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2007.04.16

『哀しみのビートルズ』 三枝成彰編曲 ベリルン・フィル 12人のチェリストたち

『Menories』 Die 12 Cellisten der Berliner Philharmoniker
M0006006301 隠れた名盤発掘。10年ぶりくらいに聴きましたが、これはいい!ビートルズ編曲ものマニアの私としても、これはかなり許せる。これは生で聴いてみたいなあ。
 編曲は当時(1992年制作)お茶の間のオバサマ方に絶大なる人気を誇っていた三枝成彰さん。ジャケットもものすごくオシャレですし、音楽も限りなく美しく、これは「シゲさま」ファンならずとも、メロメロでしょう。
 三枝さん、アニメやドラマの音楽も多く手がけてますし、先述のとおりメディアへの露出も多かったので、クラシック界ではどうもこの人への評価は辛めでしたね。最近はかなり正当な評価を得るようになったと思いますが。まあ、今でもガンダム関係の収入は膨大なものになるでしょう。嫉妬する同業者の顔が目に浮かびますな。
 しかし、この編曲ワザはすごいですぞ。個人的には武満徹のビートルズものも好きなんですけどね、まあ三枝さんもクラシックというか現代音楽の作曲家というキャリアをお持ちなわけですから、武満と同じような路線を行っているとも言えるでしょうね。
 演奏は、あのベルリン・フィルの12人のチェリストたちです。彼らの演奏会には一度行ったことがあります。あまりのすごさに腰が抜けた覚えがありますよ。巧いのは当たり前。オケでの演奏とは違い、皆ものすごい自発性で弾きまくっていまして、とにかく実に生き生きした音楽でしたね。そして、チェロという楽器の表現力の豊かさ。ヴァイオリン弾きは常に嫉妬してるんですよ、実は。ホントはみんなチェロを弾きたいんです。
 さて、そうした凄腕シェフたちが料理しているのが、あのビートルズですからね。そりゃあおいしいに決まってる。まあ、あんまり凄腕が集まると失敗になっちゃうってこともよくありますけど、これは成功例でしょう。ぜひともクラシックファンに聴いてもらいたいですね。もっと注目されていいCDだと思います。
 三枝さんが解説で書いていますが、あえてビートルズからリズムを取り去ったと。メロディーだけ残したらどうなるか。たしかに編曲も演奏もあえてリズム感を消そうとしているのがわかります。ロックやポップスの命であるリズムを消しちゃう…考えてみれば過激なことです。
 たぶん、ほかのバンドの曲でこれをやっちゃったらヤバいことになるでしょうね。しかしビートルズのすごいところは、こんなことされても、しっかりビートルズであり続けるところです。作曲家としてのビートルズは超一流です。つまり美しいメロディーを作るということに関しては、武満もたしか言ってましたけど、クラシックの大御所、たとえばモーツァルトやシューベルトに匹敵するどころか、彼らを凌駕しているかもしれない。これもまたよく言われることですけれども、彼らは20世紀の民謡をたくさん作ったとも言えます。1000年、いやそれ以上歌い継がれるメロディーを一時期に大量に作ってしまった。
 三枝さんも、作曲家として作曲家ビートルズと対峙してみて、そのことを実感したようです。御自身は編曲という作業はあまり好きでないとおっしゃっていますが、なかなかどうして、立派なお仕事ですし、演奏家たち同様、かなり楽しんでいる様子が音楽から聴いてとれます。きっと、編曲を通じてビートルズからいろいろなことを学んだんでしょう。やっぱりすごいぞ、ビートルズ先生。
 それにしても、なんで「哀しみの〜」なんでしょうね。おばさま方へのアピールでしょうか。ちょっとニヒルでアンニュイな顔した三枝さんのイメージなんでしょうか(笑)。とっても楽しい音楽だと思うのですが。英語タイトルは「Memories」だし。なんかバブル崩壊直後の独特のムードを感じさせますね。この時、私は何やってたんだろ。15年前か…やっぱり泡がはじけてたな(笑)。
 では、いちおう最後に収録曲を並べておきます。

1. オール・マイ・ラヴィング
2. ガール
3. ミッシェル
4. アンド・アイ・ラヴ・ハー
5. 抱きしめたい
6. ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア
7. レット・イット・ビー
8. イエスタデイ
9. エリナー・リグビー
10. ヘイ・ジュード

Amazon 哀しみのビートルズ

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音楽」カテゴリの記事

コメント

三枝さん、良いんですよ。
氏を知ったのはガンダムのサントラからでした。(昔のアニメって侮れなくて、すぎやまこういち先生もカッコイイ仕事を残していますね。)クラシックに興味を持ったときに、何から聴けば良いのかわからず、先ず買ったのが、三枝氏がプロデュースしたクラシックのオムニバス CD でした。選曲が良かったなぁ。お陰でシベリウスという作曲家を知り、クラシック嫌いの偏見もなくなりました。それまでは、恥ずかしながら、古くさい(!?)という理由で聴かず嫌いしていたもので。本当によい音楽は、古さなど感じさせない! というのが今でも私の持論です。(ま、シベリウスはどちらかといえば現代の作曲家ですが。)

で、三枝氏が一連で現代音楽を手がけた最初の作品ではないかな?と勝手に思うのが、91年に CBS SONY から発表された「失楽園」というアルバム。当時のテレビ番組のテーマ曲に採用されていたことも影響するのか、今聴くと何処かバブリーな印象もありますが、なかなか良い作品でした。惜しむらくは、その時点で現代音楽と電子楽器への造詣が浅かったことですかね。生意気なこと言っちゃうと。(^^ゞ
もうちょっとで化けてたのになぁ。

>バブル崩壊直後の独特のムードを感じさせますね。

あ、やっぱり!(笑)
当時を全く知らない人が聴くと、どういう印象なのだろう。

投稿: LUKE | 2007.04.18 16:33

LUKEさん、こんにちは。
やっぱりガンダム聴いた方がいいっすかね。
てか、まず観なきゃいけないですね。
私も三枝さんの作品、好きな方なんですよ。
行きつくところがロマンチックだったというのがいいっすね。
やっぱり音楽は美しいメロディーが一番!!
そして,あのバブル崩壊の陰影というか、あれはあれで一つの文化を育てましたね。
なんか、とっても懐かしいです。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.04.18 18:39

>やっぱりガンダム聴いた方がいいっすかね。

今、音源がないので、お勧めして良い物かどうか判断しかねますね。確か劇場版の3作目が、三枝さんの仕事だったかと思いますが...。

>てか、まず観なきゃいけないですね。

ガンダムをご存じないなら、こちらは躊躇無く観ることをお勧めします。いいなぁ、これからガンダムに出会えるなんて。語ると長くなるので内容に関しては解説を控えます。(笑)鑑賞は劇場版3部作で済ますのも良いですが、TV 放映版を毎週一~二本ずつというのも良いかもしれません。最終回で、主人公たちが生活拠点としていた母艦が沈んで行くところを見て、庵主様が寂しさを感じたなら大成功。それにはある程度、登場人物たちと同じような時間の経過が必要な気がします。

>行きつくところがロマンチックだったというのがいいっすね。

いいっす! ホント、三枝さんはロマンティストです。しかも相反することに、ストイックでないところがまた良い! エロスを渇望しながらも、アプローチはあくまで大人とでも言いましょうか。気持ちよさ(美しさ)を追求するために労力を惜しまず、安易にスケベに走らないので、結果的にロマンティストになっちゃった感じが、...大好き。(笑)

>やっぱり音楽は美しいメロディーが一番!!

ですね。ラップもエミネム・クラスになるとさすがだとは思いますが、若いうちからそんなに説教くさくて理屈っぽくてどうすんの? と、思うことしきり。素直に暴れて欲しいです。

>なんか、とっても懐かしいです。

色々ひっくるめて懐かしいですね。

投稿: LUKE | 2007.04.19 00:47

ですよねえ。
私けっこう後半生においしいもの残してまして、
それが今からとても楽しみです。
ガンダムもその一つ。
生徒にもガンダムヲタがたくさんいまして、いつでも鑑賞可能なんです。
ちなみに私が観たことあるのは劇場版第一作のみです。
「もののあはれ」の物語でしたね。
実に古典的、伝統的なテーマを扱ってるなと思いました。
ま、ガンダムを語れるようになるまでは死なないつもりですので。
語れるようになった際にはよろしくお願いします。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.04.19 07:43

一作目だけですかぁ、そこは本当にプロローグでしかないんですね。物語の世界観を伝えるのが精一杯で、それで時間切れみたいなところがあって、中核のテーマは、それ以降の展開でより明確になって行きます。
TV 版でしたら、じっくり進んで行きますので、それなりに物語になっているのですが、劇場版はどうしても駆け足で、残念ながら独立作品として成立してないかと。(^_^;) これからなんですよ! も、もったいない。

脱線しますが、ご存知でしょうか? 湘南爆走族という不朽の名作漫画を。奇跡的に面白い青春群像なのですが、作者がデビューしたてということもあり、良くぞ連載が続いたなと思うほど序盤が稚拙でつまらないんです。ですから、そこで挫折して後半を知らない人が多いと思うと、それだけで私は身もだえしてしまいます。

いけません。なんだか私、我を失っていますね。ここでやめておこう。

投稿: LUKE | 2007.04.19 12:32

うーん、やっぱりあれはプロローグですよね。
そうですよねえ。なんとなく「あれ?」って感じだったんで。
そうすると、テレビ版をゆっくり観るのがベストですね。
いくらでもマニアな生徒がいるんで、いつでも貸してもらえそうです。
湘南爆走族!それこそ名前だけしか知りません。
江口洋介がえぐちようすけを演じたという映画は一本観た記憶がありますが。
わかりました!
そちらも探して挑戦してみます。
いやあ、後半生楽しみだなあ。
今思えば、マンガ・アニメ・ゲーム禁止の家で良かった(笑)。
もし禁止されてなかったら…正直こわいっす。
いろいろ教えて下さいね。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.04.19 16:31

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