『伝える力』 池上彰 (PHPビジネス新書)
「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える!
これはビジネス書というよりも、先生のための本でしょう。
非常に平易に当たり前のことが書いてあります。しかし、その当たり前のことこそ忘れがちなこと。1時間もあれば読めてしまう本ですから、世の先生方はぜひ読みましょう。
「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍した池上さん。いまや人気フリージャーナリストとして民放にも出まくっていますね。今日もどこかの番組でコメンテーターとして福田さんについて語ってましたっけ。
この本にも書かれていますが、やはり池上さんは「週刊こどもニュース」で鍛えられたようですね。子どもにわかるように政治や経済や宗教について語るのはたしかに難しい。私も仕事柄ほとんどそういうことを毎日やっているわけでして、そういう意味で池上さんは私の心の師匠でもありました。
というか、それ以前に、フツーのニュースだと実はわからなくて、こどもニュースで初めて理解できたということが実に多かった。世の中の大人のほとんどがそうなんじゃないですか?ホントは。
冒頭にも書いたように、この本は教師にはたいへんためになりますね。
「難しいことを易しく」「自分の知らないことを知る」「謙虚になり、プライドを捨てないと成長しない」「よい聞き手になる」「自分のことばかり話さない」「導入で人を惹きつける」「型を崩す」「毒舌の裏の愛情」「自慢話より失敗談」「悪口は面と向かって」「叱るときは1対1で」「ほめるときはみんなの前で」「ほめてから叱る」「謝ることが危機管理」「苦情電話の対応法」
こう並べるだけでも先生にとっていかに有用な本かわかるでしょう。どちらかと言いますと抽象論が多いし、今までもずっと言われてきたことばかりですから、ビジネスマンにとっては物足りない内容かもしれません。でも、まさに抽象的な仕事、昔から言われてきたことを続ける仕事である教師業に携わる者にとっては、大切なことを思い出させてくれるいい本です。
どうも学校の先生ってのは、上に挙げたことの逆をやっちゃう傾向がありますよね。全部逆に読み替えてみましょう。「あるある」って感じでしょ。
後半は文章術について書かれています。こちらはやや具体的ですので、ためになると言えばためになりますが、一方でちょっと自分の文章作法とは違うなあ、というところも出てきますね。ま、それは仕方ないことです。具体的に書くということは、自分のテクニックの開陳ということになりますから。
で、ちょっと話がそれますが、「伝える力」のない人についてちょっと書いておきましょう。
今日、安倍首相の記者会見がありました。まったくねえ、もうここまで来ると情けないというか、かわいそうというか、痛々しいというか、もうなんとも「かたはらいたきもの」なんですが、今日の会見もなんだかイマイチでしたねえ。元気がないのはまあ病院という場でもありますし、そういう空気を作らねばならないので仕方ないんですけど、あの「結果として国民の皆様に私の真意が伝わらなかった」みたいな言葉、あれはどうにかなりませんかね。
最近の謝罪会見の流行語大賞は「結果として…」ですね。この言葉は禁句にしましょうよ。「結果として」と言うと、なんとなく「不本意にも」「不運にも」「他の力が働いて」というニュアンスが生じる。これは正直「逃げ」に聞こえます。自分の不始末が「原因」だと述べるのは当然として、「結果」についてはもうみんな分かってるわけだし、そこにみんな憤慨してるんだから、「結果としてこうなってしまった」みたいに言うのは、こちらの感情を逆なでするだけですよ。
だから今回の安倍さんも潔く「私のイヤイヤ病のために皆さんに迷惑をかけてごめんなさい」とだけ言えば良かった。「政治家として体調のことについて言うのはよくない」とか自己弁護しちゃうのはどうかと。それが「結果として」とんでもないことになっちゃった。ボクわるぎなかったんです。許して…かっこわるいっすよ。
まずは一国の首領から「伝える力」を身につけましょうね。
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