THE YELLOW MONKEY 『SICKS』
やっぱり名盤だ。日本人ならこれを聴かずして死ねませんね。日本のロックでこれを超えるのは正直難しいでしょう。
10年前、このアルバムを聴いた時のあの衝撃は忘れません。そして最近、吉井和哉さんのニュー・アルバムが出たのきっかけに久々にじっくり聴いてみて、また違った衝撃が走りました。
私が邦楽を聴き始めたきっかけは、まさにこのアルバムでした。基本的に洋楽、特にロックは洋楽しか聴かなかった私、いや、日本語でのロックは不可能だろうと思っていた私、正直邦楽をバカにしていた私(実際、当時のメジャー・シーンはひどかったが)は、この恐るべき音と言葉の塊に完全に打ちのめされました。なんだこりゃあ!!
日本語にこんなにもロック性があったとは。そう、彼らの音もたしかにすごかったんですが、やっぱり吉井さんの歌詞…いやいやあれは叙情詩そのものですね、あの言霊はいつ聴いてもすごい。理屈ではなくとにかく「すごい」としか言いようがないんです。
なんかとっても大袈裟に聞こえるかもしれませんが、自分の中で初めて現代日本語の「歌」が古典の「歌」とつながったような気がしたんです。確かにそれからですね、演歌の歌詞を聴くようになったり、あるいは浜崎あゆみの歌詞が分かるようになったのは。そして現代詩が読めるようになったのは。それくらい私にとっては衝撃だったんです。
音楽的にも何かがパッと開けたような気がした。私の音楽ライフは一気に数倍広がりました。今こうしてジャンルを問わず音楽を聴き、そして弾くようになっているのは、完全にイエモンのおかげ、特にこのアルバムのおかげです。
彼らの音楽性は、それこそジャンル的に言えば、UKロックとUSロックと日本の歌謡曲の絶妙な融合ということになるんでしょうが、それが成功しているとかそういう次元ではなくて、やはり、ザ・イエロー・モンキーというジャンルを作ってしまったいるんですね。本当に世界に無二です。
どの曲も奇跡的に素晴らしく、また全体としても、それこそ恐るべき塊であり、いろいろと語りたいけれどそれすら拒否してしまうほど完璧なんです。10年前、当時としては全く信じられないことですが、カラオケ嫌いの私が一生懸命彼らの歌の練習をしましたし、ギター譜を買って長らく弾いていなかったギターを引っ張り出してきました。ある意味そういう表現しかできなかったんです。
ただ、あまりに素晴らしかったので、ちょっと怖さもありました。これってもしかして奇跡なんじゃないかなっていう危惧。実際彼ら自身、あるいはソロになったのちの吉井和哉さんもこれを超えられず、また様々な日本のロックバンドがこれを超えられず苦しんだ、苦しんでいるとも言えます。
当時のイエモン自身はもちろんその奇跡を奇跡だとは思っていませんでした。このアルバムこそがスタートで、これからもっとすごい日本語ロックが生まれると思っていたんですね。そのあたりについては今年発掘されたこちらの番組を観るとよ〜くわかります。ノリノリの彼らにはその後10年間の憂い(もちろんイエモン解散も含めて)の微塵も感じられません。
こういう奇跡的な作品というのは、往々にして不幸を招来してしまうものです。多くの人を幸福にし、人生を変え、一方で自らを不幸にし、人生を変えてしまうようなものこそ、歴史的な作品と言われるのかもしれませんね。
蛇足になるかもしれませんが、私がこのアルバムの中でも最も好きな曲の一つである「淡い心だって言ってたよ」の歌詞にインスパイアされて書いたエッセイ「大切」、これが吉井さんのアルバム「39108」をめぐって不思議な因果とご縁を生んでいったのでありました。
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コメント
おぉっ!?『SICKS』ですか!
私も『淡い心~』好きですよ。
レンタルで借りて、i-Podに入れてるんですが、
CDも欲しくなってきてます。
実は昨日、吉井さんのライブに行って来たばかりで!
初参加だったので、庵主さんの武道館レポで勉強させてもらいました。(笑)
楽しみすぎて、今日はフラフラです・・・
投稿: mio | 2007.10.21 20:33
mioさん、どうもです!
昨日行ってきたんですか!たしか広島ですね。
いいな、いいな。
吉井さん、やっぱりライヴが一番ですよ。
私も武道館、何人かに誘われたんですけど、
仕事が忙しい上に平日ということで断念したんですぅ。
ちなみに、今日はSICKSを聴きながらお宅の横を通って、御坂に行ってきました!
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.10.21 20:43