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2007.07.29

第3回富士山の森ジャズフェスタ2007

Jazz0729 昨日は「なんちゃって」について語ってしまいましたが、今日になると本当に恥ずかしい。いつも生徒に教えられます。
 今日は近所の河口湖ステラシアターにおいて、「第3回富士山の森ジャズフェスタ2007」が開かれました。この学生ビッグバンドの祭典は、私の勤める高校のジャズバンド部が中心になって主催運営されました。合宿明けということで、私は後半しか聴くことができませんでしたが、それでも3時間以上にわたり、各校のフレッシュかつ熱気溢れる演奏に心躍り、また心打たれました。
 今回の出演校およびゲスト、講師は以下の通り。
富士吉田市立明見小学校・府中市立府中第4小学校・山中湖村立山中湖中学校・さいたま市立与野東中学校・東京都暁星中・高等学校・静岡ジュニアジャズオーケストラ・山梨県富士学苑高校・横浜市立大学・日本大学・早稲田大学・法政大学・東京大学
ゲスト TOKYO F.O LAB BAND
講師 瀬川昌久氏(ジャズ評論家)、内堀勝氏(作編曲家)
 いやあ、本当に感激しましたよ。ジャズの素晴らしさ、ビッグバンドの素晴らしさは当然として、やはり、学生ならではの一生懸命さや、緊張感、いい意味での若気の至りでしょうかね。純粋に楽しもう、楽しませよう、目立っちゃおう、そして、やばいビビってるという感じ。謙虚さと前向きな無謀さ。自分の限界を知らないために生じるプラスのエネルギー。どれをとっても、私のようなゴマカシばかり考えているなんちゃっておじさんの音楽とは違います。
 第一、練習の総量が違う。昨日のなんちゃってなんて、本番が全員で合わせる「2回目」ですから(笑)。そういうことを平気でやってしまうこと自体、ある意味音楽をなめてますね。お客さんに申し訳ない以前に音楽に申し訳ないっす。
 もちろん、おじさん的視点、すなわちエセ評論家的視点(聴点)からしますと、彼らには若いからこその問題もあります。中学、高校生は、まだ楽器をしっかり鳴らすところまで行っていませんし、アンサンブルや曲作りは粗削り。大学生は、上手になり始めた時期にありがちな、アンサンブルが小さくまとまりすぎる、ソロではやりすぎ、という二つのパターンにしっかり陥っているバンドが多かった。しかし、それは一つの過程として非常に健全なことであり、そこを通って、それを指摘されて当たり前なわけですが。
 そんな中、これは身内びいきでもなんでもなく、最も素晴らしかったのは我が富士学苑高校の「ムーン・インレット・サウンズ・オーケストラ」でした。音楽全体にみなぎるエネルギー、テクニックを超えた楽器の言葉、エンターテインメント性、あらゆる意味で心にぐっと来ました。身内としてもちろん、彼らがこの祭典の企画・運営を裏から支え、そうした裏方的雑用の合間に自分たちの練習や本番があるという現実をよく知っているからこそ、そして、彼らの純粋な人間性を知っているからこその感動というのもあります。しかし、それ以前に本当に音楽の内容で圧倒的でした。
 講師のお二人がおっしゃっていたこと、それはまさに私が生徒たちの演奏を聴きながら思ったことでした。ここまでは練習、努力で来ることができる。ここから先、いかに聴く人を感動させるか、そういう次元に入っていくと、もう技術論とか解釈論とかいうものはほとんど無意味になってくるわけです。その人の人間性、生き様が音楽そのものになってくる。それは私が思うに「縁」によって醸成されるものだと思います。
 若い彼ら(全てのバンドの皆さん)が、この後、いったいどういう音楽を、人生を奏でていくのか。講師の先生方もおっしゃっていましたが、「怖い」し「楽しみ」でもあります。自分の才能の限界にぶちあたることもあるでしょうし、思うように音楽できない環境に置かれることもあるでしょう。ある人は楽器に触ることすらなくなるかもしれません。自分の学生時代を懐かしく顧みつつ、また今の自分の置かれたある意味幸福な状況に感謝しつつ、若者たちに心からエールを送りたいと思います。
 そして、自分の音楽についても、もう一度原点に帰って…それがなあ、いっつも生徒諸君から刺激をいただくのに、全然ダメなんだよなあ…大人になるってこういうことなんでしょうかねえ。哀しいような、でもちょっと楽しいような(笑)。

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