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2006.11.22

『愛ゆえの孤独 〜太宰治の世界〜』 押切もえ

  押切もえ 辿る斜陽の時
B000ij7jso01_aa240_sclzzzzzzz_v39607224_ 今日は急遽…ホント今日の朝、依頼文が来たんですが…地元小中学校の図書&国語の研修に呼ばれ、ちょいとパフォーマンスを披露し、得意のハッタリをかましてきました。テーマは「朗読」です。いちおう講師ってやつですか。そう、私にとっての「講ずる」は調子よく音読するってことなんで。で、太宰についてもちょっと語ってきました。ちょうど、もえちゃんの太宰を味わったばかりだったし。さ〜て!!

 なぜに「押切もえ」の初DVDが「太宰治」なのか!?

 これは実に微妙な作品であります。正直どう反応していいのか、よく分からなかった。ただ、決してトンデモではなく、真摯な姿勢で…いや、たいがいのトンデモは真摯な姿勢だからトンデモになりうるのか。シャレじゃないからこそ…。
 うん、でもやっぱりトンデモじゃないな。たとえば、これがもえちゃんじゃなくて、緒川たまきだったら最初からOKでしょう(笑)。つまり、私の勝手なイメージがこの作品を分かりにくくしている。どこに収納したらいいか分からなくしている。そういう収まりの悪さがあるんですね。
 私の太宰のイメージというのは、もうずいぶん前から出来上がっていて、それなりに揺るぎない。一方、押切もえのイメージというのは、まあ「カリスマモデル」という程度に、かなり適当には固定化されていますが、それは自分で作り上げたものじゃありません。情報として、エビちゃんと一緒の箱に無造作に入れられてる程度。そこに二者のギャップがある。私の脳ミソの中でね。
 またまた登場で申し訳ないんですが、「モノ・コト論」です。収まりがよくなるというのは、自分の中で「コト」になるということなんですね。そういう意味では、二者ともに収まるところに収まっていたんです。それで勝手に安心してた。そしたら、別々の場所、それもかなり離れた場所にいたはずの二者が一緒にいるじゃないですか。おいおい、なんでこの二人がつきあってるの?みたいな感じでびっくりしてしまった(笑)。まあ、こういうことのようです。
 面白いですね、「コト」と「コト」が結びついたら、「モノ」になったわけです。収まりの悪い「モノ」になっちゃった。なるほど、これこそが生命の有りようなのかもしれない。うん、深い。
 それで、「モノ」に憑かれて気持ち悪い私は、もえちゃんのことをもっと知りたくなるわけですよ。そして、納得したい。二者のコラボレーション全体の収納場所を確認したいわけです。
 たとえばこれで、もえちゃんが青森の出身だったりすると、案外簡単に収まるのですが、残念ながら彼女は千葉出身でした(笑)。で、ある意味よけいに心配になって、もっと調べてみると、どうも彼女自身が太宰の熱狂的なファンのようですね。うむ、人は見かけによらない(すまん、もえちゃん)。さらに彼女自身、それなりの苦悩を経て現在の地位を築いたと。ああ、なるほど、ウィキ的解説によれば(つまり全然信憑性ないんですけど)家庭の崩壊、恋人の死を乗り越えていると。しっくりしてきたぞ。
 さあ、そうやって収まり所が見えてきたところで、再びこの作品を鑑賞いたしましょう。そうするとなんとなく予感がしてくるんですね。ああ、そうか。太宰ともえの共振みたいなものがあるんだ、それを観て取らなきゃいけないんだと。いや、逆にですねえ、そういう観方をすると、この作品の演出の弱さ、あるいはちょっとした字幕の間違いや、正直シロウトっぽいもえちゃんの読みなんかも気になってしまったりするんです。もっと時間とお金をかけてあげたくもなるわけですよ。そういう甘さはどうしてもあります。
 しかし一方で、そういう瑕疵には目をつぶって、あえて違う眼で観るならば、太宰もえ組と言った面白さ以外の面白さというものも立ち現れてきます。この作品では、太宰を取り巻く女性をクローズアップして取り上げています。田部あつみ、小山初代や太田静子、山崎富栄はもちろんですが、母「たね」、叔母「きゑ」、子守り「タケ」の三人をていねいに取り上げていることには好感を持ちます。特に新しい情報はありませんが、もえさんのそれぞれの女性に対する思い入れは充分に伝わってきました。
 私はやっぱりタケとの再会のシーンが好きだ。泣ける。それはタケが「コト」化しようとしないからです。言葉をそうやって使わないからです。だから、「コト」化=「語る」を商売にしている太宰も、この時ばかりは黙ってしまう。まさに津軽の人々に接して涙する押切もえだ。現代社会で記号化される押切もえと、自然の中で淡々と生きる青森の素朴な人々。「コト」と「モノ」の出会い。そして、「コト」も「モノ」に還る。
 そうして最後のインタビューを観ますとですねえ、なんか解ってくるんですよ。ここは必ず観なければなりません。彼女が太宰とどういう部分で共鳴しているのか。単純に生い立ちとかそういう次元ではなくて、そういったものの裏返しとしての「希望」。彼女が「死とは?」と訊かれて「出会い」と答えているのは、実に象徴的です。
 さあ、我がクラスのギャルたちに観ていただきましょう。私が語るよりも、カリスマもえちゃんに語ってもらいましょう。いきなり太宰ブームが起きたりしてね。そうなると、私ももえちゃんも太宰も嬉しいんですが。

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