Lili Haydn 『Light Blue Sun』
昨日録画したモントルー・ジャズ・フェスティバルを観ていたら、ハービー・ハンコックの5tetが出てきました。メンバーの一人がなかなかの美女。彼女、ヴァイオリンを弾いています。そのヴァイオリンがまたうまい。弓の根元を使って鋭いリズムを刻むあたり、ちょっとロックっぽいなと思いましたら、Lili Haydnでした。
彼女のデビュー・アルバム、ウチにありました。それがちょうど10年前の録音でして、その後全然音沙汰なかったので、すっかり忘れてました。というか、そのアルバムがあまり自分の趣味に合わなかったので、正直興味が失せてたんですね。なんとなく、当時は美人ロック・ヴァイオリニストみたいな感じで売り出されてたんで、ついついジャケ買いしちゃったんですよ。そしたら、まあうまいしロックなんだけど、私のロック趣味からすると、ちょっと「痛い」系だった。2回くらい聴いておしまいにしちゃったような。
で、10年ぶりに聴きました、彼女の音色。いや、動く彼女は初めて観たな。ハービーが選ぶだけのことはあって、なかなかいいものを持っていましたね。ソロで弾いたパッセージも、なかなか堂に入っており、少なくとも寺井尚子嬢よりはセンスよかった…と思う。私、いかにもクラシック的なボウイングとヴィブラートが大嫌いなんで。
それで、彼女のこの10年ってどんなだったんだろ、と俄然興味が湧いてきちゃいまして(単純だな)、もしかしてジャズに移行したのかなとかね。とりあえずアルバム出してるのかな、検索してみよう。というわけで調べたら2003年に1枚出してました。それがiTMSにあったので早速ダウンロードしてみたというわけです。
あっそうそう、彼女ってヴァイオリニストであるのと同じくらいのレベルでヴォーカリストなんですよ。よくケイト・ブッシュみたいだって言われるんです。味のある美しいヴォーカルを聴かせてくれます。そう、それがロック的じゃなかったんだよな。そうだ、それで違和感を持ったんだ。
で、2003年のこのアルバムは上手に路線変更してまして、ケイト・ブッシュと言うよりはビョーク的な世界を表現しておりました。まあ、アンビエントと言えばアンビエントだな。どこか民族音楽的な要素も感じさせ、デビュー・アルバムもそうでしたが、どちらかというとクラシック的なものから離れようという意思が感じられます。
打ち込みのいかにも無機的な伴奏の上に、彼女の生々しい(とは言っても比較的控え目ですが)ヴァイオリンとヴォーカルがうごめきます。なんとなく女子十二楽坊の雰囲気もあるな。東洋的なメロディーも満載ですしね。
こうして聴いてみますと、ヴァイオリンという楽器のルーツが、決して西洋的なものでないというのが分かってきますね。いわゆるクラシック音楽の代表的な楽器のように思われているヴァイオリンでありますが、実は非常に土俗的で、ある意味野卑な楽器なんですよね。とっても根本的なことなんですけど、フレットがないというヴァイオリン族の特長が活かされてないですよね、クラシックの世界って。胡弓にせよ、三味線にせよ、とにかくフレットのない弦楽器を思い出してみてください。みんなフレットレスを武器にしてるじゃないですか。最近そんなことをよく思うんです。
というわけで、このアルバムはなかなか良かったっすよ。癒し系と言えば癒し系です。でも、それだけではすまされない彼女の世界観が表現されいます。彼女のホームページに行きますと、いろいろと音を聴くことができますので、とりあえずそちらへどうぞ。
ところで、Lili Haydnってリリ・ヘイドンって書けばいいのかな…。ネット上でもいろいろなので。
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