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2006.12.25

コラールの美しさを!『オルガン小曲集(バッハ)』

『Orgelbuchlein (J.S.Bach)』  Ablitzer(organ)
Harmonic Records
68216230_m さて、今日がイエス様のお誕生日当日であります。ま、いろいろ説はあるようですが、一般、特に日本人には今日ということで。それをお祝いいたしまして、本日はバッハのクリスマスにちなんだ作品を鑑賞いたしました。非常に素晴らしい作品集でありながら、どうでしょうねえ、あんまり接する機会がないんじゃないですか。
 これはいわゆるコラール前奏曲ということでしょうね。コラール前奏曲とは、その名の通り、礼拝において賛美歌を合唱する前にイントロとしてオルガンで演奏されたものです。単純かつよく知られたコラールの旋律をどのように料理して豊かな音楽にするかは、作曲家の腕の見せ所だったでしょう。バッハも数多くのコラール前奏曲を作曲していますが、このオルゲルビュヒラインが最も早い時期に作られたものです。
 全部で48曲からなるこの曲集、その中のBWV599からBWV617の19曲がクリスマス週間用のコラール前奏曲です。さらにその中が細分化されており、待降節用、降誕節用、年末年始用、マリアの潔めの祝日用に分かれているようです(正直この辺についてはあまり詳しくありません)。今日はそのあたりを聴いてみましょう。
 ああ、そうそう、このオルガン小曲集には一つの逸話というか、エピソードがあります。この曲を作曲したのはバッハが32歳くらいの時ですが、どうも、この曲集のいくつかは牢屋の中で作られたようなんです。その頃、ワイマールで仕事をしていたバッハは、自らの主人である領主にいろいろと不満がありまして、さっさと再就職活動をして、退職願を出す前にケーテンの宮廷楽長の座をゲットしちゃったんですね。で、ワイマール領主は怒ってか、いやがらせか、本気で惜しんだのか、よくわかりませんが、退職願を受理しなかったんですよ。でも、元来頑迷なバッハは辞める!の一点張り。しまいには不敬罪でしょうかね、牢屋にぶちこまれてしまうんです。どうもそこでいくつかのコラール前奏曲を作曲したらしい。11月の6日に入牢してますので、もしかしてケーテンでの初仕事(クリスマス週間)のために集中して作ったのかもしれませんね(笑)。ホントかどうかわかりませんが、牢屋は実に静かで作曲には最適だと言ったとか。たしかに小品ばかりではありますが、内容的には非常に高度な作曲技法を聴かせてくれます。集中できたのかな。
 今日紹介するアルバムには、テノールとポジティフオルガンによる原曲のコラールも入っています。ルターらが作曲したドイツ語の賛美歌ですね。こちらは非常に単純な和声付けで演奏されていますので、バッハの作品と比較することによって、彼がどのようなアイデアと職人芸をもって編曲したかがよくわかります。
 本当にほとんどが3分以下の短い曲ですが、だからこそ飽きずにいろいろなタイプの曲を聴くことができます。コラールというシンプルなモチーフを扱いつつ、対位法や和声法の実験を重ね、あるいは舞曲の要素も取り入れたりして、非常に多様な音楽を展開しています。もちろんその豊かさはバッハの信仰の豊かさの表れであると思いますよ。
 今、実はこうしたオルガン用のコラール前奏曲や、声楽用のコラール、カンタータの中のコラールなどを、いくつか器楽用に編曲しようと思っているところです。それを引っさげていろんな教会を回って、コラールの美しさ、豊かさの再確認を促せればなと思っているところです。どうもゴスペルとかがはやりすぎのような気がするんで。それはそれでいいんですけどね。大きなお世話でしょうか。

NMLではこちらがいい演奏です

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コメント

おお、素晴らしいアイデアですねえ。
それをヴァイオリニストがやるところが更に頭が下がります。
私も山梨時代に、ポジティフオルガン借りて(実際に貸してくださるという方もいたのです)そういうことをやりたいな、と思ってはいましたが、
礼拝の音楽スタイル上、どうかなあと躊躇しているうちに、やらずじまいでした。
こういう地道な活動、いいと思います。
近い内に「歌謡曲からコラールまで、音楽のことならなんでもお任せツア〜」でもやりましょう。

投稿: よこよこ | 2006.12.26 23:19

なんだか毎日お楽しみの尽きない庵主様のご様子。うらやましい限りです。

わたくしは今月早々、シュッツ『クリスマス・ヒストリエSWV435』&バッハ『マニフィカトSWV243』をメイン・ディッシュにしたクリスマス・コンサートを堪能いたしました。

コラール云々を拝読し、ああそういえば、わがCDライブラリーにも確かあったはずと、今久しぶりにオルガン・コラールを聴きながらキーをたたいています。わたくしのCDは、昔 harmonia mundi から発売された BWV599-644。よろしいなあ、バッハは。『マニフィカト』なんて、これも古い昔のERATO版ミシェル・コルボを、一日中リピートして聞いています。

コラールの器楽演奏版、ぜひ。期待しています。


投稿: ドン・ブー | 2006.12.26 23:25

よこよこさん、どうもです。
忘年会楽しんでおられますか?
このコラールの企画、実はだいぶ前からやりたかったんです。
編曲と言っても、2手の鍵盤とヴァイオリンかヴィオラですので、
そんな大したことではありません。
ぜひやりましょうよ。
歌謡曲からコラールまでなんでもツアー、いいですねえ。
そういうことが自然にできる仲間がいてホント嬉しいです。
とりあえず、前橋の渡辺さんともやってみようという話になっていますが、
よこよこさんがこちらにおいでの際には必ず実現しましょう。
あるいはそちらの方にも行きたいっす。
やっぱり全国ツアーか(笑)。
礼拝の中でそれこそ前奏曲としてやりたいなあ。
では、また連絡いたします。


ドン・ブーさん、どうもです。
なかなかカミさんがお返事できなくごめんなさい。
いや、ドン・ブーさんもバッハやシュッツにお詳しいとは。
なんとも不思議な御縁でございます。
オルゲルビュヒラインは聴けば聴くほどいい曲集ですよね。
実は若い頃から大好きでした。
マニフィカトもいいですよねえ。
ツアーの際にはお近くにも参りますので、ぜひ(笑)。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.12.27 08:15

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