『「いじめ」は必ず解決できる-現場で闘う教師たちの実践』 向山洋一(編) (扶桑社)
こんな本を読むのは私にしては珍しいでしょう。いや、実は自分用に買ったんじゃないんですよ。教員志望の教え子に論文対策として与えたのです。ネタとしては使えますから。いちおう私も読みましたよ。たしかに現場の教師で、自分のメソドやストラテジーを持たない方々には、たいへん有用な体験談集だと思います。
で、なぜ私がここで紹介するかと言いますとですね、編者の向山洋一氏の思い出を書きたかったからです。ある意味彼のおかげで今の私があるようなものですから。感謝してます。反面教師としてね(笑)。
小中学校時代、本当に私は先生に恵まれていました。おそらく住んでいた地域が特殊だったんでしょう。東京の大田区の雪谷大塚というところでした。小学校は調布大塚小学校です。ここにはなかなか個性的な先生が集まっていたんですが、特に心に残っているのはお二人ですね。
まず、理科教育の巨人と言われた坂本茂信先生。当時NHK教育テレビの理科番組の先生としても有名な方でした。私はずっと科学クラブに在籍していましたし、ほとんど6年間、先生の弟子のような存在だったと思います。私が理科の(!)先生になろうとした最初のきっかけを与えてくれた方です。坂本先生、すみません。国語の先生になっちゃって(笑)。約束守れませんでした。
続いて、登場するのが、ある意味「巨人」向山洋一氏でありまする。今やホントに教育界のカリスマですなあ。いったい何冊本書いてんだ?「教育技術法則化運動」かあ。なんか彼らしいな。私の記憶では、彼がその小学校に赴任したのは、私が5年生になる時だったと思います。当時すでに有名だったんですよね。鳴り物入りでやってきた。彼は5年2組の担任になりました。私は3組。隣のクラスです。
さあ、そこから2年間にわたる、向山洋一と私のバトルが始まりました。いやあ、先生は私のことなんか忘れてるでしょうね。私は忘れませんよ〜、意外に執念深いですから。まあ、あんまり詳しく書いてもしかたないんですけどね、とにかく彼の独裁的、あるいは洗脳的な学級運営や委員会運営に、少年庵主は非常に不快感をおぼえましてね、いろいろと盾ついたんです。
面白かったのは、担任の先生はもちろん、その他の先生方のほとんどが私の味方についてくれたことです。今、こうして教師になってみて分かったんですが、ああいう個性的でカリスマ性を発揮する自信過剰風な先生というのは、職員室では嫌われるものです(笑…ま、そこには、嫉妬やら出る杭は〜的なものやら、いろんなドロドロが渦巻いてるわけですが)。で、私、「向山洋一を糾弾する」みたいなシリーズを、担任に提出する日記か何かに連載したんですよ。そしたら、担任のみならず、いろんな先生が「そうだ、そうだ、やれ!やれ!」みたいな激励文を赤ペンで書いてくれた。今思えば、彼ら、直接向山氏に言えなかったので、私に言わせてたみたいですけど(笑)。
というわけで、2年間にわたり、いろいろなことを勉強させていただきました。しかし、私のような子犬が吠えたところで巨象はびくともするわけなく、6年2組の洗脳は着々と進んで行きました。いや、ホント独特の雰囲気になってたなあ。たしかに妙なまとまりと妙な大人っぽさを持った「いいクラス」になってましたけど。ああ、気持ち悪かった。
私は、こうした経験を通じて、先生になる意志を固めていきました。絶対にああいう先生にはならないぞ!という意味も含めてね。まさに反面教師でした、向山氏は。
そして、中学校に進みます。石川台中学校でした。そこで出会ったのが教育界の神「大村はま先生」だったわけです。
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コメント
なんと、雪谷大塚は僕が生まれたところです!(2歳半まで東京都民でした。)
投稿: mf | 2007.05.11 22:03
mfさん、ななんと…。
私は3歳から14歳までいました。
奇遇ですねえ。
もしかして接近遭遇してたとか…。
びっくりですねえ。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.05.11 22:11