「笑いの賞味期限は…」
今日からお仕事。いきなり進学合宿であります。とは言え、私の家の裏にある某企業の研修所兼保養所をお借りしての合宿でありますので、半分休み気分ですね。しかし!たまりたまったしめきり間近のタスクが山積しております!なんとかしなくちゃ。
で、今日は膨大な新聞の切り抜きをチェックしていました。いろいろ刺激的な記事があったわけですが、ちょっと気になったのが先月中旬(古いネタでスマン)の朝日新聞の文化欄「笑いの賞味期限は」です。
年末年始にわたって何度か書いたような記憶がありますが、今年の私のキーワードの一つが「笑い」であります。一昨日小1の娘に、人間とほかの動物の違いはな〜んだ?と聞いてみました。彼女なりにいろいろな答えを考えてくれましたが、私の答えは「笑い」でした。娘の中では、テレビや絵本の中の動物キャラのイメージもあったんでしょうね、なんとなく腑に落ちない顔をしておりましたが、実際「破顔一笑」するのは人間だけでしょうね。
で、その貴重な「笑い」の賞味期限が短くなっていると。記事の筆者はマッツァリーノの説を引用して、笑いには「ギャグ」と「ユーモア」の二種類があり、前者の寿命は短く、後者は長いとします。最近は笑いがギャグに偏りつつあるわけですね。そして、テレビやインターネットによって露出回数が増えるため、さらにサイクルが短くなる。作り込むライブ型よりも瞬間芸のテレビ型が多い。受け手のレベルが上がってネタを厳しくチェックするようになったため、繰り返しが許されなくなっていると。なるほど。
最近、私の教え子3人が組んでやっていたお笑いグループが解散しました。記事で実はライブ型として取り上げられている「テツandトモ」の後輩でした。教え子たちも一発芸的な、あるいは流行語的な笑いというよりも、キャラ自体で魅せる(?)タイプの芸人でしたから、ちょっと残念でした。それこそベテランの芸人さんたちには大いに気に入られていた(面白がられていた)ようですが、テレビのような媒体には向いていなかったようです。
正月にNHKで昭和の芸人さんたちを取り上げた特集番組が放送されていましたが、たしかに昔の方々はキャラが濃かった。出てくるだけでつい笑っちゃうという感じでしたね。オーラが変なんだもん。いや、それ以前に顔だけで笑える。ちょっと差別的な言葉で表現したくなるような感じ。それが、どういうわけか、最近はそういう存在感のある芸人さんが少ない。普通にスマートなんですよね。いや、実はそれってお笑いに限ったことではないんです。音楽でもしかり。演劇でもしかり。たとえばプロ野球やJリーグ、そうそうプロレスもですね。とにかく存在感のある人間が減った。理屈とかエセ評論なんかを寄せ付けない人間が減ったんでしょうかね。そういう意味では、政治の世界の小泉さんは特異な存在でした。てか、ほかがショボいんで彼が浮き立ったとも言えましょう。
これって、たぶんですけど、受け手の方のレベルが上がったんじゃなくて下がったんだと思いますよ。消費者のレベルが下がると供給側も当然レベル下げてきますからね。下げるというか下がるというか。とにかく低きに流れる。
最近の生徒を見ていると、とにかく対象をじっくり愛するということをしません。最初は飛びつくが、すぐに「つまんない」「飽きた」「これだけ?」「次は?」みたいな感じなんですね。まさに使い捨てというかコンビニというかオン・ディマンドというか、そういう社会のあり方を反映しているようです。瞬間的にワー!っと盛り上がるのは得意だけど、じっくり待ったり温めたりこちらから何かを加味したりできない。とってもかわいそうに思います(彼ら彼女らにとっては大きなお世話ですけどね)。
そう、いつもの言い方しますとですね、時間を微分して「コト(不変・随意)」を指向するんです。時間を積分するという行為、あるいはその結果得られる「モノ(変化・不随意)」に対する感慨すなわち「もののあはれ」なんてのは不快に過ぎません。
皮肉なもので、微分の結果は「刹那」であって、全然「不変」ではありません。あれ?この人誰だっけ?どんな人だっけ?世の実相は時間の流れの上にあるからです。現代は「コト化」の方向に動いてきました。デジタルという技術はその最たるものでしょう。そうして対象(他者)を情報化して飼いならそうとする。しかし、対象(他者)にはなり得ない自分はやっぱり「物の怪」なんで、結局様々な細切れの残骸を眺める空虚な自分が残るような気がするんですけどね。どうなんでしょうね。
そういう意味では、いろいろ蘊蓄並べてお笑いを批評したりする人々や、匿名掲示板でさもわかったかのような書き込みする人々、あるいはそれを受け売りしてシッタカするような人々(ってかオレじゃん、それ…)は、単に情報(コト)をもてあそんでいるだけ、いや情報にもてあそばれてるだけなんですよ。
ちょっとこのあたりと「萌え」「オタク」「腐女子」に関して新しい考えなども出てきているんですが、今日はここらでおしまいにします。仕事、シゴト。目先の「コト」を為さねば。
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