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2007.06.12

『SEIKO MATSUDA CONCERT TOUR 2007 Baby's breath』in さいたまスーパーアリーナ(その3)

Seiko20070610a_1 この不二草紙も丸三年やってきましたが、同じ話題で3日にわたって書くというのは初めてです。それほどの体験だったということです。わかってもらえますでしょうか。
 さて、昨日最後に書いた「重大なこと」についてはのちほどといたしまして、まずはバックバンドについて述べておきましょう。
 今回は小倉良さんを中心としたバンドでしたね。小倉さんは90年代の聖子さんを支えた最重要人物です。聖子さん、2000年代に入って原田真二さんとの蜜月(?)期間がありましたが、またここのところ頼れるオヤジ(すみません)小倉さんとの仕事を楽しんでいるようです。小倉さん以外のメンバーも皆お上手で、初日、DVD収録の緊張を感じさせない、ほぼ完璧な演奏だったのではないでしょうか。やっぱり歌謡曲にはツインギターっすね!
 聖子さんのインタビューで(!)、バンドの皆さん喋らされてましたが(笑)、なんかみんな素朴でいい味出してましたね。聖子先生についてく純朴な生徒たちって感じでした。
 ところで、これは小倉さんのポリシーだと思うんですが、古い曲はなるべくオリジナル通りに再現しようとしていましたね。お客さんが聖子さんに何を求めているか、よくお解りなのだと感じました。さすがです。そして、その思惑通り、私たちは「あの曲」が今ここで甦る感動を味わったわけです。私たちのバンド活動の参考にもなりました。
 で、「重大なこと」の話に行きましょうか。そう、お客さんが何を求めているかという話ともつながることです。
 昨日書いたように、聖子さんの自作曲は相対的には単純でコテコテであります。しかし、生のそれに接して、そして御本人と、また会場の1万5千人の人たちと一緒に歌った時、そんな音楽こそが今求められている音楽なのだと気づいたのです。
 私は当日までニューアルバムを3回だけ聴きました。ある意味単純でコテコテなため、3回で充分とも思いました。しかし、たった3回聴いただけで、歌詞は無理としてもメロディーは完璧に歌えるようになっていたんです。そんなことは意識しないで臨んだのですが、実際唱和が始まると、たとえラララであっても、皆と、そして聖子さんと一体になれたんです。ああ、こういう心に残るメロディーだからこそ、今こうして参加できているんだ。
 そのことに関して、コンサートの帰りにカミさんと話しました。そこでカミさんの言った言葉はなるほどと思わせるものでした。
「松田聖子の歌はゴスペルだ」
 カミさんはゴスペルのクワイアに参加しています。そのコテコテぶりに私なんかちょっと引いちゃうんですけどね、たしかにあの一体感と高揚感というのは、聖子さんのコンサートに通じる部分がある。分かりやすい、覚えやすい、聴く人の心にしみやすいメロディーやコード進行。
 そして、歌詞ですね。私が松田聖子を神と呼ぶ理由の一つに、彼女の飾らない言葉が持つ大きな力というのもあるんです。この前のNHKスペシャルでも示されていたように、彼女の言葉が、音楽が、生き方が、多くの人を癒し、勇気づけている。たとえバッシングやスキャンダルという十字架を背負っても、変らぬ他者への愛、未来への希望。もちろんイエスと重ねて考えているわけではありませんが、そういう「聖」なる何かを発しているように感じたのです。
 さらにすごいなあと思ったのは、本来私たちが彼女に示さねばならないはずの「感謝」「おかげ」という言葉を、何度も何度も彼女の方がこちらに投げかけてくれたことです。そういう意味では実に「仏」的だと思いました。いつかも書きましたね、さすが「聖」と「法」の両方をその名に持つ人です。
 高校時代、マジで松田聖子と結婚すると公言していた私も42歳になっていました。この25年で、私の音楽的興味、芸能的興味、女性的興味もいろいろと変遷してまいりました。もちろん私の妻は彼女ではありませんし(笑)。しかし、そんな変ってしまった私を、変らぬ松田聖子はこういう形で迎え入れてくれた。これはたしかに宗教体験に近いものだったのかもしれません。
 しかし、また彼女魅力はそんな「聖」「法」「神」「仏」な部分だけではありません。その証拠に、この一連の記事の中でも、私は「聖子」「聖子ちゃん」「聖子さん」「聖子さま」「聖子先生」と、いろいろな呼び方をしているじゃないですか。実際、MCや司会(!)っぷりには、とっても身近な聖子ちゃんを感じることができましたし、飾りのない、衒いのない、あけすけない、俗っぽい聖子もそこに確かにいました。そういう意味では、「神」や「仏」を超えたまさに「アイドル(偶像)」としか言いようない存在なのかもしれませんね。本当に素晴らしい時間と空間をありがとうございました。
 何度も繰り返されたアンコール。永遠に続くかと思われた祭、宴。1万5千人と聖子さんとのカラオケ。私は一生忘れないでしょう。
 さてさて、またまた長くなってしまいましたが、最後に一つ。私たちの後の列のオジサン、どうやって持ち込んだのか、馬鹿デカイ望遠レンズで聖子ちゃんを狙っていました。終演30分前くらいに彼はいなくなっていましたが、会場から駅に向かう道筋、彼は「本日の公演の生写真」を売っていました。上の写真はたぶん彼の撮ったものだと思います(笑)。

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コメント

こんばんは。3日連続の素晴らしい記事、楽しませて頂きました。
全てプリントアウトし、ファイルしました。保存版です!
あの日、帰りの電車で姉とツアーパンフを見ながら、
20年余りほぼ毎年行っていることにようやく気づき(遅ッ)
今更ながら驚きと思い出に浸ってしまいました。
毎年、あの観客の声援に応え、ステージをこなす。
そんな彼女を感謝と尊敬の念を持ち、これからも応援していきたいと思っています。
並んで同じ歌を口ずさみ(&踊り?)共に感涙できて幸せでした。
ライブ前の交流も楽しく、おかげさまで素晴らしい日になりました。
ありがとうございました。

投稿: くぅた | 2007.06.14 23:24

くぅたさん、お姉さま、本当にありがとうございました!
夢のような体験をさせていただき、もう大々満足です。
私のような若輩者(?)が、わかったように語るのは申し訳ないとも思うのですが、
やはり書きだしたら止まりませんでした。
実はまだいろいろとあるんですけど…ww
私、いろいろと特別な体験をしてきたつもりですが、
冗談抜きでベスト1だったかもしれません。
本当にありがとうございました。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.06.15 07:46

 大の大人が我を忘れてエキサイトする場面を、久々目の当たりに出来、この三日間というもの、次は何処まではじけてくれるのかと、ワクワクしながらこのサイトに立ち寄らせていただきました。見事でございます、天晴れですよ庵主様。
 無邪気になれない自分がなんだか悔しいですよ。私など、本当に好きなアーティストのライブでは、腕を組んで眉間にしわを寄せ、仁王立ちして神経を集中し“神”の一挙手一投足を注視してしまうのです。いや、最初は単純に楽しもうとしているのです、気が付けばそうなっているのです。(T_T)
 他にも楽しめない要因として PA があります。そもそも、ライブの冒頭ではあまり良い音はしないわけで、演奏が進むにつれ、PA さんが会場にあわせたセッティングをして行くのが常なのですが、もう、いつまでもモタモタやってると腹が立ってくるわけです。
「ボーカルもやもやじゃないの! ベースなんて聞こえねぇぞ! ドラムがでかい!」
好きなアーティストの演奏が滅茶滅茶にされていると思うと、もうね、PA に対する恨みは、最早殺意に近くなってくるわけですよ。一度、PA の数メートル手前の席で鑑賞していた時など、あまりに酷くて振り向きざま睨み付けたことがあります。そしたら、そのヘッポコ PA ったら、チョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコと、ネズミみたいに頻繁につまみをいじっては調整しているわけですよ。
「調整する前にもっと音を聞けよ! この○×△!」(;_;)
もう怒り心頭ですよ。次に私の視線に気が付いた PA は、呆気にとられた表情で一瞬固まっておりました。あまりに情けなくて、こちらが半泣きでしたよもう。

 脱線しました。(^^ゞ
 庵主様に触発されて、私も“SEIKO”の CD を借りてきましたよ。正直“別格”なアーティストなんで、ビートルズと同じく「なにを今更」感が強すぎて、逆に興味を失ってしまう天の邪鬼な私。
 借りてきたのはデビューアルバムと、“Bible 2”というベスト盤。デビューアルバムは、ず~と前から聞き直したかったもので、松田聖子の声質がまだ初々しくて、まさに“神”を予感させるものでした。歌唱力は断然今の方が上なのですが、当時の声に今の表現力が加わったら...なんて、意味もないことをつい空想してしまいます。
 ベスト盤の方にはやられちゃいましたね。“小麦色のマーメード”って、改めて傑作だと思いました。当時の歌謡曲って、作為的な部分が鼻につくことが多いのですが、これは隙のない名曲でしたね。
 ベスト盤の方は半数が“SEIKO”作詞作曲のものだったのですが、「え~?! 良いジャン!」 正直アーティストとして見直しました。最新アルバムはいざ知らず、“Bible 2”の彼女の曲はどれも素直で好感が持てましたね。ちょっと儲けものですよ。

投稿: LUKE | 2007.06.15 16:45

LUKEさん、どうもどうも。
ホントまだ興奮してますよ。
すごいだろうと覚悟してたんですけどね、
正直予想以上でした。
LUKEさんもぜひぜひ味わってください!

今回はストリングスも入ってPAは難しかったと思いますが、
私の位置で聴いている分には、なかなか良かったと思いますよ。
さいたまSAは調整が難しいと聞きますが、場所が良かったのかな。

Bible 2、私持ってます。こちらに記事を書いてました。
デビュー当時はけっこう声を張り上げてましたね。
喉を傷めて、今のようなハスキーボイスになったとも言われてますが、どうなんでしょうね。

今回のアルバムなんか、かなり脱力して歌ってます。
ちょっと今までと違うなって思いました。
ラストの曲なんかモロに演歌、あるいは冬のソナタ(?)という感じで、
それなりに進化系を聴くことができます。
彼女の曲、たしかに素直です。
素直すぎて照れちゃいますが、しかし、いざ作れと言われても作れませんよね。

もうすぐデビュー28年だって御自身おっしゃってました。
すごすぎです。
いろいろな意味において、美空ひばりを超えているのかもしれません。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.06.15 19:01

>LUKEさんもぜひぜひ味わってください!

 まだ未熟者故...(^^ゞ

>今回はストリングスも入ってPAは難しかったと思いますが

 私も、ライブ会場で完璧な音響など望んではいないわけでして、要するに程度の問題と言うことなんですね。同じ会場で2~3日続けられるライブなら、初日は外した方が無難というのが持論です。

>デビュー当時はけっこう声を張り上げてましたね。

 当時のアイドルは皆同様の歌唱だったかと。いわゆる元気よくハツラツとしたものが求められていたのでしょうね。

>喉を傷めて、今のようなハスキーボイスになったとも言われてますが、どうなんでしょうね。

 どうでしょうかね。喉を痛めたと言うより、自然に変化したような気がしますが。私は長年活動しているアーティストの変移を、むしろ好意的にとらえることが多いです。若い時にしかできないプレイも絶対にありますし、経験を重ねたからこそ出来ることもある。特に歌手の場合は、歌い込みや加齢によっても声質が変わってきますので、またそこが乙なわけです。どちらが好きかと言われれば、今の聖子さんの方が好きですが、デビュー当時の澄んだ歌声は一種魔的な魅力を持つように思えます。

>いろいろな意味において、美空ひばりを超えているのかもしれません。

 加えて世代に寄るところも大きいでしょうね。我々の世代はもう完全に“SEIKO”でしょう。

投稿: LUKE | 2007.06.16 13:37

LUKEさん、どうもです。
たしかにPAでぶち壊しというのありますね。
私も何度か経験しています。
今回はツアーの初日なのに、全体に完成度の高いコンサートでしたよ。
なにしろDVD収録ですから。初日にして。
さすが聖子ちゃんレベルになると、スタッフも超一流ということでしょう。
そうそう、私もデビュー当時の艶やかな声にも萌えますよw
今の声質での「青い珊瑚礁」、今回のライヴで初めて聴きましたが、これまた良かったっす。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.06.17 09:06

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