« 歌謡曲バンドふじやま Live at 武道館…の隣(笑) | トップページ | 『宇多田ヒカルの作り方』 竹村光繁 (宝島社新書) »

2007.03.18

古楽三昧!!

↓写真は思いっきり10年前です(笑)
Gregorio 昨日は歌謡曲で楽しませていただきましたが、本日は古楽三昧でありました。いやあ、ホントに音楽って素晴らしい!アンサンブルって素晴らしい!縁ですなあ…。
 今日は午前中ちょっと仕事をして、午後から久しぶりに東京に出ました。まず向かったのは東久留米市にある聖グレゴリオの家。カトリックの教会です。私は若かりし頃?のべ14年間にわたって、ここが運営している宗教音楽研究所に附属するグレゴリオ音楽院の古楽科で古楽アンサンブルを勉強させていただきました。結婚後は卒業させていただき、それ以来なかなか機会がなく一度も足を運ぶことがなかったんですけれど、今日ふと思い立って、本当に久しぶりに…9年ぶりかな…春の演奏会を聴きに行ってきたんです。
 まずは懐かしい皆さんとの再会。先生とも数年ぶりですし、それこそ20世紀以来お会いしていなかった大勢の旧友(とさせていただきます)たちの懐かしい顔が…ジ〜ン。私もですが、皆さん大人になられて…(笑)。それでも、面白いもので、音楽でた〜くさん会話していた人たちとは、久々に会ってもあんまり昔と距離感が変らないんですね。意外に自然に溶け込めました。
 演奏もとても良かった。ヴィオラ・ダ・ガンバ科、チェンバロ科、アンサンブル科の皆さんによる、3時間以上にわたる盛りだくさんのプログラム。ぜいたくな時を過ごさせていただきました。あの教会の聖堂は、専門家のレコーディングにも使われるほど素晴らしい響きを持っています。ああ、久々にここで弾きたいな、と思いました。古楽にとっての響きについて、いろいろと思いを馳せながら聴いていたんですが、ああいう非常に長い残響というのは、物理的には単に不協和音を生むわけでして、なぜそれがあそこまで気持ちよく感じられるのでしょうね。ま、お風呂で歌を歌うのと似た状況です。実際に楽器から出ている音だけでも充分なテクスチュアになるはずですが、それを取り囲む部分の必要性とは何なんでしょう。
 私の考えは、あの豊かな響きに取り囲まれて、あらぬ方向に行ってしまいました。それは最近少し考えている「敬語論」です。いずれまとめて書きますが、日本語の敬語について新しい考えがありまして、まあ簡単に言ってしまえば、相手を尊敬するために使っているのではなく、自己防衛的な意味での婉曲法だと捉えるんてすね。相手を気持ちよくさせて自分の身を守る。私らしいアマノジャク的発想ですねえ。ま、それはいいとして、音楽における響きというものには(あるいはヴィブラートもなんですが)、実はそのような機能があるのではないのか。自己防衛とかではないですよ。ぼかすという意味でです。楽器から出ている直接音という核だけでは、実は音楽は攻撃的になってしまうのかもしれないのです。ケータイの着信音や目覚まし時計から流れる音楽?って、ほとんど核だけのストレートな「音」ですよね。心地よくしてしまったら気づきませんから。で、響きという「ぼかし」が入ることによって、相手を心地よくさせ、安心させ、眠くさせる(笑)。これって敬語に似た部分があるなと。
 こんなふうにいろいろと妄想していたんですけれど、とにかく適度に眠くなったりもしまして、大変に気持ちいい時間と空間を堪能させていただきました。皆さん、ありがとうございました。時間の関係で最後まで聴けなかったことが悔やまれます。また近いうちに音楽院の方にも復帰する方向で検討中ですので、その時はよろしく。
 さて、今日はこれで終わりではありませんでした。皆さんのアンサンブルを聴いて、俄然こちらのアンサンブル欲も高まってきまして、さあ、やるぞとばかりに移動開始です。移動先は副都心。ここでもまた20世紀末以来の再会となる皆さんが待っていてくれました。こちらも以前いろいろな形で古楽アンサンブルを楽しんだお三人さんです。ひょんなことから何かやろう!ということになりまして、本日実現にこぎつけました。
 集まったのは私も含めまして、バロック・ヴァイオリン二人、そしてバロック・チェロとチェンバロです。堂々たる、そして王道たるトリオ編成ではないですか!素晴らしい。
 で、短い時間でしたが、豊かな初見大会を楽しみました。弾いた曲はですねえ、コレルリのトリオ2曲、ラインケンのソナタ(渋い!)、ヘンデルのトリオ、ヴィターリという人の小曲集です。最初は皆さん久しぶりということもあって、なかなか音程もリズムも合わなかったんですが、最後には素晴らしい(自画自賛)音楽になっていましたよ。こういう小さい編成のアンサンブルは久々でしたので、本当に気持ちよかった。バロック音楽の醍醐味ですよねえ。それをこうして気の合う皆さんと、楽しく気軽に演奏できるというのは、本当に幸せなことです。皆さん本当に10年ぶりとか、そんな感じだったんですが、話をするのも忘れて、とにかく合わせる合わせる。でも、それでいいんです。私たちは楽器で会話しているんですから。アンサンブルの妙は、まさに気の置けない人たちとの会話の妙そのものなんです。お互いに信頼し合って、譲り合って、慰め合って(?)、美しい音楽を作っていくんです。決して自己中心的、排他的ではダメ。縁と恩に感謝しながら弾かないとね。
 というわけで、今日はまさに古楽三昧の一日でした。つくづく、音楽をやっていて良かったなあと思いました。家に帰ると、全くの偶然ですが、これまた懐かしい音楽仲間からのメールが。ありがたやありがたや。幸せ者ですなあ、私…。まずは音楽の神に感謝しましょう!

不二草紙に戻る

|

« 歌謡曲バンドふじやま Live at 武道館…の隣(笑) | トップページ | 『宇多田ヒカルの作り方』 竹村光繁 (宝島社新書) »

音楽」カテゴリの記事

コメント

楽しんでおられるのが、よ〜っく伝わってきて、こちらも元気にさせられましたよ!私もこちらではまだソロの仕事が多いですが、やはり音楽家たるもの、アンサンブルに尽きますよね。来週、ヴァイオリンの方とヴェラチーニなど、濃ゆ〜い所やれるので楽しみ…。
25日のコラール演奏会も頑張ってくださいませ!

投稿: よこよこ | 2007.03.20 00:23

よこよこさん、お帰りなさいませ。ヨーロッパの土産話楽しみにしてますよ。
こちらもいろいろと用意してお待ちしております。
う〜ん、やっぱりヴァイオリン2本のトリオはいいですねえ。
プロレスのタッグマッチみたいなものでして(笑)。
とにかく小編成のアンサンブルが一番ですよ!
ヴェラチーニ、コテコテで大好きです。
いつかご一緒できるといいですね。
でもちょっと私には難しすぎるかな。
コラールの方も継続的にやるつもりですので、よこよこさんともいつか必ずできると思いますよ。
その時はよろしくです。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.03.20 05:42

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 古楽三昧!!:

« 歌謡曲バンドふじやま Live at 武道館…の隣(笑) | トップページ | 『宇多田ヒカルの作り方』 竹村光繁 (宝島社新書) »