ペコちゃんのいない雛祭りにちなんで(?)
今日のYahoo!ニュースにもありましたけど、ペコちゃんのいないひな祭りというのは、いったい何年ぶりのことなんでしょう。ペコちゃんのコスプレも、あるいはあの不二家のひなあられ(雛霰…漢検1級に出たっけ…ああそうそう、結果出まして、なんとか100点は行ったようですw)もない春なんて。
さて、昨年の今日は源氏物語「須磨」より…「ひなまつり」にちなんでと題して、なかなか面白い考察をしておりますな。今、自分で読んでもけっこう面白い。
で、今年は、我々の穢れを全部しょいこんで流刑になってしまった「人形(ひとかた)」ペコちゃんを偲んで、ちょっと彼女にまつわる話でも書いてみようかな。まあ私のことですから、またメチャクチャな展開になると思いますけど。
Yahoo!ニュースの記事にもありましたが、ペコちゃんというのは「牛」の「ベコ」からとった名前でして、つまり「牛ちゃん」ということです。不二家の製品を支えてきた「牛乳」。ミルキーはママの味ではなく、牛すなわちペコちゃんの味だったわけですが、今回は皮肉にも期限切れのそれが、自らの首をしめる結果になってしまいました。
とにかく、ペコちゃんは牛の神様なわけです(っていきなり…)。牛の神様と言えば「牛頭天王」でしょうか。言わずと知れた祇園祭の中心人物、というか神様です。
ところで、「ベコ」あるいはなまって「ベゴ」というのは、言うまでもなく東北地方の方言であります。で、東北地方の代表的な家神さまと言えば「おしら様」ですね。こちらは馬の姿で現れることもあります。馬頭観音との関係も指摘されていますね。実はこの「おしら様」、「おひなさま」が転訛したものだという説もあります。たしかに言語学的に申しますと、江戸言葉を例に出すまでもなく、「ひ」と「し」は交代しがちですし、「な」と「ら」(と「だ」)は、発音してみると分かるとおり、似た発音の仕方をします。鼻が詰まると全部いっしょになっちゃいますよね。まあ、私はこの説にはあんまり積極的に賛成しない立場なんですが、面白いですね。言われてみると、おしら様は、今では馬ではなくて男女一対の人形であることが多かったりする。
というわけで、どうまとめましょうかね。馬との関係も噂されるひな祭りから、牛の神様が追いやられたってことですかね。いやいや、それはさすがに無理のある結論です。もうちょっと深読み(浅読み)してみましょうか。
ひな祭り=上巳の節句と言えば、今ではすっかり女の子のための節句になっています。もともとは男も女もなかったんですけど、江戸時代に今のような行事に変わっていきました。時を同じくして、女性に関すること全てに御利益のあると言われていた「淡島様(淡島神)信仰」と親和していきます。この淡島神、一説ではイザナキ・イザナミの産んだ子で、ヒルコとともに不具の子として海に流された「アハシマ」だとも言われています。流す、それも穢れを流すという意味でも、ひな祭りと淡島信仰は結びついているわけですね。
一方、牛頭天王と言えばスサノヲです。やはりイザナキ・イザナミの子です。こちらはアマテラスやツクヨミとともに、神話の表舞台で活躍しますね。
そう考えると、牛頭天王=スサノヲたるペコちゃんが、アハシマを祭るひな祭りから追いやられるのも、分からないでもありません。神話や歴史の舞台裏に幽閉された淡島神の怒りなのかもしれません。ヒルコ(蛭子)が恵比寿神として表舞台に漂着したのと同様、アハシマもひな祭りという非常にメジャーな行事に復活したとも言えるわけですから、そんな事情も知らないであろう「牛ちゃん」=スサノヲが、最近そこに侵入してきたことに、淡島さんや蛭子さんが怒りを覚えるのも当然と言えば当然ですね。スサノヲよ、相変わらず空気読めないヤツだな!!とか言ってね。
ありゃりゃ、ペコちゃんを憐れむ記事を書こうと思ったんだけど、結果としてペコちゃんを断罪する内容になってしまいました。すんません。でも、神話ってこんなふうに作られるもんなんですよ(笑)。
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コメント
ペコちゃんの舌は牛タンだったんですね。
さて、牛の人ということから、件(くだん)を思い出しました。
最初に知ったのは誰かの漫画だったと思いましたが、大きな事件の前に角の生えた子供が生まれるそうです。角こそ生えていませんが(リボンは角隠しか?)、ペコちゃんはすでに生まれながらにして今日を予言してたのかもしれませんね。
投稿: 貧乏伯爵 | 2007.03.04 19:35
伯爵様、いつもナイスコメントです!繰り出される技はナイフの切れ味!
今夫婦で見てる全日のプロレスの試合(みのる対健介)と言う感じ
ですよ。夫も励みになります。これからもいい攻防(?)期待してます☆☆
投稿: 庵主セコンド | 2007.03.04 19:46
おっと、またセコンドに先を越された。
う〜ん、伯爵さまの攻撃もなかなか強力ですね。
牛タンと件ですかあ。
なるほど。
こうして神話というか伝説は作られていくんですね。
まさにプロレス名勝負数え歌ですね!!
本当にありがたいことです。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.03.04 20:46
セコンド様からも励ましていただき光栄に存じます。
しかし、庵主様、私は神話伝説捏造者ですかっ!(冗談)
実は牛と今回初めて知ったのです。
今までは、ペコちゃんポコちゃん、凹凸で、おかめひょっとこ、
夫婦和合の象徴かとずっと想像しておりました。
これが一番自然な発想ではないかなあ。
投稿: 貧乏伯爵 | 2007.03.05 10:03
な〜るほど。
でも、ベコ→ペコからすると、ボコ→ポコですので、ポコちゃんが凹になっちゃいますよ(笑)。
ま、神話には変性男子とか変性女子とかよくありますからね。
むむ、深いかも…?ww
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.03.05 10:51
ぺこっと凹み、ぽこっと膨らむでしょ。オノマトペ的考察なんです。
それにXXポコとも言いますし。これは余計だったかな。
小学生のときに思いついたんですよ。
投稿: 貧乏伯爵 | 2007.03.05 12:55
あっそうか。
オノマトペ的にもその通りですし、古語において「へ」(奈良時代まではの発音はおそらくpe)は「押す・圧す」という意味ですしね。
確かに正しいっす。
急にペコちゃんのほっぺ食べたくなっちゃった。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.03.05 13:13