『養老先生に聞いてみよう!人生への疑問』(NHKハイビジョン特集)
また、NHKネタですね。3連チャンです。年末年始はどうしてもNHK漬けになりがちですな。珍しく家にいることが多く、ついついテレビを観てしまう。で、いろいろザッピングしても結局行き着くのはNHK。そういう性分なので仕方ないっすね。さて、番組の紹介の前に…。
今日は近所のフォトグラファーさん宅にお呼ばれ。彼は今や日本を代表する広告写真家の一人ではないでしょうか。あの広告の写真もあの広告の写真も彼の手によるものです。彼自身と彼の作品群については、またいつかここで紹介いたしましょう。
彼の自宅兼スタジオに呼ばれたのは、私と、やはりご近所お住まいの画家の方とフランス人シェフ、そしてその家族たち。今日は特に画家の方といろいろお話しました。たいへんな才能を持った彼についてもいつかここでおススメいたしましょうね。
本当にいろいろと腑に落ちるお話や好奇心をくすぐるお話をいただいたんですけれど、私以外の3人の男たちに共通しているのは創造的な仕事をしているということです。ある意味私だけはそこに達することができなかった男。昔はそこんとこに妙な劣等感やひねくれた反発心なんかを持ってしまう小人だったのですが、最近少しは大人になったかな、素直に彼らから学ぶことができるようになりましたよ。
で、私が今日思ったのは、彼らにはやはり才能があるということです。なんの才能かといいますと、「見えないものを見る」能力です。この前書きましたね、星の王子さまに出てくるキツネの「大切なものは目には見えない」という言葉。彼らには私たちには見えない、あるいは私たちが見過ごしてしまうものを見る能力があるんです。つまりとっても大切なものです。それは、たとえば、彼らが富士山や人や車や食材に向かった時に、そこに私たちが知り得ない未来の可能性を感じたりする、そういったものです。また、私が画家の方に「これで完成という瞬間ってどうやってわかるんですか」という質問をした時の彼の答え、「これ以上やったら作品がダメになるラインが見える」という感じのものです。ラインと言っても、もちろん物理的な線ではない。どちらかというと時間の流れの中のある瞬間、それも未来のある瞬間への予覚だと思います。
私はそういう本来とらえどころがなく、固定されていない、そして流動性に満ちた現在や未来の何かを「モノ」と呼んでいるんですね。いつも言っているように「コト」(それは実は過去の情報そのものなんですね)の対照概念です。
そう、そこで思い出されるのは、昨日の彼女の言葉「ひねり出した言葉はダメだと。衝動的に生まれる言葉にこそ力がある」です。意識的にではなく、無意識の領域で、対象と自己との間に縁起する何かをとらえるわけです。それを彼らの努力の結果であろう「職人技」によって現実化するわけです。
と、こんなことを痛感して心動かされながら帰宅いたしまして、先日観たある番組を見直してみました。そしたら、養老先生いいこと言ってるじゃないですか。陶芸家への夢を捨てきれない、しかし現実の厳しさに直面している男性からの相談に対する答え。「創造性は仕事の中から見つけ出せ」「創造性は自分で探して出来るものではない、ひとりでに出来てくる」「どん底だと思ったらもっと掘れ」「独創性は意図ではなく結果」。ああやっぱりそういうことなんだな。なるほど。
これはやはり禅の思想につながりますね。「無我」「縁起」ってことですよ。最近、そのへんが実感としてわかってきたような気がするんですね。そのおかげでいろいろなことがうまく回るようになってきました。ずいぶん時間がかかりましたけどね。
さて、この番組、養老先生が主役で、ツッコミが太田光だったわけですが、どうも太田のツッコミがいまいちでした。司会の麻木久仁子の方がたくさん喋ってました。たぶんですけど、太田って自分が主役じゃなくちゃいやなんですよ。だから田中みたいになれてない。それに、これも想像ですけど、太田って養老さんのことあんまり好きじゃないんじゃないかな(笑)。実際言ってました。「ずるい」って。たしかに太田みたいにミクロにこだわって必要以上に悩むことを人生の価値としている男にとって、養老先生みたいに思いっきり開き直ってマクロにものを捉え、そして「大したことじゃない」って言い切っちゃう男って、自分のアイデンティティーを否定するやなヤツなんですよね(笑)。昔、私は太田みたいな青年でしたけど、最近養老先生みたいなやなヤツになりつつあるんですよ。ずるい大人ってことでしょうかね。
と、長々と書いてきましたが、とにかく学ぶことの多い一日でありました。みなさんに感謝いたします。はい。
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