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2007.04.09

『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』 武田邦彦 (洋泉社)

Kankyoumondai ペットボトルのリサイクルをすると、資源が7倍使われ、ゴミが7倍出る。リサイクルのほとんどは「焼却」である。リサイクルが環境を破壊し、税金の無駄遣いに貢献する。ゴミを分別すればするほどゴミは増え、弱者にしわよせがいく。ダイオキシンは猛毒でもなんでもない。温暖化すると海面は下がる。京都議定書では温暖化は止められない。節電すると石油の消費量は上がる。森林は二酸化炭素を吸収しない。水素自動車の方が二酸化炭素の排出量が大きい。環境問題は金もうけの手段になってしまった…。
 本書ではこうした話が続きます。著者は名古屋大学大学院の教授、資源材料学の専門家として有名な方ですから、当然科学的な調査と分析の結果をもとにしています。しかし、これは学術論文ではありません。怒っています。あまりに世の中がひどい状況なので。つまり、一部のウソつきがついたウソを、多くの国民が信じきって、そして事態をさらに悪化させているからです。早くなんとかしないと、大変なことになってしまう!
 私は以前から、たぶんそうだろうなと思っていましたから、全くショックではありませんが、一般のまじめな方々には相当衝撃的でしょうね。逆ギレする人たちもたくさんいそうだなあ。
 ここで表明しておきますが、私は環境破壊推進派ではありませんからね。極端なことを言えば、世界人類が仏門に入って修行生活すればいいと思っていますので。お釈迦さまの教えは究極の環境問題対策ですから。
 まあ、それは半分冗談としても(半分本気)、私は現在叫ばれている「環境問題」と、現在行われている「対策」の胡散臭さを常に感じております。どこかにウソがあって、なんとなくだまされているような気がしている。怪しい宗教のような感じがするんですね。さらに困るのは、その宗教の原理主義者がけっこういるということです。そのあたりに対して、私もこちらこちらこちらの記事を通して、少し意見を述べさせていただきました。さりげなくね。だって原理主義者ってこわいんだもん(笑)。
 何事も原理主義というのが一番いけない。思考停止しているからです。思考しているつもりにはなっていますが、実際には彼らの発言のほとんど受け売りに過ぎず、自らの殻に閉じこもって他者を受けつけない状況に陥っているのです。私はそういう原理主義こそ地球環境や私たちの生活環境を破壊していると思っています。
 昨日、ウチの学校でも入学式がありまして、今年もまた多くの新入生を迎えました。私は彼らに対して、毎年必ずする話があります。それは中学校で「いいこと」とされてきたことを否定する話です。具体的にやりだまに挙げるのは、「ゴミの分別」「リサイクル」「募金」「ボランティア」「臓器提供意思カード」などです。彼らは小学校、中学校と、それらを人として当然すべき良きこととして教えられてきています。私はあえてそれに異を唱えるのです。ちょっとおおげさに話をします。だいたいみんなびっくりするわけですね。で、びっくりさせて終わりにするわけではなく、また、当然私の考えを押しつけるわけでもなく、最終的には「原理主義はいかん」「自分で考え、確かめよ」「二者択一ではない世界観を持て」ということに導いて行きます(なんて言うとカッコいいですけど、実際はヨタ話にすぎません)。高校生活の基本をそこに置いてもらいたいからです。
 そんなわけですから、今年は、この本と「不都合な真実」の両方を教材として使わせていただきます。どちらを信じて生きるのか、あるいは別の考え方もあるのか、それぞれの裏にはどのような「思惑」や「力関係」があるのか。そういうことを「読める」生徒を育てて行きたいんですよ。
 この本はとても面白かった。興奮しました。本当のことを言うと、私は武田さんの考え方に大賛成派なんです。だからと言って、それを他人に押しつけるつもりはありませんが、世の中のいろいろな胡散臭さを嗅ぎつける、そしてそれを糾弾するだけでなく、どこか楽しむ姿勢(つっこみ力かな?)というのは、もっともっと広がっていいかもしれませんね。

Amazon 環境問題はなぜウソがまかり通るのか

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コメント

こんにちは。
 環境問題のことを考えるとき、地球自体が持っている力を、過小評価する人が、割と多いのかなと思います。
 地球は、人間にいたわって貰わなければならないほど、ヤワではないと思います。
 個人的な考えですが、地球には氷河期が何度かあったくらいだから、その逆に、今みたいに、とても温暖な時期が、何度かあったのではないかなと思います。
 本を読んでいないので、内容のことは知らないのですが、環境問題って、地球にたいして感謝することを忘れた人間の、独りよがりみたいな一面があるのではないかな、と思ったりしています。

投稿: kobayashi | 2007.04.10 21:07

kobayashiさん、おひさしぶりです。
お元気ですか?
まったくおっしゃる通りです。
筆者も本書の中で述べていますが、人間の都合の良いように、
暑い時は冷房、寒い時は暖房という地球エアコン状態です。
「環境」という言葉自体、あくまで自分にとっての「環境」であって、
他者の意見?なんか聞いてませんからね。
まさに生かされていることに対して感謝することを忘れた、
傲慢な生物どうしのだまし合い、あるいは自己満足合戦の様相ですね。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.04.10 22:05

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武田邦彦『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』を読んだ。 例に漏れず3月25日の“たかじんのそこまで言って委員会”がきっかけである。実はその時点では特に買ってまで読もうとは思っていなかったのだけれど、梅田の旭屋書店を通りかかったときにふと目に留まってしまった。 何しろ、目立つ帯がかけられ、目立つ棚にズラリ並んでいるのだから、ああ、あのときのテレビのあれね、と思わず手に取るのが人情というものである。...... [続きを読む]

受信: 2007.04.13 02:36

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