民が一つになる祭が大晦日でしょう。
歌はやはり恋の歌。格闘技は「レッスル」すなわち「じゃれあい」。ソバは「細く長く」。いずれにせよ、我々の子孫繁栄、ひいては五穀豊穰を祈る、きわめて「性的」な祭なのであります(なんちゃって)。
さてさて、そんなレッスルですが、今年はいわゆる「大連立」などありまして、大いに興味深い闘いが繰り広げられました。ウチのカミさんなんかは、もちろん桜庭和志の大ファンでありますので、いわゆる「東北百姓対決」…いやいや、「レジェンド対決」(だいぶ違うなあ…でも五穀豊穰を願うとすれば、百姓対決で良かったのかも)と、因縁(怨念)深い「秋山vs三崎」に大興奮しておりました。いや、今思えば、昨年の「ヌルヌル」もまた過度に性的だったのかもしれないな(笑)。
まあ、とにかくそれぞれの戦いについて書き出すとキリがありませんので、今日はワタクシが選ぶMVPだけ発表しておきましょう。ジャジャ〜ン!!それは…
キンターマン選手
です!上の写真で思いっきりハイキックをもらっている、その人です!これはもう圧倒的差をつけてMVPですよ。ちなみに2位はこのハイキックの主、ミルコ・クロコップ選手です。
格闘技に詳しい方でないと全く分からないと思いますけど、ミルコがハッスルのリングに立つこと自体、もう大変なお祭りなのであります。夢にも思わなかったというのはこのことです。可能性0%なんですよ。福田総理がM-1に出るようなもんです(?)。
で、このミルコという人はハイキックの鬼(神)でして、ガードの上からでもこれを喰らうとまずKOなんです。我々凡人では死ぬでしょう、間違いなく。それを、見てください、上の写真。キンターマン選手は完全にノーガードで受けています。ありえません。
これは命をかけた闘いです。奇跡的に降臨した神のため、祭の完成のため、日本国民の幸福のため、彼はあえて完全ノーガードで神業を受けました。
実際、この後、キンターマン選手はリング上でいびきをかくという危険な情態に陥り、救急車で病院へ。その後の年末年始の仕事は全てキャンセルになってしまいました。
ところで、キンターマン選手は、本名…ではなくて本リングネームを金村キンタローと言う素晴らしいプロレスラーです。私は今年の7月に初めて彼の試合を生で観ました。この記事に書いたLOCK UPの大会ですね。彼は実は在日韓国人レスラーです(本名は金珩皓)。在日の彼がクロアチアのミルコにやられる…それも日本の大晦日、そしてお正月のために…。二人とも偉いっす。
それに比べて、空気を読めない在日格闘家もいましたねえ。秋成勲です。彼は昨年の大晦日、日本の(ウチの)大晦日とお正月を台無しにしてくれました。その彼、今年は、キンターマン選手と同じくKOされて病院送りになりました。これは空気を読んだのか…いや全然違うな。あれは本気で負けてたな。まあ、でもああやって負けたことで、かなりの日本人(たとえばウチのカミさん)は溜飲を下げたわけで、まあ結果としては祭の成功に寄与したということですかね。
紅白にせよ、格闘技にせよ、日本の大晦日は在日の皆さまが大活躍です。これは正直素晴らしいことだと思いますよ。そこんとこの歴史的、文化的考察をし始めるとたぶん丸1年かかってしまうので、省略。
いずれにせよ、キンターマン選手こと金村キンタロー選手は素晴らしすぎました。私はますます彼のファンになってしまいました。心のプロレスラーを標榜するワタクシとしてましては、まさに身も心もプロレスラーであるキンターマン選手の大玉砕に、心の底から敬意を表したいと思います。ありがとうキンターマン!オレも頑張るよ!!
ps キンターマンというネーミングも子孫繁栄を祈るものなんでしょうね(笑)。
この件に関するカクトウログのこちらの記事もいろいろと考えさせられます。
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