『「書ける人」になるブログ文章教室』 山川健一 (ソフトバンク新書)
私にとってブログとは、表現とは何なのか。今日はこの本と「僕らの音楽」からいろいろと考えさせられました。
まずはこの本、ある意味私以上にヘビーブロガーである職場の後輩が貸してくれました。
いわゆるハウトゥーな内容を期待している方々には、かなり不満足な内容でしょう。そういう意味で学ぶべき点はほとんどありませんでしたが、あらためて「文を書く」とは何なのかということを考えさせてくれたという意味では、実にいい本だった。
山川さんは作家さんですからね、やっぱりそういう視点をお持ちなんですよ。ブログのつぶやきも日本文学の系譜上にあるんだと。いや、そういうつぶやきこそが日本の古典的な文学の形であると。それについては、基本的に私も賛成します。ただ発想は逆です。日本文学と言われてきたものの中には、実は文学ではないものがあるのではないか。いや、もしかして日本には「文学」はないのではないかと。そういうことを、それこそここに何度か書いてきましたよね。ま、ブログが文学とは思えませんが、一方で枕草子や徒然草がブログに近いセンスを持っているということは確かです。
さて、ここからはまさに私のつぶやきになってしまうんですが、なんでこのブログを書いてるんでしょうね。今までちゃんと考えてこなかった。
はたして私には山川さんの言う「想い」や「エモーション」があるのだろうか。たぶん、ないと思います。どうしてもこれを語りたいという欲求は、実はそれほど強くないのです。こうして毎日書くことは、正直面倒です。いつも言うようにほとんど修行に近い。表現しないではいられない、なんていう境地からほど遠いんですよ。
では、「ああ今日は何を書こうかな」と考えてばかりかというと、実はそうでもないんですね。いろいろ考えて、よしこれをこう料理して、こんなことを書こう!と決めてからキーボードに向かう、ってことはほとんどないんです。では、どうしているかというと、何も考えずキーボードに指を乗せるんですよ。お題もそれから考える。あとは、勝手に指が動くわけです。
ああ、これって、自分が「メディア」になってるんですね。「ミーディアム」になってるんですよ。私は仲介役に過ぎないということです。別に降霊してるとか、そんなんじゃないですけど、やはりなんていうか、案ずるより産むが易しって言うんですか、勝手に生まれてくるモノにまかせちゃうっていうかね。与えられたものに単に対峙すれば、そこに勝手に何かが立ち現れるわけです。
これは努力とか、そういうのではない。自分がこうして生きていて、とりあえず存在しているようなので、その自己をそのまんま他者と向かい合わせてしまうんですね。そうすると何かが縁起する。それは当たり前でして、ちっともエラいことでもなんでもない(エラいっいうのはダブルミーニングです)。
今日のフジテレビ「僕らの音楽」はレミオロメンと松嶋菜々子の対談でした。レミオロメンはミュージシャンですから、自己表現の欲求を元に活動しているわけですし、また、それを期待される立場です。それだからこそ悩み苦しむことも多いんだなと推察いたしました。一方、役者である松嶋さんは、自己表現というよりも、与えられたもの(役)に純粋に対峙していく、というようなお話をされてました。レミオロメンはそのお話を食い入るように聴いていましたね。
今回藤巻君が、映画「眉山」の脚本を読んで「蛍」を作った、なんていうのは、そういう意味ではとてもいい経験だったと思います。表現者としての「自分が、自分が」というエネルギーは、当然諸刃の剣になりえます。そのバランスの難しさというのは、あらゆるプロのアーティストが味わうものなのでしょうね。
で、私はプロでもなんでもないわけですし、まあせいぜい田舎芝居の大根役者みたいなもんです。今後も、与えられたモノと自然体で対話して、自分というよりも相手の何かを引き出して行こうと思ってます。
というわけで、今日もまたわけわからんモノが縁起いたしましたが、どんなもんだったでしょうか。
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