今年のクリスマス・プレゼントは…NHK?
今夜はクリスマス・イヴなんですね。いちおうウチでもささやかなパーティーなどしまして、世界平和を祈りました。BGMはケルトのクリスマス・ミュージック。今年はなぜか私の父親もいまして、いろいろと話をしました。主に戦争体験。やっぱり戦争はいかん。平和が一番。
さて、そんな夜に私は素敵なプレゼントを三ついただきました。全てNHKさんの作ったものです。たまたま昨日、ふれあいミーティングに参加したわけですけど、やっぱり私の人生にNHKは不可欠です。昨日も「水」のような存在になってほしいということを言いましたが、たしかに自分の70%はNHKで出来ているのかもしれない。なんてちょっと大げさかな。でも、たしかに今年のクリスマス・イヴの70%はNHKのおかげで充実しました。
以前見落とした番組二つとクリスマス特番一つですね。
まず、父親が録画を持ってきてくれたのがこちら。8月に見逃してしまっていたものです。噂にたがわず衝撃的な内容でした。戦争の語り部たちもずいぶんと高齢になってまいりました。今まで口をつぐんで来られた方々も、苦悩の中で語り始めています。父親が今日初めて私に語ってくれたこともありました。こういう実体験からしますと、たとえばこちらで紹介したドラマや映画は、やはり甘い。美化してしまっている部分も多々ある。たしかに全ての事実を明らかにすることが、後世の人々にとって絶対に重要とは言えません。しかし、やはり美化や感傷だけではいかん。
たとえば、生徒たちは「戦争もの」に「感動」を求めてしまうんですよね。悲しみも感動の一つになってしまう。これは避けたいところです。戦争はもっと酷く、醜く、辛いものです。なんて言う私ももちろん戦争体験者ではないわけで、無責任に語るべきではないんですがね。これはとりあえず生徒たちに見せます。私はノーコメントです。これを観てから、クリント・イーストウッドの映画を観てほしい。
さて、続きましてはこちらです。新日曜美術館『悲しみのキャンバス 石田徹也の世界』。これは9月に放送されたようですが、私は観ていませんでした。今日、母親が電話で「やるよ」と教えてくれました。これも非常に心にずっしりこたえましたね。昨年31歳で亡くなってしまった石田徹也さん。私と同じ焼津の生まれだったんですね。知りませんでした。
天才です。でも、「夭逝の天才」なんて簡単にラベリングしてしまうのも憚られるほどの才能です。現代にこんな若者がいたこと自体信じられません。これほど自己と社会を冷徹に観察し、そして再構成して吐き出すことができるなんて。だから、彼の作品には「好き嫌い」を超えた「共感」がある。誰しもが、実は知りつつも目をつぶってしまっている自己と社会の実態が、微妙なペーソスやユーモアを伴いながら、切々とこちらに迫ってくる。彼の作品を観る人たちは、驚き、苦笑し、そして打ちのめされるのではないでしょうか。ゲストの大槻ケンヂさんもたじたじでしたね。よくわかります。
彼の作品で面白かったのは、物と人間の合体という点です。いつも言うように「モノ」とは、自分の外部であり、実は自分の思い通りにはならない存在です。それに呑み込まれていく自己を描いた石田さんの作品は、私には大変興味深く感じられました。物が大量生産、大量消費、大量廃棄されていく現代とは、実は「物の怪」の時代なのではないか。我々は欲しい物を得ようとして、実はコントロールできないモノノケたちに支配されているのではないか。そんな気がしました。
そして最後はクリスマス・イヴ・スペシャル・プレゼントですね。これぞ本当に待ちに待った贈り物。サラリーマンNEOのクリスマス・ヴァージョンです。なんか懐かしかったですねえ。小松政夫さんや南野陽子さんも「さすが!」と思わせる演技で大いに盛り上げてくれてましたね。ネタ的には意外に地味な感じでしたが、まあクリスマス・イヴですからね。あっ、このカットはですねえ、原史奈さんがスカートをめくられてるところです。ただそれだけ(笑)。別に深い意味はありません。ああ、楽しかった。水越伸さんと茂木健一郎さん、さすがGJ!!これからの知能には笑いのセンスは欠かせません。
と、こんな感じで、今年は両親とNHKさんのおかげでとっても充実したクリスマス・イヴになりました。来年のテーマは「平和」「知足」「笑い」、これですね!決定!
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コメント
このブログのコメントの書き方が今まで分からなかったんですけど、ようやく分かりました。
NEOって昨日だったんですね~。忘れてました。今度見せて下さい。
23日にNYLON100℃の公演を見にいったら、田中要次さんがいらっしゃいました。渋くてかっこよかったです。でも、誰も騒いでいなくて。というか、気づいてないんじゃ・・・とすら思う位、皆さんノーリアクションでした。
田中さんの「いーちゃん」、大好きでした。
投稿: チヱ | 2006.12.25 15:39
チヱよ、まだ日本にいたのか。
ちゃんと録画してあるから、今度来た時見せてあげますよ。
田中要次さん、ホント天才だよな。
大好きっす。いいなあ、生ボバかあ。
東京は生がいっぱいでいいね。
では、東欧を楽しんできて下さい(活動も忘れずに)。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.12.25 15:47