『話題別英単語リンガメタリカ』 中澤幸夫 (増進会出版社)
あらら、いつのまにか絶版になってたんですね。残念。少々内容が古くなったとはいえ、これは手に入れておいた方がいいですよ。名著だと思います。
最近、とにかく小論文の指導が忙しく、胃がキリキリしています。中には英語小論文までありまして、カミさんにも協力してもらってなんとかやってます。
で、英語小論文を書くときにお世話になっているのが、この単語集とアルクのホームページの「英辞郎」です。
リンガメタリカは、IT・エコ・福祉など現代的なテーマごとにまとめられた英単語集なんですが、なにしろ例文とその訳が素晴らしい。この一冊で、単語、英作文、和訳、そして社会についてかなり深く勉強できます。付録には各社会問題の背景の解説までついていて、これは本当に受験生のための参考書なのか?と不思議に思うほどです。教養書そのものなんですよ。
私もこれを買ってからもう5,6年になりますが、もちろん全部読んだわけではありません。でも、たまにパッと開いたところを読んだり、眺めたりするだけでも面白い。日本語の小論文のネタ本としてもかなり有用です。
先ほどもちょっと書きましたけど、とにかく和訳がいいんですよ。英語の参考書とか単語集とかって、なんだか日本語が変なものが多い。いかにも直訳調のものや、逆に必要以上に意訳しているものなど、いずれにせよ日本語が美しくないんですね。それが、このリンガメタリカの日本語は、とっても整っていて立派なんです。
受験用の和訳の指導では、なかなかそこまでできないのが実情でしょう。そこまで要求されていないとも言えますが。そう考えると、英語と国語の連携というのは、もっとやってもいいのかもしれませんね。
と、この本はそんな感じなので、逆に受験生には必要以上にマニアックに感じられるでしょうし、一般人の目にはとまらないんでしょうね、いつのまにか絶版になってしまったというわけです。私としては、5年に一度くらい改訂して、どんどん出してもらいたい。英語の教科書は読む気がしないし、英字新聞なんか自分で訳す気力もヒマもないし、こういうのがポンと手もとにあるといいなあ。英語つき日本の論点って感じで。
英語小論文を書く時には、その表現や構成、単語はもちろん、内容までパクっちゃうわけですよ。つまり拝借する。小論文は、というより、人の教養や知識なんてものは、しょせん受け売りなんですから。ただ、それを自分の血や肉になるまで消化すること。そっちが大切です。
リンガメタリカ、なぜか私はCDまで買ってるんです。例文の朗読(?)が収録されてまして、これもいい勉強になりますよ。論文の一部の朗読を聴くことが、私にとってなんの勉強になるのか、よく分かりませんけどね。
それにしても、この「リンガメタリカ」というネーミング。これはすごいですね。基本ナンセンスなんだそうですが、なんとなくかっこいい。生徒たちは「リンガメ」と略して呼んでます。
Amazon 話題別英単語リンガメタリカ(Z会)
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