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2007.04.07

『亀の尾で造った純米吟醸酒』 (福乃友酒造)

Fukunotomo 秋田から家族が帰ってきて、何本かお酒を買ってきてくれました。今日は、そのうちの一本「亀の尾で造った純米吟醸酒」をいただきました。
 酒の肴は「ふきのとうの天ぷら」です。今年は暖かかったので3月のはじめには顔を出していましたからね。その後ちょっと冷えたので、食べ頃で生長停止したふきのとうが庭に大量にあるんです。
 さて、このお酒、まずはその名前ですね。そのまんまです。秋田の県民性は「謙虚」だと常々感じておりますが、このネーミングも自己主張せず、完全に説明的でありまして、ちょっとほほえましい。たしかに世の中では「○○からつくった○○」とか「○○だけでできた○○」というようなネーミングがはやっておりますが、秋田でそれをやると「そのまんま」感があるのはなぜでしょうね。たぶん、以前書いた秋田独特の微妙なセンスのせいでしょう(笑)。謙虚なんでカッコつけるの苦手なんですよ。
 というわけで、このお酒は幻の酒「亀の尾」で造られています。「亀の尾」と言えば、お米の世界ではたしかに伝説的な存在です。今から100年ほど前、山形は庄内の阿部亀治という人が開発した、いや開発ではないな、発見したんですよね。マニアックなことは抜きで説明しますと、とにかくとっても優れた品種の水稲をたまたま見つけて、それを地道に研究して、全国に普及させたということです。おそらく最初に見つけた3本の稲は突然変異種だったんだと思われますが、それと彼が出会ったというのは、やはり運命だったのでしょう。他の人だったらまず気づかなかったかもしれない。そして、気づいたとしても、その性質を見抜けなかったかもしれない。また、たった3本を全国に無数に広げることなどできなかったかもしれない。いや、できないでしょう。
 驚くべきは、彼の見出した「亀の尾」は、のちの「コシヒカリ」「ササニシキ」「ひとめぼれ」「あきたこまち」「どまんなか」「はえぬき」など現代の優良米の親となったことです。「亀の尾」なしにそれらは生まれなかったと言っても過言ではありません。やはり、阿部亀治はカリスマです。
 と、得意の蘊蓄が長くなりましたが、とにかくですねえ、その「亀の尾」はその子孫たちにその座を譲って、しばらくあまり作られなかったんですが、最近は純米酒の原料として注目されてるんです。で、実際いただいてみますと、たとえばこのお酒、「辛口」ということですが、とってもふくよかな味わいです。秋田のお酒はだいたい米の甘味を大切にした造り方をするんですが、このお酒の甘味は実にさわやかにして豊か。最近、辛口=淡泊というお酒ばかり飲んできたんで、この「辛さ」はなにか新鮮な気がしました。これが本来の日本酒のおいしさではないでしょうか。米の味がするということです。肴の味の邪魔をするのではなく、下から支えるという、いかにも「ごはん」的な存在感です。
 先ほど「謙虚」という言葉が出ましたけれど、面白かったのは、箱に一枚の手書き(を印刷した)の「お手紙」が入っていたことです。杜氏さんが書いたそのお手紙、その字も含めまして、それこそ謙虚で純粋で素直で正直で朴訥で口下手で、それを読みながらこのお酒をいただいたんですけどね、とってもあったかい気持ちになりました。「ほかのお酒に押されて日本酒は苦戦しているが、いいものをちょっとずつ造る」というようなお言葉に、思わず「頑張れ!」と思ってしまいました。
 おっと、肝心の会社名を書くのを忘れてた!福乃友酒造株式会社さんです。立派な蔵があるようなので、今度秋田に行った時には立ち寄ってみようと思います。

福乃友酒造

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コメント

秋田の県民性いいですね。
このお酒、飲みたいなあ。

投稿: 貧乏伯爵 | 2007.04.08 22:07

伯爵さま、どうもです。
お忙しいようで、大変ですね。
今度ゆっくり呑みましょうよ。
秋田のお酒は癒されますよ〜。
きりたんぽつつきながら…。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.04.09 06:08

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