『PRIDE、K-1、HERO’Sタブー大全 2007』(宝島社)
さあ、昨日に続きまして、いや、昨日とは打って変わって総合格闘技ネタです。昨日のプロレス本と一緒に買いました。桜庭熱冷めやらぬカミさんのために買ってやったんです。両者を比べてもらいたかった。
昨日、プロレスはモザイク入り、総合は無修正みたいな話を引用させていただきましたが、今日このムックを読んで、本当にその無修正的世界にうんざりしましたよ。いや、私も口で言うほど総合が嫌いではない、というか、なんだかんだ放送があれば見ちゃうんですけどね、だいたい見た後は虚無感に襲われる。しょっぱい内容にガックリとか、同じ展開ばかりで飽きたとかもありますが、カーッとアドレナリンが放出されたあと妙な罪の意識に襲われるようなこともあって、これはたしかに…。
この本には例のUFCによるPRIDEの買収についても詳しく書かれていますが、それはまさに買収であって、買収「劇」でもなんでもない。もちろん今後行われるPRIDEとしての興行も、交流戦とか対抗戦とかいう次元のものではありません。単なる企業買収です。選手の引き抜きにしても、プロレス的なドロドロではなくて、とってもビジネスライクなものです。だからこそ余計にえげつないんですね。全て金かよ、市場経済の無粋なガチンコかよ、と。
こういうこと言うと、総合ファンに怒られるかもしれませんが、日本での総合とは、「プロレスラーになれなかった男たちのルサンチマンが闇社会と結びついて金づるになった」ってとこでしょ。そして最後は、世界のヤクザ、一見スマートなアメリカのマフィアに食いつぶされちゃう。なんだかなあ…。
プロレスの世界ももちろんヤクザの社会と結びついていました。地方の興行に関してはそういう力が働くのは当然でしたからね。でも、そこには、この前の談合の話じゃありませんが、日本の伝統的な因習、すなわち絶妙な必要悪が働いていたんです。あんまり適切な言い方ではないかもしれませんが、まあ「義理」と「人情」があったってことです。それに比べて、このアメリカ的弱肉強食世界はなあ…。
ですから、今回こういう本を読んでいて、正直面白かったのは、そんな中でPRIDE…じゃなくて矜持を守り続けたプロレスラーの存在ですね。もちろん、何かを勘違いして返り討ちに遭っちゃった情けないプロレスラーもた〜くさんいましたが、高山や杉浦や、まあ桜庭も入れといてやるかな、彼らの言葉やファイトは救いとも言えますね。
総合は10年持たないなと思ってましたが、ま、ちょっとそんなムードにもなってきました。この苦しい10年を経て、もしかするとプロレスは鍛えられたのかもしれません。再びプロレスが興隆する日の来ることを切に願います。その時、日本人は本来の日本人らしさを、日本社会は本来の日本社会らしさを取り戻すはずだからです。
今後、無粋なガチンコはアメリカとお隣の国にまかせておきましょう。
Amazon PRIDE、K-1、HERO’Sタブー大全 2007
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