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2007.11.24

ヤマハのシステム発表会についての考察

Yamaha77 えっと、今日は上の娘の発表会でした。なんだか意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、娘はヤマハの音楽教室に通っています。本人がやりたいと言ったので数年前から通わせています。
 娘はそれなりに頑張っていましたし、楽しんでいたようなので、それはそれで良かった。何よりも仲の良い友達といっしょに何かを完成させるという体験は価値あるものだと思います。村の中だけでは人間関係が限られますしね。こうして他地域の子ども、違う世代の子どもと触れ合うのもいいことだと思います。
 さて、今日はちょっと意地悪な感想も書きたいと思います。じっくり最初から最後まで聴かせてもらいまして、いろいろと疑問に思うこともありましたので。
 まず、これは当然のことで書くのも憚られますけれど、ヤマハとしてはかのエレクトーンを買ってもらいたいんでしょうね。いや、びっくりしましたよ。今のエレクトーンってホントすごいですねえ。最初に講師4人の演奏でベートーベンの7番を聴きました。サンプリングされた音のリアルさはたしかにものすごい。昔のエレクトーンのイメージは全くありません。で、教室でやってることを家でやろうとすれば、これはもう楽器を買うしかない。ピアノやカシオのキーボードではちゃんとした練習になりませんからね。とっても高い買い物ですね。もちろんウチでは買いませんよ。一番ほしくない楽器ですので(笑)。
 これは別にエレクトーンに限ったことではないのですが、デジタル技術の進歩によって電子楽器がどんどんリアル楽器に近づいていく。じゃあ、ホンモノでやった方がいいじゃないか、とも思うんです。手軽にああいうことができる喜びというのもわかります。私も一時期DTMにはまりましたからね。実際商業音楽も半分はそういう世界ですし。
 趣味としてはいいんですよ。オタク的な趣味としてはね。しかし、教育としてはどうなんでしょうか。私は常々「楽器が教えてくれる」ということを言います。たとえば自分について言えば、何十年もかけてヴァイオリンを弾けるように、コントロールできるようになったんじゃなくて、楽器に何十年もかけて教えてもらったんですよね。楽器に合わせていろいろな動きなんかを工夫しているだけなんです。禅でいう「なりきる心」ですよ。モノが主体です。モノによって自分が縁起してくるだけの話です。楽器の技術だけでなく、もちろん合奏の技術なんかもそうです。
 そういう意味では、ああいう電子楽器はほとんど何も教えてくれないと思います。あれは演奏ではなくて操作です。テレビやパソコンやゲーム機が教えてくれることもあるけれど、それは決して「教育」のレベルにまではなっていませんよね。私はそう思います。ヴァイオリンなんて構え方からしてものすごく不自然だし、非常に扱いにくいモノです。だからこそ学ぶ点が多いんですよ。いい先生です。
 あと発表会全体を通じてあまりに打ち込みの音が多すぎた。生徒の演奏のバックには必ず打ち込みの「BGM」が流れています。おいおい。どれが子どもの音なんだよ。いや、実は子どもの音はよくわかります。なぜならリズムが非常に人間的だから(たいがい早くなる)。先生の演奏に至ってはとんでもないことになってました。例えば最後に演奏された「風林火山のテーマ曲」。先生方はお上手ですから、そういう打ち込みにほぼ完全に乗ることができる。結果として全てがほとんど機械的な音楽になってしまっていて、もう目をつぶれば人間が演奏しているようにはとても聞こえません。いったい先生たちが舞台に並んで、エレクトーンを操作する意味があるのだろうか。私が聴きたいあなた方の音楽はそんなんじゃない!
 それからいつかも書きましたし、ヤマハの先生にも質問したんですけど、なんで伴奏がなんでも「ドミソ」と「シファソ」なのか。なんでそればっかりなのか。私は気持ち悪くてしかたないんです。子どもたちは完全にその響きに洗脳されています。もうそういう本来不自然な文脈(コード進行)が自然だと感じるようになっています。世界的な音楽のみならず西洋音楽の中でもかなり気持ち悪い響きだと思うんですけどね。不安定さを覚えてほしいと先生はおっしゃってましたが、それはそれで意味があるし、効果的に使えば価値ある不安定さではありますが、そればっかりというのは子どもの音楽的感性に対して非常に不幸であると思います。
 ま、ウチはありがたいことに様々な生楽器や生歌の音がしょっちゅう鳴り響いていますので、そんなに心配ではないかもしれません。逆にこういうエレクトーン的音楽から入って、物足りなさを感じて生楽器に進んでくれればいいのかもしれませんし。たしかに楽器の入門としては悪くないかもね。でも、先生たちやヤマハの皆さんはそういう意識を持ってるんでしょうかね。あと親たちも。
 と、こんなへそ曲がりな親がいるとホントいやでしょうなあ、先生としては。モンスター・ペアレントか?(笑)思ってるだけで口には出しませんが(とか言って、こうやって世界に発信してるし!)。
 で、さらにモンスター・ペアレントぶりを発揮しまして、親バカ発言で最後をしめようと思います。先ほども書いたように、子どもたちはほとんどが「走り」ます。かなり客観的に聴いていたつもりですが、唯一完璧なテンポ感で弾いていたのはウチの子だけでした!?wwwww
 …って、あいつもうすでに先生たちと同様DTM的境地に達してるのか?!人間シーケンサーになってるのかも。自慢じゃなくて、これは憂慮すべきことなのかもしれない…。

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コメント

三線でも・・・尺八でも
二胡でも・・・のこぎり演奏でも・・・
楽器に教えていただくことがほとんどですね。
電気三線・・・電気尺八・・・電気二胡
そして・・・・チェーンソー
うぅぅぅ・・・ん
のこぎり演奏だけは・・・・電子化は困難なようです笑
すべて毒学× 独学ですが・・・楽しんでおります。
                  合唱おじさん     

投稿: 合唱おじさん | 2007.11.25 12:35

 将来有望なお嬢様ですね。
 ちなみに、更に上達し神様レベルに到達しますと、例えバックが単調な打ち込みであろうと、奏者が巧みにアクセントをつけて演奏するため、打ち込みに聞こえなくなったりしますね。ノリ(グルーヴ)ってやつです。

投稿: LUKE | 2007.11.25 17:45

合唱おじさん、こんにちは。
私もほとんど独学(毒学)です。
私たちシロウトは楽しむのが一番ですよね。
音楽は素晴らしい。
この世に音楽があったから、こうして生きていられるのでしょう。
おおげさでなく。

LUKEさん、どうもです。
全然有望ではないですよ。
それこそノリが感じられなかった!なんて、まずは正確に弾く訓練がとっても大切です。
私はそこんとこを完全に無視して毒学してしまったので、今苦労してます。
ノリが必要でないところでも変にノってしまって迷惑をかけてます(笑)

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.11.26 11:37

エレクトーン、一番欲しくないですかぁ。
私は5歳から10年間、エレクトーンを習っていました(笑
実は私は指がくっついていて、かつ短いという障害を持っています。
手術で指同士を切り離してたので、日常生活には支障がないんですがで、握力が弱いんです。
そこで母が少しでもコンプレックスを減らせるようにと、握力が弱くても弾けるエレクトーンを習わしてくれたんですよ。

そんなわけでエレクトーンは私の好きな楽器なのですが・・・!
確かに最近のエレクトーンは打ち込み多すぎですね。
それに合わせて、曲もどんどん楽器数の多いものになっていて。
私が持っているのは、最近のキーボードよりも旧式の打ち込み一切なしのものなので、ちょっと羨ましいですが(笑
値段もバカ高いし、車買えますよ、あれは。

それでも、自分が完璧に弾けたときは楽しいものでした。
自分が楽器を使いこなしてる感ありましたよ。
個人のお家に習いに行ってたので、好きな曲を弾けてたのもありますが。
今なら、それこそレミオや吉井さんの曲なんかを弾いてみたいです(笑
今にして思うと、音楽を身近なのもに感じれる効果はありましたよ。
長々と失礼しました。


投稿: mio | 2007.11.27 00:26

>まずは正確に弾く訓練がとっても大切です。

 もちろんその通り。正確なリズムの先に(というか上に)、ノリが醸し出されるわけで、リズム感のない人には無理な芸当。オーケストラの指揮者も完璧なタイム感を持って指揮しますが、演奏が打ち込みに聞こえたりしませんでしょ。私が言いたかったのはそこで、決して正確なリズムを蔑ろにしているわけではありません。むしろ、普通にジャストでリズムキープすることがどれだけ難しいかは、リズム感のない自身の骨身にしみていることです。(T_T) 当然グルーヴィーな演奏なんて出来ないノリの悪い奴なのさ。orz

>ノリが必要でないところでも変にノってしまって迷惑をかけてます(笑)

 それはワルノリって奴ですね。(笑)でもノリが悪いより百倍マシです。(涙)

投稿: LUKE | 2007.11.27 00:41

mioさん、おはようございます。
実は私も習ってましたし、エレクトーンも(もらいものですが)持ってました。
あの頃のエレクトーンは実にアナログ、そしてあのデチューンされた独特の厚みなんか、ある意味電子楽器の王道を行ってましたね。
今のエレクトーンとは全く別の楽器でした。
そうした事情をふまえて、最近のデジタル化著しく、そして打ち込み隆盛のエレクトーン事情を憂えているのです。
私には退化にしか思えないからです。
エレクトーンが嫌いなわけじゃないですよ。
ちょっと書き方が悪かったかな。
関係者に一石を投じたかったもので…。

LUKEさん、どうも。
音楽音痴の両親から生まれたワタクシ、ホントにリズムをキープできません。
メトロノームに合わせることが全くできないんですよ。
最近はそれを逆手にとってワルノリに徹してます(笑)

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.11.27 07:47

最近 Ear Master Pro 5 というソフトのことを知り、お試し期間で使ってみました。その結果、自分にはリズム感が欠けていることを今更ながら知りました。自宅のパソコンは壊れていて音が出ないので、新しいパソコンを購入した際、このソフトも入手して練習したいと思っています。ぜひ自分の子どもにもやらせてみようと思います。

投稿: 龍川順 | 2007.11.27 08:45

龍川さん、こんにちは。
そのソフトは知りませんでしたね。
なかなか面白そうです。
でも、結局生合奏体験が一番だと思いますよ。
リズム感というのも、単にビートを刻むのとは違いますしね。
実際古楽なんかやってますと、いかに大きく数えるかというのが勝負ですので。
そればっかりは経験かなあ…。
私は指導者や共演者にとっても恵まれましたので。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.11.27 13:08

PC、クラッシュして全てが消えまして・・・。
(バックアップぅ?ふふふ)
直ってきたPCの前で、
過去のフジファブリックの記事を探して
閲覧していたら・・・

あらあら・・・(苦笑)
いやいや、ありがたいです。
私も勤めていながら、疑問と戦ってます。
幸い近くにY先生がいることで救われる。
彼女はヤマハで私の師でありながら毒されてない。

私はエレクトーンで育ってきたし、
それで音楽の世界が広がったし、
結局、楽器や音楽を知らないとエレクトーンに
「弾かさせられる」のです。
私は子供たちにもお家の方にも
「聴く」「知る」
事を伝えたいと思っています。

たくさん言いたい事あるけど、また機会があったら
お話したいです。

・・・私の演奏力もまだまだです(涙)
私は「弾かさせられる」のではなく、
「弾いている」んですけれど・・・。
・・・いやいや、そこがアンサンブルの難しさ(汗)

Y先生と以前演った、ラフマニノフ、千住明の時は
ミスだらけでありながら、シビれました。
(自分で自分にです、バカです。)

目の前の楽器を私は鳴らし伝える事が
私の仕事なんです。
伝える事の厳しさを忘れてはいけないですね。
日々に追われてもです。

今、その発表会の準備中。
私なりに生徒達にこの期間だからこその「何か」を
伝えられたらいいなと思うだけです。

田舎の一講師、大きなものには所詮、勝てないです。
でも私の音楽界は私の「もの」
「縁」あって、出会った生徒さん達は
私の音楽界から何かを見つけてくれたらと思います。

メールでいいのに、こんなこと・・・。
メールアドレスも消えました。
あの日の熱にうなされてた日のメールも。

でも気持ちは消えてないです。
フジファブリックと出会えて、
改めて音楽が好きになったし、
勉強したいと思ったし、
何より、悩みあれど明日をやっぱり生きようと
思うのであります。

投稿: yuzuki | 2010.10.12 09:52

yuzukiさん、お久しぶりです。
あ〜あ、見られちゃった(笑)。
私、ニコニコしながらこういうことヘーキで言っちゃう人なんで、ご注意を。
でも、今読んでもけっこう本質を突いてると思いますよ。
まさにおととい、生の超絶アンサンブルを味わった者としては、正直こんなふうに思ってしまいます。
Y先生はかなりその本質がお分かりですよ。
さすがですね。
だからウチと一緒にできるのでしょう。
また、遊びに来てください。
フジファ話もいろいろありますし。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.10.12 18:14

あっはっは!読んでしまった!!yuzuさま、庵主さま。

30年?!前、新講師研修初日。
全員へ「ピアノとエレクトーンの違いは?」と訊かれ、真っ先に(独りだけ手を挙げ)、演説したのでありました。
以来その基本的気持ちは何も変わらないけれど、エレクトーンの暴走は止まりません。

300年前、初めて登場した「ピアノもフォルテも表現できる小さなハンマー付きチェンバロ」のために作られた作品集。
海を渡ってやって来たその複製を今手にして、30年前の先の感覚が広がってきたのを実感します。

数週間後に控えた講師演奏、私の受け持ちはエレクトーン!
練習の仕方がまるで判りませぬ。「オイオイ打ち込み君、主人は音楽そのものとワシじゃ。勝手に先に行くなかれ!」
とぼやき嘆き、「楽しみ」はお預けにして「義務」に邁進せねば、とまるでやる気になれない。

あっはっは、人生は矛盾だらけやね~!
んでも人生は即興!ここは秘策の出番か…。

そうそう、その300年前の譜面には、現代ですら到底弾かれないようなハーモニーの続出です。ロマン!

投稿: ひ♪ピ | 2010.11.30 09:31

おっとY先生ご本人の登場ですな!ww
いやあ世界中探しても、フォルテピアノも弾きこなすエレクトーンの先生はいませんよ(笑)。
両方っていうのが一番かっこいいですね。
最近ようやくモダン・ヴァイオリンをしっかりやろうと思い始めました。
もうこうなったらなんでもやってやろう!と思います。
一度きりの人生だし、あと何回楽しめるかわかりませんからね。
よろしくおつきあい下さい!

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.11.30 19:49

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