最近の若者は…
↓この粘土板は本文とは関係ありません。
「最近の若者は…すばらしい、偉い」と断言します。今日小論文の指導をしながら、ふと気づきました。こいつら偉いなって。
「最近の若者はダメだ」「最近の若いもんはなっとらん」というようなことが3000年くらい前の粘土板に彫り込まれていたとかいうネタが、もうだいぶ前ですけどネットに流れてましたね。なんだか眉唾です。プラトンだか誰かが「最近の若者は…」と愚痴ったという話も同じくらい眉唾ものですが、まあ今の大人たちを見るかぎり、昔もそういうこと言う人はたくさんいたと想像されることはたしかです。いや、たぶんネアンデルタール人あたりもそんなこと言ったんじゃないかな。最近のクロマニョン人とやらは…まったくぅ、どんだけ〜(とは言わねえよ!)。
そうすると、1万年以上にわたって我々は悪くなり続けたわけでして、ずいぶんと人類というのは悪いヤツになってるはずですよね。で、実際はですね、まあ多少問題はあるけれど、いちおう当時より豊かで平和になってますから、どうも人類史上大量に生産された「最近の若者は…」という言葉の信憑性というのは、十分疑われるに値することがわかります。つまり、歴代の大人たちは自分たちのことを棚に上げて、愚痴り続けてきたわけでして、それはそれでなんとなく共感できるような気もしますが。
さて、今日私が珍しく自分のことを棚に上げず「最近の若者は偉い!」って思ったのはですね、ある重要なバカバカしいことに気づいたからです。
小論文の指導をしてますとね、現代の様々な社会問題を扱うことになるんです。「年金問題」「環境問題」「地域格差」「グローバル化」「いじめ」「ニート」「ネット社会」「少子高齢化」「偽装・捏造」…で、それらの解決法なんかを高校生に書かせるというパターンが多い。まあ、ありそうな話ですよね。普通のことです。
でも、ちょっと考えてみてください。これらの問題って、全部全部私たち大人が用意した問題ですよね。用意したというのは、問題を作った、問題を作ったというのは小論文の問題を作ったということではなくて、その社会問題自体を作ったってことです。私たち大人が自分たちの欲望の実現に躍起になった結果生じた問題ばかりです。
自分の娘たちのことを考えてみても、実に話は単純です。彼女らに関わる心配事、たとえば交通事故、変質者、ゲーム、ケータイ、ネット、アレルギー、いじめ、学級崩壊…どれもこれも大人や親が自ら用意してしまった危険ばかりです。本当に子どもたちのことを思えば、たとえば車に乗らなければいいし、ケータイも廃止すればいい。化学物質は使わなければいい。家でちゃんと道徳を教えればいい。そういうことです。でも、それはできない。する気がない。だいいちそういう発想がない。自分たちで自分たちの最も大切にすべきものを危険にさらしている。
で、こうやって大人な人類は自分たちの集団的罪を反省せず、つまり棚に上げて、恥ずかしいことに、理論的になんの罪もないはずの若者、すなわち自分の子どもたちに対してグチリ続けてきたわけです。
なんで、こういうホントのことを誰も言わないのでしょうね(笑)。
それでですねえ、話をもとに戻しますが、小論文の課題って、そう考えるとものすごく変ですよね。
だって、大人たちが作り出してしまった問題を提示して、若者たちに解決策を考えろ!って言うんですから。おいおい、なんだよ、その責任転嫁は。責任転嫁じゃないな。責任放棄ののち、しりぬぐいお願い、って言ってようなもんじゃないですか。その問題の解決策はあなたが考えるべきでしょう!?
まったくひでえ話です。もちろん自分も含めてね。私もふだんは自分のこと棚上げしっぱなしですが、たまには棚卸ししますよ。てか、皆さんもたまには棚卸ししましょうよ。
これほど多くの、大人が用意した誘惑があるこの世の中で、ホントに若者はそれに流されることなく、あるいは振り回されることなく、よく頑張ってますよ。もし、我々の世代の若い頃、こんなに誘惑があったらどうなっていたでしょう。だいいち、あの頃、今よりひどい犯罪や非行ばっかりじゃなかったですか。今の方がずっと平和ですよ。親殺し、子殺し、少年の犯罪、暴走族、シンナー吸引、喫煙、スケバン(笑)…今よりずっと盛りだくさんでした。もし、今の世の中に彼ら(私たち)がいたら、もっと道をはずれてますよ、きっと。
というわけで、今日はホント反省しちゃいました。だから、生徒に心から「今どきの若者は偉い!おもえらはホントに立派だ!」って言ってやりました。やつらは「また変なこと言ってる」って感じで大笑いしてました。私は珍しくまじめだったんですけどね(笑)。まあ、ホントほめてやりたいです。少なくとも私の高校時代よりずっと勉強してるし…。
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コメント
こんにちは。ご無沙汰しています。
まったくもってその通りだと思います。
私は子供が出来た頃(21年前)から、「今時の子は・・・」と言うフレーズは石器時代から言ってると思うよ!と結構皆に話していました。結局は時代は巡ってるだけかしら。
いえいえそれよりも、ずっと道徳心は向上していると感じています。学校教育のおかげです。
夏目漱石の小説に汽車の窓から、お弁当の空箱をほかすシーンも描写されていますでしょ。
今では考えられないですよね。それに30数年前の野外ライブの終わったあとの映像を何かで見ましたが、アッと驚くほどのゴミが散乱していました。おそらくこれも今ではないのと違いますか?
よく母とこの話をして、先人たちの責任は重いと言うと母は少し憮然としています(笑)
でもどう考えても、高度経済成長時代の成れの果てを、今の子供に押し付けてるような気がします。
40数年前、ビートルズやエレキギターは不良と大人たちにレッテルを張られていました。その当時の若者は今ではすっかり落ち着いたダンディーなおじ様たちです。そして「今時の子は・・・」とおっしゃってるのは事実ですよね。自分たちも「今時の子は・・・」と言われていたのに。
やはり子供の小さい頃から感じてたことですが、学校で安全教育のポスターや、環境のポスター(煙草のポイ捨てなど)を図画で描かせますでしょ。あれなんかも不思議に思いました。大人の不始末を何故子供がポスターにしなければならんのやと(笑)
目の前にイッパイぶら下がっている誘惑を考えれば、学校がつまらないのは間違いない!我々の頃はこんな楽しみなかったもんね~。ほんと誘惑に負ける子もいますでしょうが、頑張ってますよ!大人がこれらを作っておきながら、どうすることも出来ないんですよね。作る前にどうなるか考えろ!なんちゃって(笑)
あ~久々なのに長くなりました。まだまだ思うことはあります。
投稿: あんりまー | 2007.10.30 01:24
あんりまーさん、おひさしぶりです。
ご賛同いただきありがとうございます!
なかなか賛成意見が出ませんで、自分がおかしいのかなと思っていました。
実は今どきの大人はこの事実から目を背けているだけなのでは。
人のせい、時代のせいにするのも今どきの大人の特徴ですね。
で、やばくなると、病気で逃げちゃったりして。
ある国の総理大臣や皇室の方がそうだったような…(笑えねえ)
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.10.30 09:57