バロックはプロレスだ!
見よ!この二つの異次元空間を!
というわけで、本日はものすごい空間移動をいたしまして、ワタクシご満悦であります。そして感じること多数。人生は楽しいのであります。
今日はいい天気でしたねえ。朝から吸い込まれるような青空でした。昨日の嵐のため、富士山には再び雪が積もりまして、周囲の新緑と相まって、それはそれは美しい光景です。こんな日はゆっくり富士の麓を散歩でもしたいところですが、今日は仕事→趣味→趣味で東京に行かねばなりません。
早朝、家を出まして中央道で一路東京へ。途中オークスで盛り上がる府中の東京競馬場を左手に見ます。そう言えば今日、馬以外のモノを目当てに、ここに潜入している友がいるはずだな。健闘を祈る!
西新宿のパーキングに車を止め、まずはお仕事。2時間ほど某教育関係の方に会いまして、いろいろと作戦会議。それが終わると、さあお楽しみタイムの始まりです。
バロック・ヴァイオリンとバロック・ヴィオラをかついで、向かうは初台の東京オペラシティであります。なんとあの近江楽堂でお遊びであります。まったくありがたいことですね。演奏会ではなく、お遊びであの響きを独占できるのです。
ある友人たちが誘ってくれたんです。彼らは本来、今日近江楽堂で演奏会をするはずだったんですね。それがメンバーの都合で不可能になってしまった。で、会場はとってあってキャンセルもできないので、一緒に遊びませんか、と…。う〜なんというもったいないお話でしょう。あの残響3秒の中で、楽しくバロック・アンサンブル三昧ですよ。
というわけで、私ももう一人の友人を誘って、世界一(?)ぜいたくなお遊びに参加してまいりました。ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロという編成で、ガブリエリやシュメルツァー、マリーニなどを端から弾いていきました。初期ものは久しぶりでして、最初はなんとなく心もとない状態でしたが、あの響きにも助けられながら、時は音楽とともに楽しく流れていったのでした。
もうこれだけでも、充分シアワセなのですが、今日はその後のイベントもありまして、これがまた良かった〜。さあ、空間移動であります。
向かうは歌舞伎町。そう歌舞伎町広場に面する遊興施設の7階にある新宿FACEです。今日はここで、プロレス団体IWAジャパンの興行が行われるのです!よっしゃ〜行くぞ〜!
初台からけっこう歩きましたが、開場10分前くらいに到着。ロッテリアで腹ごしらえして(実はここでアイスコーヒーを全部ぶっちゃけてお漏らし状態になるという大ハプニング発生!しかし、心のレスラーはこのくらいではひるまない!)、いざ当日券で入場です。ワンドリンク制ということで、ワタクシはレモンサワーなど頼みまして、チビチビやりながらゆっくり観戦いたしました。
まあ、かなりマニアックなので、試合の詳細は記しませんが、いい興行でしたよ。IWA、何度も崩壊の危機に遭いましたけど、若手も育ってきていて、いい団体になってるじゃないですか。ストロングスタイルあり、ギャグ路線あり、女子プロレスあり、男女混合ミックストマッチあり、流血あり、ルチャあり、本当にいろいろ楽しめましたよ。
今日のゲストの目玉は、ダンプ松本とジャガー横田だったと思います。両ベテランはさすがという試合運びで、う〜む、これはやはり伝統芸能の領域だな、と思わせるパフォーマンスでありました。特にジャガーは素晴らしかった。男女混合試合に出たんですが、男の技をあれだけきれいに受けられるんですから、衰えるどころか、さらに見せる(魅せる)技に磨きがかかっていますね。卍固め、バックドロップ、ウラカンラナもきれいに決まっていました。あっ、技の素晴らしさということでは、ジャガーのパートナーだったエルブレイザーさんにも感動!いいぞ杉さま、静岡の星!
で、本日のMVPジャガー横田さんに試合直後サインしてもらいました!あの激しい試合後すぐに売り場に出るプロ根性は素晴らしいですね。後ではダンナ様が控え目に控えております(笑)。皆さんは色紙にサインしてもらってましたが、私は「円満Tシャツ」を買ってそこにサインしてもらいました。もちろんお二人と握手しましたよ。ジャガーさんには「ありがとうございます!」と言いましたが、なぜかダンナ様には「がんばってください!」って言っちゃった。「あっ、はい…」って照れてました(笑)。
さあ、こんな一日を終えまして感じたことは…やっぱりバロックアンサンブルってプロレスだな、ってこと。いや、これはまじです。絶対的な信頼に基づいたアンサンブル、相手を立てながら自己主張する、シナリオとアドリブ、お客さんとの対話、そしてコントラストと演劇性。本当に共通点が多いと思います。今までもトラヴェルソの中村忠さんやチェンバロの岡田龍之介さんと、よくそんな話してきましたけどね、今日は実際に連続して体験いたしまして、強く強く感じたわけであります、ハイ。
世の中では「勝ち組・負け組」とか言いますけど、それってみんなが勝ち組になりたいってことでしょう?音楽やプロレスの世界には「負けっぷり」というものがあるんですよ。オルタナティブではなくてアンビバレントなんですよ。デジタルで単純な二分世界ではない。負けるが勝ちってこともたくさんあるわけです。私はなんでもガチンコの、殺伐とした世界はイヤです。自分が勝ち組になるってことは、誰かを負け組にしてるってことでしょ。格差はそこに生まれるのですよ。
私はいつまでも音楽やプロレスのような、思いやりのある世界に生きて行こうと思いました。マジで。いい一日だったなあ。皆さんありがとうございました!
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コメント
庵主さん、こんにちは。
競馬場への念力送って頂き感謝です。効果バツグンでした(笑)
ホント盛り沢山、バラエティに富んだ一日でしたね!
近江楽堂でのお遊びって!貴族みたいに優雅ですね。
観客は居なかったんですよね?もったいない~拝聴したかったです。
新宿にFACEなんて場所があるんだ、知らなかったです。
ジャガーさん、出産してもなお大活躍。すごいなぁ。
円満Tシャツのpieceは狙いですかね。ちゃんと旦那さんもいるところが微笑ましい。
いかに相手を立てるか、とか間合いとかのやりとりって確かに音楽・プロレスに共通してるのかな
と素人ながら納得しちゃいました。
美しく負けるって、実は一枚上手でなければできないような気がします。負けるが勝ちか・・・
懐が深いというか、余裕を感じます。楽しい記事ありがとうございました♪
投稿: くぅた | 2007.05.21 11:22
くぅたさん、こんにちは。
いやあ、競馬場の方も盛り上がったようで…
良かったですね!
こちらはそれに比べたら地味でしたよ。
でも、ホント感動しました。
生はいいですねえ。
pieceは当然ネタでしょう。
では、どういう意味かというと…
それは英語の先生におまかせします(笑)
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.05.21 12:10
バロックってプロレスだ、というより、プロレスってバロックだ!と思います。個性と調和が見事に両立している。そして装飾がある。昔の強いレスラーの技は美しかった。ジャンボ鶴田のバックドロップ。美しさを追求している格闘技はプロレスだけかもしれない。相撲もいまや美しさを失ってしまった。
投稿: AH | 2007.05.21 23:33
AHさん、おはようございます!
そうですね!本来のプロレスってものすごくバロック的でしたよね。
今思うと、バロックにはまり始めた時期とプロレスにはまり始めた時期、一緒でした。
その時は気がつきませんでしたが、同じものを感じていたのだと思います。
ジャンボのバックドロップは美しすぎます!
YouTubeのバックドロップ43連発ご覧になりましたか?
泣けますね。受ける方もまた美しいではないですか!
ああ、つい熱くなってしまった(笑)
来週、楽しくプロレス(バロック)しましょうね。
そして、いつかジャンボのビデオなど観ながら呑みましょう!
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.05.22 06:19
えええぇぇぇーーーー!!!
先生うらやましす!!
プロレスのことはよくわかんないけど、ジャガーさんと旦那さん大好きなんだよぉ!!!
今度ジャガーさんに会える試合に連れてってください!
投稿: サヤカ | 2007.05.22 06:24
サヤカおはよう。
いやあ、場末のプロレスはいいよ。
普通に話できるからね。
デジカメ忘れたのは痛かったよ。
写真も一緒に撮ってもらえるし。
旦那さん、ホントいい人そうでした。
そうだね、彼お医者さんだもんね。
ジャガーも人間できてるって感じだったなあ。
オレより年上だもんなあ。
今度は連れてってあげるよ。
オレも今、プロレスラーめざして頑張ってるから、
リングに上がった時は応援してねw
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.05.22 06:30
まぢですか!?
プロレスデビューしたら、ぜひリングドクターやらせてください~~(*´・ω・)ノ
投稿: サヤカ | 2007.05.22 06:58
お〜、そうだそうだ。
たぶん死ぬんで看取ってやってくれw
まじで最弱レスラー目指してるんで。
ちょっと縁がありましてね。
来世の夢が現世で叶うかも、なんだ。
人生面白いね。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.05.22 07:02
お久しぶりです。
うらやましい~かぎりです。近江楽堂で、音楽を奏で、チョット異空間旅行?な気分を感じられて!!
ステキすぎ、贅沢ですね。
わたし 以前から一度行ってみたくて、年末の武道館に行く前に寄ったんです。しかーし、お休みでした。ショック!テンションさがり気味でその後ライブへーーー。
キラキラ、ラメラメ、燃えました!
ふ~っ、勝ち負けって、現実、ですよ。積み重ねがモノをいうような気がします。あぁ、「せつない」 「あわれ」 でしょうか?そんなコトいってるってコトは負けてるって。(笑)
投稿: まっこ | 2007.05.26 01:43
まっこさん、おひさしぶりです。
いやあ、この日は私の人生を凝縮したようなステキな日でしたよ。
うん、勝ち負けは積み重ねそのものですよ。
だから、年取れば勝ちなんです。
プロレスってそういう世界ですし。
試合に負けてもお客さんを沸かせれば勝ちですから。
特に日本では「せつない」のが勝ちって決まってますんで。
ご安心を。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.05.26 07:53
『現代社会の神話 ロラン・バルト著作集』
読んだことはありませんが、この本の中に「プロレスする世界」というエッセーがあります。
投稿: 龍川順 | 2007.05.27 20:51
さすがバルトですね。
たしかにプロレスは現代に残った数少ない神話の一つですよ。
神話を信じるとか、そういうことではなく、神話的世界に生きることこそ、豊かな人生につながると思うんですけどね。
今日は6時間どっぷりバロックの練習でしたが,やっぱりプロレスでしたよ(笑)。
昨日の歌謡曲も神話でした。
面白いですね。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.05.27 21:13