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2007.11.06

『フリーズする脳 思考が止まる、言葉に詰まる』 築山節 (生活人新書 NHK出版)

478ddii 相変わらず小論文指導に明け暮れています。で、今年は困ったことが多発しています。ホント今年が初めてです。それは漢字の間違い。文章はみんなうまくなっていくんですが、何しろとんでもない漢字の間違いがなおらない。ほとんど病気です。なんでこういう間違いをするのか、という間違いの連続です。見直しても気づかない。音読させても気がつかない。やっぱりケータイやパソコンで「打つ」影響でしょうか。いやあ、なんで今年はこんなに多発してるんだ?
 と、言いつつ、私もこうして「打つ」生活をしていますので、最近かなりヤバいんですよ。国語の先生でありながら、板書というものをほとんどしなかったりするので、たぶん普通のビジネスマンと同じくらい打ってばかりいる。だからでしょうか、時々「あれっ?出てこない」とか「この字で良かったっけ?」ということがある。
 そういうのが「フリーズ」なのかどうかわかりません。正直「フリーズ」とはちょっと違う気もする。言葉のイメージとしてね。フリーズしたら再起動って感じじゃないですか。ど忘れみたいなのは、そこまでは行かない。Mac OSXでも、風車がクルクル回って処理が進まなくなる時があるじゃないですか、なんかの拍子に。そんな感じかな。OS9の時はよく固まってましたけど。あれは脳死状態って感じ。今思うと怖い…。
 この本にもパソコンの弊害がたくさん挙げられていました。たしかに字を書くという行為だけでなくて、調べるという行為も大きく変わりましたね。生徒も私たちも紙の辞書をひくということが本当に少なくなった。電子辞書やネット辞書ばかりです。図書室で調べ物ということもほとんどなく、はいWikipediaに聞いてみようということになる。私たちの脳の働き方はたしかに変わりましたね。
 脳に限らず人間の身体というのは、使わなくなると機能低下します。当然ですね。人類は道具を作り始めてから、つまり「人類」になってからというもの、ずっとそうして機能低下を繰り返してきたはずです。でも一方では、そのいろいろな道具を扱う術も身につけてきました。もしかすると失った古典的リテラシーよりも、新しいメディアリテラシーの方が多いかもしれない。
 失う方ばかりを憂えるのは簡単ですよね。つまり、私たちの脳のキャパ、すなわちCPUの処理能力やメモリー、ストレージの量なんかはある程度決まっていて、新しく身につけた分だけ、必要ないと判断されたものが消えていくというだけかもしれません。
 だから、私は最近の「あれっ?」はあんまり気にしないようにしてるんです。だって日々いろいろ新しい知識を身につけてるわけですし、新しい技も身につけていると思うので。あるいは自分の欠けたところを戦略的にメディアで補完している感じもありますから。ただ、自分の脳の限界点に達してるんだなということを実感するだけ。別にそれは困ったことではなく、面白いことです。
 しかし、この本でも多く語られている「ぼけ」や「若年性健忘症」は、ちょっとまずいですよね。おそらくそうした脳のスペックやキャパを超えた作業をすると、フリーズあるいはクラッシュするんでしょうね。これはやはり病気や異常の領域です。私は今のところそこまで無理のある生活はしていません。ありがたいことです。
 一方で私は、あえてフリーズすることもしています。疑似フリーズというか、エセぼけというか。これが気持ちいいんですよ。「先生止まってるよ」と言われる時、考えてるふりして実は休んでる時、これが案外気持ちいい。そうして少しCPUを冷却するんです。これは身につけると役立つ技ですよ。皆さんも密かにやってみてください。意識的フリーズ。最高の現実逃避、日常内レジャーであります。たぶんθ波かなんか出てるんだろうな、そういう時(笑)。
 ま、疑似のつもりがそのまま永遠に復帰不能になったりしないように気をつけなきゃね。

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