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2007.06.22

『蒐集物語』 柳宗悦

Yanagi 人間の収集癖といいますか、蒐集本能というのは、実に面白い。面白いけれども困ったものでもあります。Yahoo!オークションなんかに大量の老若男女が集まっている様子は、そういう面白さと困ったちゃん具合をネットというテクノロジーが後押ししている現場の状況とも言えるでしょう。
 私はネットオークションはやらないんです、ほとんど。見て楽しみますがね。今夜もある出物があって、その動向を注視していました。結果、そこそこの落札価格に落ち着いたんですが、おそらく本当にほしい人は逃しましたね。で、そうではなくて、そういう人たちの蒐集本能を利用して商売しようとする、別にそれが悪いわけではありませんが、いわゆる商売人が落札したようです。そういう雰囲気が感じられる現場の空気でした。
 そう考えると面白いですね。散財してまで「もの」をほしがる人と、金もうけのために「もの」を転がす人。両者にとって、それは「もの(物)」ではあるのですが、そこに働いている心理は、「コト」化であります。自分の守備範囲外にある「モノ」をゲットして所有してコントロールするのが、私の言う「コト」化です。
 占いやスポーツやギャンブルに人々が熱狂するのも、不随意の「モノ」と随意の「コト」がバランスよく配合されているからなんですが、コレクションやそれに伴うオークションというのも、そういう面白さを持っているわけです。ま、考えてみれば、市場経済なんて全部オークションですからねえ、つまり、私たちはそういう世界に生きているわけですね。だから生活に喜怒哀楽があって、人生に飽きないのでしょう。「商いは飽きない」とは単なるシャレではないのでした。
 さてさて、そんなコレクションという「愚行」に関する実に面白いエッセイを読みました。演習の授業で青山学院大学の過去問を解いたんですが、それが私の大好きな、民芸の父、柳宗悦の文章でした。「蒐集物語」の一部のようでした。
Syuusyuu_2 右の画像をクリックして読んでいただきたい。問題文のコピーなので、空欄や傍線や漢字の問題なんかがそのままなんですが。文章のリズムが実に素晴らしい。そして、内容も面白いですね。誰しも救われた気がすることでしょう。ああ「愚行」にこそ価値があるんだ、と勇気づけられることでしょう。なるほど、コレクションという愚行が文化の命脈を守ってきたということですか。たしかに。そう考えると、愚行ととれるこうした蒐集本能は、情報保存伝承のためのプログラムであるとも言えますよね。だからバカにしちゃいけない…って完全に自己弁護してます、ワタクシ。メチャクチャ借金して変なモノ集めてますから(汗)。
Sakucolle 最後に最近のウチのカミさんの蒐集癖の成果をご覧にいれましょう。いつのまにか、子どものおもちゃ類の戸棚が、○○グッズに占領されてました…orz。ヒマな方はクリックして見てみてください。何のコレクションか分かった方は、なかなかのマニアですね(笑)…てか、分かるか。ま、これも文化の伝承のためでありまして。でも、どうも女性のこの本能は長続きしないんだよなあ…(汗)。

Yahoo!オークション

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コメント

えー、こほん(照)この他にもありますよ、スギッチのぬいぐるみ
(←なぜかお分かりの方は、マニア度1000です!!!)とか。あとレミオ関係も!
柳宗悦様、よくぞおっしゃいました、蒐集とは、性癖、ですか!!非常によく
腑に落ちます。いてもたってもいられない、というヤツですよね。これからは
心の師匠にさせていただき、今後とも心に素直に、邁進してまいります(ビシッ)!!
(サク関連の品々と、夫の耳の穴に見つけたカサカサ耳あかと、同一の胸騒ぎを
覚える私でありました。。。)

投稿: 庵主セコンド | 2007.06.23 13:56

セコンドよ。
柳先生のように長続きさせなきゃ意味がないからな。
数々のモノたちが単なるゴミにならないことを祈る。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.06.24 05:47

はあーい('∀`)今日も2点ほど届きます。また増えちゃいますよー楽しいな。。

投稿: 庵主セコンド | 2007.06.24 10:37

まあ、いちおう私も読んでみましょう。
特にビートたけしの対談集は楽しみだな。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.06.25 07:59

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