『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』 西村博之 (扶桑社新書)
先日の「フューチャリスト宣言」と併せて読むと最高ですね。こうも対照的だと、なんだか楽しくなってしまいます。
「インターネットに未来的な何かがあるということ自体が、既に誤解なのです。インターネットの未来は明るいと言っているのは、おそらくバブル世代だけではないかと感じてしまうのは、僕だけなのでしょうか?(笑)」と言ってしまう、我らがヒーローひろゆき氏は、文中に何度も梅田さんの名前を挙げています。オプティミストとして。自分は常に悲観的なのに、梅田さんはその逆で、明るい未来の話ばかりすると。
そこで私は笑ってしまったのです。それはなぜかと言いますと、私はあの「フューチャリスト宣言」を読みながら、ああ梅田さんってなんか楽天的になりきれない人だなあ、って思っていたからです。そう、つまり、ひろゆき氏からするととんでもなく楽天的な梅田さんがややペシミストに感じられちゃうほどに、あの茂木さんがスーパーウルトラオプティミストだということです(笑)。なんかあの対談では、梅田さん、茂木さんについていけないって感じでしたから。
となりますと、次はひろゆき氏と茂木さんの対談ですね!ぜひ実現してもらいたい。本書の中で、梅田さんと西村さんは両極端、とありますが、いやいやまだまだ梅田さんは甘いですよ。
とにかく、あの本で「すばらしい」「明るい未来だ」 みたいに言われてることは、この本ではほとんど否定的にとらえられています。Web2.0なんてマイナスイオンみたいなもんだと。雰囲気だけ。Googleにしても、大した技術じゃないと言われちゃってますし、その他の話題のサービスや、それを提供する会社についても、ようはデザインが優れてるだけだとか、イメージ戦略に優れているだけだとか、一刀両断されてます。たしかにそう言われればそのような気もしてきますね。
この前は、お二人のフューチャリストに刺激を受けて、なんとなく明るい未来とか、あるいは人間の理想的なあり方とかを妄想してしまいましたが、今回はひろゆき氏に思いっきり感化されましたよ。なんとなく不安になってきた。
ま、それこそが彼の言う「集合愚」の断片なんでしょうね。私みたいにあっちにフラリ、こっちにフラリ、人の意見に思いっきり左右され、昨日と今日で全然違うことを平気で言ってしまう、あるいはこうして書いてしまう。これこそまさに「愚」の証明なのかもしれません。そして、そうした「愚」の集う場所、衆愚の場がインターネットであると、ひろゆき氏は考えているのでしょう。
正直、今日の私は、ひろゆき派です。思いっきり2ちゃんねらーである私は、やっぱりフューチャリストにはなりきれないのでしょうか。なんとなく楽天的に元気一杯で生きるより、ちょい悲観的に静かに生きる方が向いてるような気がするなあ。
しっかし、ホントにあの本とこの本はペアにして課題図書にしたいなあ。生徒に読ませようかなあ。
不思議だし、面白いと思うのは、我々の世代(もしかしてバブル世代?)の代表二人より、若者代表の西村博之の方がずっと達観した感じがするし、お金や名声に興味がない感じだし、冷静に未来を見ているんですよね。我々世代は調子に乗りすぎ、たしかにバブリーな感覚とも言えますね。
で、ポストバブルに共感する(今日の)ワタクシめは、もしかして若いのかも?
あっ、最後に、この本のタイトルはこれのパロディーですね。
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コメント
当時、私はまさにネットバブルの爆心地にいて、当時の2ちゃんねらーの中心人物などとも会っていましたが、ネット上で感じるほど正反対という感じではないと思いました。色々なことがどこまで本気でどこまで演技、ポーズなのか。それは外からではなかなかわからないものです。
ただいえることは、我々の世代から上にとって、インターネットは世代交代のための武器、新兵器ですが、ひろゆきやmixiの笠原さんの世代にとっては全然別の存在だったのではないかということです。
我々が壊そうとしていたのは、談合社会とかそういうものではなく、自分の将来の妨げになるものです。談合の良し悪しを議論しているわけではありません。談合に参加できなければ、頭を下げて参加させてもらうか、別の価値観で新しい秩序を打ち立てて、そこで新たな利権を握るかです。
全然働かないのに高い給料もらっていたり、へんなことをして組織の存在を危うくしたり、そういう存在を排除して、自分たちが中心になって高い給料をもらい、安定した生活が送りたい。メールが使えなければ仕事が出来ない状態にしてしまえば、そういう輩は淘汰される。あえてデジタルデバイドを作り出す。少々極論ですがそんな感じです。でも、それを大義名分を掲げて美しく表現すると・・・・。
投稿: AH | 2007.07.14 02:12
AHさん、貴重な証言をありがとうございました。
ふ〜ん、なるほどなあ。
私なんか時代のカヤの外って感じの仕事ですからね、
(ホントはそれじゃいけないんですが)
なんも考えないで別世界で遊んでました。
AHさんのおっしゃる通り、結局は自分たちの損得勘定と最新テクノロジーを結びつけると、ああいうバブルや現状のようになるんですね。
考えてみれば、私にも世直しみたいな立派な精神はありませね(笑)。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.07.17 10:42