「募金」に関する野暮な思索
昨日、赤い羽根が机上に配布されておりました。なるほど、そういうシーズンですね。今年は60年記念なんですね、赤い羽根。
昔から思ってたんですけど、この羽って何の羽なんだろう、この時期になると、1億人分くらいむしられるのかなあ、なんで赤いんだろう、赤く染めるのに金かかるんじゃないかなあ…等々。
もちろん、そういう疑問を持つ人は他にもいるわけでして、赤い羽根共同募金のホームページに行くと、その答えがちゃんと書いてあるわけです。
それによりますと、羽はニワトリのもの。食用などで処分されたニワトリの羽を使うそうで、廃物利用なんだとか。赤は「勇気」「よい行い」の象徴。なるほどね。
で、あの羽を作るのに1枚1.6円かかるそうです。単純に1億枚作るとすると、なんだかんだ言って1億6千万円かかるってことですね。年間何枚作っているかというデータはありませんが、だいたい1年で220億円の募金があって、一人当たり180円くらい財布やポケットから出しているようなので、まあのべ1億2千万人くらい募金してるわけですよね。で、法人なんかの大口もあるでしょうから、少し割り引いて1億枚くらいかな、という予想。
この1億6千万円を高いと思うか、安いと思うかですね。羽を配らないで単純に募金だけしてもらうのが、収支としては理想的な形ですが、たしかにこういうシンボル的なものがないと、人間はケチですからね、なかなか募金なんかしない。ああやって、テレビのアナウンサーも政治家も、私は募金をした「勇気ある、よい行いをした」人ですと言わんばかりに、赤い羽根を胸に付けるというのも、なんというか風物誌とでもいうか、まあささやかな自己主張としてありかな、とは思います。どうせじゃあ、100円につき1枚とかして、政治家なんか全身に赤い羽根をまとうというのはどうでしょう(笑)。なかなかゴージャスですよ。
さて、募金と言えば、路上のしつこい募金箱首ぶら下げ隊ですね。あれも一種のストリート・パフォーマーなのでしょう。だいいち、ああやって一日中突っ立ってるんだったら、そこのマックででもバイトして、その収入の半額でも寄付した方がずっと効率がいい。私だったらそうしますが、まあ、彼らにはそのパフォーマンスによって訴えたい内容というものがあるのでしょうから、こんな本当のことを言うのは、それこそ野暮というものでしょう。
野暮ついでに、24時間テレビ、あれについてはいつもこう思っています。24時間放送休止テレビというのがあれば協力すると。ああやって、めちゃくちゃタレントさん使って、おおがかりな演出して、スポンサー募ってやるんだったら、それにかかるお金をそのまま寄付しなさいと。どうせだったら、24時間放送を完全に休止して、それで浮いたお金を寄付せよということです。あるいは、そういう趣旨に賛同する心ある企業や個人は募金すればいいと。まあ、あれも結局、パフォーマンスであって、愛はなんちゃらというメッセージがこめられているということなんですね。
最近、世の中では、ホントのことを言っちゃった野暮なニュースが飛び交っていますけど、まあ私が観察するに、どうも意味のない、あるいは意味の転倒した風習というのと、それを突然「おかしい!」と指弾する野暮な行為とは、どちらも「祭」に属するもののような気がします。日常にひそんだ「ハレ願望」の発露であると。
というわけで、今日の私の野暮な思索も、ささやかな日常への抵抗、ちょっとした祭であったというわけです。以上。
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コメント
こんにちは!
余談ですけど、数年前に、ラジオで聴いたような気がするんですが、赤い羽根がなぜ「赤」になったかという話です。
当時の天皇が、まごころを赤心と言うから赤にするといい、とおっしゃったので、赤い羽根になったとか。
よくおぼえていないのですが、そういうことのようです。
投稿: kobayashi | 2006.11.15 20:10
kobayashiさんお元気ですか?
なるほどねえ、ありそうな話ですね。
公式ページでは「勇気と善行」みたいなこと書いてありましたが、
赤心というのは大いにあり得ますし、日本人の心を刺激する言葉ですね。
60年前のことですし。
そう考えると、ありがたく感じられるようになりますね。
私も単純です。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2006.11.15 20:41