『大人の科学マガジン Vol.17(ふろく テルミンmini)』 (学研)
アメリカから突然失踪したロシア人科学者ということでは、昨日のペレリマンに先立つこと60年ということですか。テルミン博士。彼が発明した世界最古の電子楽器といわれる「テルミンヴォックス」。昔から欲しかったんですよ。それが、こういう形で手に入り、そして初演奏!これは行けるぞ!
私の世代…すなわち大人気(おとなげ)ない大人に大人気(だいにんき)の学研「大人の科学」。マニアックかつノスタルジックな付録で私たちを(静かに)熱狂させてきました。私たちはまさに電子機器の自作世代であります。また、学研の科学と学習の申し子でもあります。特に「科学」の付録は魅力的でした。私は、小学生の頃、学研の本社の近くに住んでいましたからね、けっこう通ってましたよ。付録の余りをもらいに行ったりした記憶があります。ああ、懐かしいなあ。
そのへんのツボをしっかり押さえつつ、しかし、お母ちゃんにも怒られない程度の金額で買えるという、なんとも見事なコンセプトに、我々の世代はすっかりやられているわけですね。
そして、とうとう「テルミン」の登場です!最近ちょっとネタ切れかなと思っていましたが、まさかテルミンで来るとはなあ。こういう形で私の夢が叶うとは。学研GJ!です。
ネット書店では軒並み売り切れでしたので、仕事の帰りに本屋さんに寄りましたら、まだまだ山積みになってました。都会じゃもうないんじゃないのかな。田舎はいいっすね。
帰宅後ちょっとお酒をいただき、K-1MAXなんぞを見ながら付録の「テルミン」を作ってみました。作ると言っても、電子回路はもう基盤上に完成していますし、ほとんど組立てだけです。せっかくだからハンダ付けとか、そういう懐かしいこともしたいけれど、考えてみればコテすらないな。というわけで、このお手軽さがいいんでしょう。なんちゃってキットですが、そのキット感がよろしい。子どもたちは物と言えばほとんど完成品しか見たことがありませんから、「なになに?」と言って近づいてきます。そして、手際よく組み立てる父親に尊敬のまなざしを注ぐ…なんか気分いいぞ。
そして、15分もかからず完成。電池を仕込んで音を出してみました。
ん?むむむ…ン?これは難しいぞ。チューニングとやらが難しい。早く華麗に弾きたいけれど、なかなか音が定まらない。
しかし、10分もいじっていればもう完璧。今まで25年くらいですかね、イメージトレーニングを積んできただけのことはある。いや、冗談じゃなくて。私の妄想の中では、私はテルミンの名手だったんですよ。もともと、ヴァイオリンとか三味線とか、音程を自分で探す楽器ばっかりやってきましたから、その勘所みたいなものには結構自信があるんですよ。
おっと、テルミンについてご存知ない方もいらっしゃりますかね。映画にもなりましたから、その音や映像をご覧になった方も多いと思いますが。とにかく楽器に触れることなく両手を宙に舞わせて演奏する不思議楽器なんですよね。左の写真はテルミンを演奏するテルミン博士です。耳に聞こえない高周波を二つ出して、その周波数の差によって耳に聞こえる「うなり」を出すという発音原理ですね。で、そこに人間の体が関与するわけです。2本(ふろくでは1本だけ)のアンテナに手をかざすことによって静電容量が微妙に変り、つまり人間とアンテナで可変コンデンサを作るってことですね、それで音程が変わるわけです。
昔「エーテルフォン」と言われたとか。なんとなく分かりますね。空間に「何か」があって、それを宙を舞う手によってコントロールしている感じがする。そういう実感を得られるところが、このテルミンの魅力です。今、そういう感覚って減りましたからね。ん?いやいや、Wiiとかちょっとそんなとこあるかも。でも、あれはなんとなく原理が解るし、体の動きはあくまでヴァーチャルなものであって、画面上の結果とは間接的なつながりしかないような気がします。テルミンは直接的です。直接的なのに触感がない。目にも見えない。
なんとなく「禅」って感じがするんでよ。ムックの中で矢野顕子さんが「能」だとか「テルミン道」だとか言ってますけど、それわかりますね。そういうことが電子楽器で実現しているというパラドックスが面白い。また、彼女やテルミニストの竹内正実さんが言うように、「難しさ萌え」みたいなものもあるし、シンプルなだけに演奏者がそのまま表れるというのもたしかにある。それに、あの演奏時の集中力、特別な体験です。これはハマりますねえ。
なんて感じで、K-1そっちのけで、ウィ〜ン、ブ〜、ヴィ〜とかやってたら猫は驚くわ、子どもは「うるさい!」って言うわ、カミさんは呆れるわ、魔裟斗は負けるわ、周囲は散々なことになってました(笑)。すごい影響力だ。
これは本格的なテルミンが欲しくなりますね。いかん、またまた変な楽器を始めることになりそうです。でも、絶対ワタシ得意ですよ、こういうの。変な自信があるんだよなあ。このminiを演奏してみて確信しちゃいました。ああ、ホンモノ欲しいけど高いしなあ。とりあえず自作しますか。
ま、とにかく皆さんもぜひぜひ体験してみてください。本屋さんへレッツゴー!
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