『やさしい経営学』 日本経済新聞社編 (日経ビジネス人文庫)
初めて経営学の本を読んでみました。「基本のきほん」って書いてあるんですけど、それなりに結構難しかった。初めてだからでしょうね。
経営哲学の本は何冊か読んだことがありました。でも、だいたいその手の本って宗教書になるじゃないですか。私の得意分野ですから、そういうのは楽しく読ませていただいてました。でも、「学問」となると、やっぱり私苦手なんですね。途端に先に進まなくなる。
常々、経営学と哲学は高校でも少しやった方がいいのになあ、といつも思っている私です。教え子もずいぶんと経営学部に行きますが、経営学をすすめる私がその経営学を知らないっていうのはいかんでしょ。だから遅ればせながら少しかじってみようと思ったわけです。そしたら、まあけっこう難しかったし、ちょいと違和感すら覚えてしまった。
やっぱりセブンイレブンやユニクロ、キャノン、それぞれのトップのリアルな話は面白かった。でも、大学の先生、つまり学者さんが出てくると途端に眠くなる。これじゃあホントだめですね。
リアル世界でのマネージメントの天才たちって、ただ金もうけに長けてるだけじゃないのは確かですよね。会社というのは人と物と金を動かすわけですけど、その基本はやはり人です。人が動かないと物も金も動かない。そうなると、哲学というか、宗教というか、それなりの人間性やあの種の詐術(失礼)も必要になってくるわけじゃないですか。私はそういうところに興味を持つ人間なんですね。
たぶん私の仕事、つまり先生という仕事は、物や金よりもうんと人を動かさないといけないからでしょうね。そういう意味のプロであるべきなのでしょうし。逆に言えば、そっちに特化しちゃってるんで、いわゆる経営努力とか経営センスとかからはかなり遠いところに住んでいるわけです。
私の職場は私学ですから、半分は企業的な部分もあるんでしょうが…そう、いつかも誰かとケンカになりましたっけ。会社と学校を一緒くたにする人と、一線を引きたい私がずいぶんとやりあいましたっけ(笑)。こちらから一連の記事をご覧下さい。ま、今、経営学の本を読んだりして少し大人になってみますと、彼の言わんとするところもわからなくもないですね。
しかし、どうも全体として違和感があるのも事実なんです。なんでみんなお金もうけに走るんでしょう。そんなこと言ったらおしまいですけどね。最近そこんとこに疑問を感じるんです。なんでだろう。もう充分日本人は豊かだし。これ以上「成長」して、他人や地球から搾り取って何になるんでしょう。
なんて、私もビジネス人だったら、こんなこと考えてるヒマないですよね。毎日の仕事に追われ、また家族を養うためにもリストラにならないように努め、こんなバカなこと(賢いこと)考えようともしないでしょう。たまにそんな野暮が脳裏をかすめても、それを必死に消し去ろうとするでしょうね。生きていくためです。
政治家の皆さんは「成長、成長」言いますけど、人間だってピークを過ぎたらそれなりの生き方ってあるじゃないですか。たとえば40過ぎて「成長、成長」じゃかっこわるいですよ。子どもじゃないんだから。やっぱ「成熟」でしょ。私が総理大臣になったら「成熟を実感に!」って吠えますよ。ね?いいでしょ?
この本にも少し出てましたけど、旧来の「日本的経営」ではなくて、新しい「日本的経営」が生まれてもいいと思います。つまり、アメリカみたいなバカげた妄想を掲げるんじゃなくて、「成熟」のための経営ですよ。共生、利他の経営です。一人勝ちはカッコ悪いという哲学、宗教。
どう考えても、長期的に勝ち組になるにはそれしかないと思うんですが。子どもでもそのことは分かるはずです。なのに世の大人たちはなんでみんな利己に走るんでしょうね。
なんか突然変異が起きるとか、変な病原菌が宇宙から飛来するとかして、人間の考えがひっくりかえりませんかねえ。あるいはそういう薬を開発するとか。そういう兵器でアメリカを攻撃するとか(笑)。
ps 今ちょうど「カンブリア宮殿」の再放送でローソンの2位並み(失礼!)…じゃなくて新浪社長が出てました。たしかに、こういう世界で成功するれば気分はいいよなあ。でも、その気分の良さって結局自己満足でしょ。本当に世の中のため、人のためになっているんでしょうか。人の欲望を満たしてあげることが人のためになるとは思えないんですけど。そういう意味で経営哲学ってやつには胡散臭さを感じるのも事実なんだよなあ。
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