『バタじゃが』 (南富良野町振興公舎)
北海道の医大に通う教え子からのお土産『バタじゃが』。北海道ならどこでも売ってるらしいんですが、これが手軽でうまいのなんのって。レンジでチンするだけで、バターのしっかりしみたホクホクが味わえる。これはなかなかいいつまみになるぞ。子どものおやつにもいいんじゃないかな。
ところで、『バタじゃが』とはこれいかに。一般名は「じゃがバタ(ー)」であり、商品名としてはそれを採用できなかったんでしょうけど、ひっくり返っただけで、こうも発音しにくくなるとは。昔よくカレーライスとライスカレーの違いは?みたいなことが言われてましたけど、こっちはそういう違いがあるわけじゃないですよね。どっちが主体とかそういう…。
ところで、じゃがバタってどこの名物なんでしょう。北海道なんでしょうか。全国どこでも、居酒屋やお祭りの定番になっていますし、レストランのメニューにもあったりしますけど、どうなんでしょうか。じゃがいもとバターの産地ということで言えば、たしかに北海道が発祥であってもおかしくありませんが、それ以前にドイツとかその辺でも昔から食べてそうですね。
じゃがいも自体は、江戸開幕の頃に日本に伝来したようです。どうもオランダ人が九州に持ち込んだらしい。当時オランダはジャワ島に東インド会社を設立しました。そのあたりから運んできたらしい。で、当時日本ではジャカルタのことを「ジャガタラ」と呼んでいたので、この芋のことを「ジャガタライモ」と命名した。それが「ジャガイモ」になったとのこと。なるほど。
ついでに「ジャガタラ」とは「ジャカルタ」の聞き間違いではありません。どちらかというと当時の現地式の発音に近い。その後、太平洋戦争の時に、日本軍があのあたりを占領して、勝手に「ジャカルタ」と改名してしまった。それが、今では現地でも正式名称になっているんだとか。まあ、意味的には「幸せの都」のような感じらしいので、結果オーライですけど。
バターもオランダ伝来らしい。日本にも古来「醍醐味」の語源になった「醍醐」など発酵乳製品はありました。まあ、これらも元々中国から輸入されたものですけどね。涅槃経に『牛より乳を出し、乳より酪を出し、酪より生酥を出し、生酥より熟酥を出し、熟酥より醍醐を出す。醍醐は最上なり。もし服する者あらば衆病皆除く。あらゆる諸楽ことごとくその中に入るがごとく仏もまたかくのごとし』とあります。「酪」や「酥」や「醍醐」がどんなものであったか、諸説あるようですが、とにかく奈良・平安時代には発酵乳製品が存在したことは確かです。
でも、醍醐天皇が馬鈴薯に醍醐をぬったくって食べたということはないでしょうな。たぶん馬鈴薯はなかったので。あっそうそう、馬鈴薯という言い方もしますね。中国での呼び名です。この馬鈴というのはおそらく「マレー」のことでしょう。マレーイモということですね。
いずれにせよ、今風のバターの生産やジャガイモの栽培が本格化したのは、明治以降であります。北海道の開拓が本格化した明治10年代、西洋の先進技術が輸入され、新天地に独特の酪農文化が花開きます。この『バタじゃが』もまた、100年後そこに実った果実…いやいや、イモは実ではありませんな、根っこでもありません、地下茎です(笑)。
と、今日もまた蘊蓄を並べておりますが、これもいつもの受け売り、耳学問でありました(わかってると思いますが)。でも、そんな栄養にもならないような蘊蓄もまた、ちょっとしたスパイスになるものです。じゃがバタに乗せるパセリのようにね。
Amazon バタじゃが
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