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2007.04.22

レミオロメン 『蛍』

Hotaru 音楽ネタが続きます。
 今日は教え子の結婚式。レミオロメンの3月9日を弾くことになっていたんですが、リハのために会場に行って進行表を見てビックリ。乾杯前に演奏することになっていたんです。披露宴でヴァイオリン弾くのはもう何十回目かでしょうが、そういうのは初めて。本番、さすがにちょっと緊張しましたけどね、私がつまらん挨拶するよりはずっと良かったんじゃないですか。私も弾きながらぐっと来ちゃいました。今日はなんか泣けたなあ。
 ウチに帰ってきて、レミオロメンの5月発売予定の新曲「蛍」を聴きました。やはり5月に公開予定の映画、「眉山」のテーマ曲です。
 一時いろいろな意味でちょっと心配だった彼らも、すっかり気持ち的に基本に立ち返ったようで、親心で見守っている私はほっと胸をなでおろしております。この曲もなかなかの名作ですね。言葉を大切にしていますし、メロディーも伸びやかです。のちに記すように彼ららしい独特の感性で作られた曲。最初に聴いた時から、すっと心に入ってくると同時に、心の中でふわふわ、もやもやうごめき出しました。
 私は「粉雪」に近い印象を抱きましたね。
 音楽的に分析してみますと、やはり藤巻くん独特の不協和音の扱い方の妙です。イントロも軟らかい不協和音を使っていますし、Aメロの「7月の」の「の」の音はまさに「7」の音です。その後も係留的なメロディーが続きます。和音進行自体は単純ですが、そういうスパイスの入れ方が絶妙です。本人は意識していなのでしょうが、ものすごく個性的ですね。
 その個性はサビで爆発します。このサビはすごい。粉雪もそうでしたが、最初は正直びっくりしました。全く予想外の展開。サビはどうしてもありがちな和音進行やメロディーになっちゃうもんですが、こういうのもあったのかと。全く新しい発見や発明を彼はしています。サビのメロディーの入りは「レ〜ラ〜」なんですが、コードは「G」から遅れて「Am」になります。「粉雪」もそうでしたが、一番高いクライマックスの音が、和音の外にあるんですよね。独特の浮揚感はここから生じます。第一、サビが属和音から入るなんてね。さらにビックリは続きます。サビの繰り返し、「レ〜ラ〜」がもう一度あるんですけど、そこのコードは今度は「F」から「C/E」です。一回目と違うんだ。それも今度は不協和音は解決しません…やられた~。
 その不協和音の連続、そして予想外のコード進行が、蛍のあのフワフワ感と儚さ、切なさを見事に表現しています。「粉雪」の時も誰かが言ってましたね、「粉雪」という小さくて軽いものを歌い上げちゃうところがすごいと。「蛍」も思いっきり歌い上げてますが、しかし、双方ともその歌い上げた音が「不安定」なんですよ。だから、単に力強くなったりはしない。新しい表現ですね。
 藤巻くん、そういうものを持って生まれたんでしょう。そして、あの自然の中で育った。自然は多くの不協和音の絶妙なバランスの上に成り立っています。都会化した「コト」ではなく、自然の「モノ」とはそういう性質のものです。思い通りにならないことの豊かさを全身に浴びて育った彼らの音楽が、こうして豊かな響きになるというのは全く納得できることですし、あの風景を思い出しながらそのことに思いを馳せると、こちらの心もある意味非日常的な震えを生じます。それがレミオロメン独特の感動なのだと思います。
 ああ、いい曲だなあ。売れる、売れないとか、そういうことではなくて、心に本当の意味で残る音楽だと思います。皆さんもぜひその豊かさを、理屈でなく全身で浴びてみてください。

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音楽」カテゴリの記事

コメント

庵主さん、こんにちは。
お祝いの席での「3月9日」演奏。状況を思うだけでウルルンです。私もいまだにケータイ録音させて頂いた演奏を聴いては感動しています。
「蛍」の記事、嬉しく♡読みました。再度聴いてみるとなるほど!ですね。力強いのに癒される感(~感は亮太君の口癖;)はこの奥深い構成から来てるのかもしれませんね。聴けば聴くほど御坂の旅で見た景色が浮かびます(涙)
ジャケ写、こんなにアップで見たのは初めてです。
写ってる山は御坂から見える山であってほしいなぁ。

投稿: くぅた | 2007.04.23 12:54

くぅたさん、DVDありがとうございました。
おかげで眉山の内容もわかり、その上で「蛍」を鑑賞分析できました。
藤巻くん、ホントに特別な感性を持ってると思いますよ。
あらためて感心しました。
山梨は「蛍」の名所もたくさんあります。
やっぱり天然の蛍が最高ですね。
あるスポットがあるんです。
6月はそちらにも行きましょうか。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.04.23 13:17

庵主さん、こんばんわ☆
結婚式で「3月9日」を聴けたらそれは涙;涙ですよね~。。。
私も6月に親友の結婚式で何かをやるんですが・・・その何かが決まっていません。私的にはかなり押し付けになってしまうのを覚悟で、「3月9日」を唄いたいと思ってるんですが・・・。レミファンでなくても感動してくれますよね?
「蛍」発売前なのに、リピ聴きすぎて・・・でも何回聴いても心に響くというか本当にいい曲なんですよね♬
山梨にも蛍の名所があるんですか??ぜひ行ってみたいです。。。
って行ってもいいですか??

投稿: スギッチ | 2007.04.24 00:27

スギッチさん、おはようございます。
3月9日は最近よく弾くんですけど、
たいへん好評ですよ。
知らない方が聴いてもあの歌詞とメロディーは心に残るようです。
門出にぴったりの曲です。
てか、もともと結婚式のための曲でしたね。
「蛍」もいいですねえ。
山梨には天然の蛍の名所があるんですよ。
6月の予定はちょっと微妙ですが、調整してみます。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.04.24 06:29

はじめまして!
ブログをいろいろみてたら来れました!
僕もレミオロメン大好きっす!
あっちなみに僕今中学2年です♪
僕ギターやってるんですけど、3月9日を今特訓中です!
蛍のはじめのちゃらららーんららん?みたいなかんじのとこ弾けました!
もしよかったら僕のブログも見てみてください♪
またきてもいいですか?

投稿: しげのり | 2007.04.25 00:29

しげのりくん、おはようございます。
コメントありがとう。
レミオロメンいいですよねえ。
ぜひぜひギターも一生懸命練習してください。
自分で弾くと、その曲への愛情もさらに深まりますよ。
あっ、勉強もちゃんとしようね。
私は高校の先生なんで、いちおうそう言っときます(笑)
しげのりくんのブログも見にいきますね。
ウチにはもちろんいつでも来てください。
かなりマニアックですけどね。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.04.25 06:43

はじめまして。レミオファンの高1です。
私はピアノで3月9日練習してます。「蛍」は確かに「粉雪」
に似ていますね♪でも「アイランド」にも似ているような気がしました

投稿: さな | 2007.04.27 10:11

さなさん、コメントありがとうございました。
そうですね、印象は「アイランド」に似ていますね。
でも、ちょっと音楽的に分析しますと「粉雪」風なんです。
まあ、両者のいいところをミックスしたとも言えましょうか。
いずれにせよ、いい曲です。
聴けば聴くほど心にしみますね。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.04.27 20:22

庵主さん、こんばんわ。
披露宴で「3月9日」なんて、涙ものですね!!
私も、生ヴァイオリン、聴きたかったです。
「蛍」は、確かに、何というか微妙な音使いなのですよね。でも、すぅっと中に入ってきて、癒されるのです。
御坂の地で、ずっと、ずうっと聴いていたせいでしょうか、聴く度に、季節違うのに、春の御坂の情景を思い出してしまいます。

投稿: エミリーナ | 2007.04.29 02:52

エミリーナさんお元気ですか?
そう言えばこの前は生3月9日、披露しませんでしたね。
次にはぜひとも。
「蛍」の穏やかで伸びやかなメロディーは、
あの空に続く山なみそのものですね。
あらためて、音楽と風土の密接な関係を感じずにはいれません。
サビのかんじんなところはしっかり「ヨナ抜き」ですし、
歌詞も含めて、日本人の心にしみる曲だと思います。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.04.29 08:11

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