修斗
この3連休はe2が無料開放でしたので、私は普段観れない「FIGHTING TV サムライ」を満喫。さすがにこれだけ格闘技やプロレスを続けて観ますと、ちょっと疲れますな。
硬軟いろいろなものを観たわけですが、中でも一番面白かったのは「修斗」でした。いつもは総合格闘技の悪口ばかり書いているのに、と言う方もいらっしゃるでしょう。いや、実は修斗、今回初めてちゃんと観たんですよ。何しろ普段テレビでは観る機会がないもので。私の中では初代タイガーの創設時から時間が止まってたんです。
今回修斗の面白さがわかったと同時に、この前ホントに消えちゃったPRIDEやK-1HERO'Sのつまらなさの原因もよくわかったような気がしました。そして、私の格闘技観やエンターテインメント観を確認するよい機会にもなりました。
考えてみれば、修斗は初代タイガーマスクこと佐山聡がシナリオのある従来のプロレス(世間では八百長と言いますが)を否定して、競技としてのプロフェッショナルな格闘技を目指して創設したものです。プロレス大好き(つまりシナリオのあるショー大好き)の私としては、そこからしてすでに自分とは相容れないようにも感じていたのですが、単純にそうとも言えないということがよくわかりました。つまり、修斗は単純なMMAやバーリ・トゥードではなく、明らかに美しい「型」があるということなんですね。そういう意味では完全に「武道」であり、あるいは本来の意味での「武士道」であり、単純で無粋な「ケンカ」の延長では決してないということです。
逆に言えば、私の好まないPRIDEやHERO'Sは、私から見ると単純で無粋だということです。そこには一定の「型」や「思想」がないために、かみ合うアンサンブル的美しさや心地よさがありません。お互いが尊重しあう何かがない、どころか、お互いの型の潰しあいにしか見えないのです。そして、そこに中途半端な演出が加わるんで最悪です。ビッグネームによる話題性や、どのジャンルの格闘技が一番強いのかという二義的な興味関心だけで大きなお金が動いているような気がするんですね。つまり、これは地下プロレスの延長、すなわちケンカ見世物の延長にしか過ぎないんだということに遅ればせながら気づきました。
一方、修斗にはたしかに勝敗以上に尊重すべき「何か」があると感じました。創始者佐山聡はこう言っています。
「打て」という“打”ではなく「投げろ」という“投”ではなく「極めろ」という“極”ではないまた単に打・投・極を総合的に闘えばいいというものでもない。自然の流れにのった技術がとぎれなく連係し、なめらかに回転することが修斗の姿である。そして闘いを修めていく修斗の思想が、競技者を人格的に正しく導く。それこそが修斗の理念である。礼に始まり、礼に終わる。礼こそ修斗の基本姿勢であり、自然に発せられることが、修斗体得への第一歩である。
今日の放送を観ていて明らかに違うなと思ったのは、技の攻防の美しさでした。これは、「何でもあり」ではなく一つの同じ「型」の中で磨きあってきた互いの技や魂に対する「思い」を感じさせるに充分なものでした。まさに正々堂々の形です。例えば、私の大嫌いなマウントしてのパウンドのシーンはほとんどありませんでした。最近は多少変わってきたとも聞きますが、やはり最後は「極める」のが理想だと考える選手が多いようです。
私はどうもそういう「型」や「様式美」が好きなようですね。修斗にもプロレスにも理想とする「美」が存在します。その表現は全く正反対とも言えそうですが、よくよく考えてみるとその根本の部分では一致しているような気もしてきます。「型」の中の微妙な味わいの違い、あるいは一見予定調和的に見えるストーリーの繰り返しにおける微妙な変化。そして、最終的には相手に対する敬意と信頼、相手とのコラボレーション、アンサンブル。
そんなふうに考えてきますと、佐山聡が再びプロレスをやり始めたというのは、ますます面白い事象ですね。
| 固定リンク
「スポーツ」カテゴリの記事
- 『俺たちは忘れない…10年目の再会 ジャイアント馬場 蘇る16文キック』(BS日テレ)(2009.01.02)
- 明暗分けた大晦日…プロレス vs 格闘技(2008.12.31)
- 『詩のボクシング14−燃えろ!声と言葉のファイターたち-』(NHK)(2008.12.28)
- 『観世寿夫 世阿弥を読む』 観世寿夫・荻原達子編 (平凡社ライブラリー)(2008.12.10)
- 火球 (リアル・エメラルドフロウジョン)(2008.12.07)
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『レッツゴーヤング〜青い花火〜 (81.1.25)』(NHK BS2 蔵出し劇場)(2009.01.07)
- 『第41回 年忘れにっぽんの歌』(テレビ東京・BSジャパン)(2009.01.06)
- 『俺たちは忘れない…10年目の再会 ジャイアント馬場 蘇る16文キック』(BS日テレ)(2009.01.02)
- 『永久保存版 昭和の歌姫 美空ひばり』(NHK BS2)(2008.12.30)
- 『詩のボクシング14−燃えろ!声と言葉のファイターたち-』(NHK)(2008.12.28)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55913/16707184
この記事へのトラックバック一覧です: 修斗:


コメント
我が家の設計をお願いした建築家のu-ochさんが、つい最近ブータンに行って来て、ブログに報告を書いていますから、ぜひ御覧下さい。
http://uoch.exblog.jp/
投稿: mf | 2007.10.09 21:46
ごめんなさい、前日の記事にコメントしたつもりが、ここに書いちゃいました。邪魔でしょうから、消しちゃってください。
ついでながら、僕も小学生の頃はプロレス観戦に熱中していました。TBSテレビでグレート草津、サンダー杉山、ビルロビンソンなんかの中継をやっていた頃です。
投稿: mf | 2007.10.09 22:02
mfさん、おひさしぶりです。
気になさらないでください。
修斗にブータン、いいですよ〜。
ご紹介いただいた記事素晴らしかった!
実にタイムリーでした。
写真もきれいですねえ。
風景も笑顔も美しい。
本気で行きたくなっちゃいました。
ところで…初期の国際プロレスですね!!
私も大々大好きでした。
最近ではこれを買って、何度も観てます。
ビル・ロビンソンさん、今東京に住んでらっしゃるので、今度会いに行こうと計画しています。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.10.10 05:49