« 『私のこだわり人物伝 寺山修司&松田優作』 美輪明宏&リリー・フランキー(NHK出版) | トップページ | 『ホテル・ルワンダ』 テリー・ジョージ監督作品 »

2006.10.05

『憲法九条を世界遺産に』 太田光・中沢新一 (集英社新書)

408720353001_scmzzzzzzz_v60519776_ 「美しい国」を反対から読むと「憎いし苦痛」になる…だって?そんなことを堂々と社説に書く新聞社もバカですが、それに思わず感動している私もバカです。そして、こんなことくらいしか言われない安倍さんも情けない。こんなバカたちにつける薬はないのか?と思ったら、ちょうどいいのがありました。
 この本、大変興味深く読みました。まず断っておきますが、私は特別にこのお二人が好きです。太田さんについてはこちら、中沢さんについてはこちらを読んでいただければ、私が彼らをどう評価しているか、少し分かるでしょう。少しですけどね。
 お二人の共通点は、ずばり頭がいいということです。単純ですみません。しかし、何かにつけ自分より優れている人の言動を観察するのは勉強になりますし、快感にもなるものです。
 そんなお二人が非常にナイーヴな問題について語り合っています。ただしお二人とも憲法学者さんではありませんので、基本的に専門外のことについてのやりとりになります。考えてみれば、そういう意味では我々国民の99.99999%が門外漢なわけでして、もしかすると専門家どうしのそれよりもこういう形の方が有意義なのかもしれません。
 さて、まずは私の立ち位置を明確にしておきましょう。基本的にほとんど彼らの論に賛成したいと思います。私は政治屋でもないし、ましてや軍事屋や経済屋でもない単なる夢想家なので、それは賛成ですよ。
 ここ数十年ですっかり大人になってしまって、理想を追い求めるのをやめていたんですが、最近急にまた無謀な夢を持つようになってきました。そんなわけで、お二人の、特に太田さんの、周りに無理だと言われても夢や理想を追い求める姿勢こそ大切という考えに、激しく同意いたします。去年の今ごろだったら、けっこう冷めた目で「理想と現実は違うよ」って言ったかもしれません。
 人類にとっての無理難題の象徴としての「日本国憲法」。現実から乖離した夢や理想としての9条。そこに手をつけちゃいけない。成立過程からして奇跡的な珍品を軽々しく扱うなと。修道院や寺院のような存在である現憲法があるからこそ、人は私利私欲にまみれた生活を反省する。なるほど。今の私ならすんなり受け容れられる考え方です。ぶっちゃけ、ミサイル打ち込まれても、抵抗せず滅んでいくのもありかな、なんてこと考えてるくらいですから。
 で、そういうことをはっきり言ってしまう、ある意味命がけのパフォーマンスができる太田という人間は、本当に危ないやつです。中沢さんも危険な橋を渡ってきて、実際危険な目に遭わされたりしてきましたね(そう言えばお二人を知ったのは宝島30ででした。オウムの時です)。だから中沢さん、ここのところちょっと元気がなかった。いくら「ニュー」でもやはり「アカデミック」な世界の方ですから。その点、太田さんが主張する「笑い」を介したアピールというのは、その危なさをも包み込んでソフトに浸透していく力を持っている。
 「笑い」というメディアはとても大きな力を持っています。なぜなら…ガツンと言ってしまうとですねえ、「バカ」でもわかるからです。「バカ」でも興味を持つからです。もちろん私もバカですよ。彼らのような頭がいい人以外は全部バカという意味です。だから、太田さんの求める道は間違っていないと思いますし、現在の彼が「笑い」に関してまだまだだというのも間違っていないと思います。こうして彼なりのマニフェストを公にしてしまったわけですから、それなりの覚悟で精進しなければならないでしょうね。大変でしょうが、私は応援したいと思います。
 ところで、平和主義者として、非戦論者として、夢想家として、芸術家として、そしてユーモアの大御所として、それこそ今よりもずっと厳しい状況の中、その人生を貫いた人がいます。出口王仁三郎です。なにしろ彼は、戦前、戦中、戦後を通じて、神格化された天皇を中心とする軍国主義に、真っ向から、しかし非暴力で、不抵抗で戦ったんですから。中沢さんはもちろん、太田さんも彼の存在を知っているはずです。もしかすると、本当は宮沢賢治じゃなくて、王仁三郎から入るべきだったのかもしれません。お二人が語っていることは、ほとんど王仁三郎の生き方にダブるからです。もちろんそれが不可能だった理由もわかりますがね。
 私はこの本を読んで、正直かなり勇気づけられました。昨日の記事で「扇動されたい」と書きましたが、もしかすると私はお二人に、特に太田光さんに扇動されたのかもしれません。今の私は彼以上に、もしかすると、ジョン・レノンやオニさん以上にドリーマーかもしれません。そんな自分がかっこいいとは思いませんが、恥ずかしいとも思いません。それは事実です。せめてバカたちにバカと言われるようなバカになりたいですね。
 あっ、ただ一つ、異論あり。お二人さん、藤原正彦さんの「国家の品格」に「笑い」の視点がないというようなことを述べておられましたが、それは間違いです。私がこちらに書きましたように(笑)。ついでにこちらもどうぞ。

Amazon 憲法九条を世界遺産に

不二草紙に戻る

|

« 『私のこだわり人物伝 寺山修司&松田優作』 美輪明宏&リリー・フランキー(NHK出版) | トップページ | 『ホテル・ルワンダ』 テリー・ジョージ監督作品 »

文化・芸術」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

歴史・宗教」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

自民党 安倍首相は「あべこぅべ相」
▼発言語録 正誤表 - p.001 -
×:「美しい国、日本。」→◎:「美しい州、Japan state in USA.」
×:「美しい国へ」→◎:「美しい国と言わされる国へ」
×:「国の理想、形を物語るのは憲法」→◎:「私的な野望、形にするのは憲法改正で」
×:「歴史はあくまでも歴史家に任せるべき」→◎:「不都合な歴史はあくまでも歪曲して解釈すべき」
×:「子供たちが自国の歴史に静かな誇りを持てる歴史教育を」→◎:「子供たちに自国の過ちを繰り返させる歴史教育を」
×:「損得を超える価値を教えよ」→◎:「損得だけが価値と教えよ」
×:「いじめは恥ずべきことであることを子供たちに教えるべき」→◎:「大人が弱い者いじめをしていることを子供たちに見習わせるべき」
×:「人間は一人では生きていけない」→◎:「一般人は結婚もせず子供も持たず一人で生きていけ」
×:「共生文化の素晴らしさ」→◎:「搾取文化のうまみ」
×:「畏敬の念を育む上での宗教の重要な役割」→◎:「服従の念を育む上での経団連の重要な役割」
×:「環境問題でも日本は積極的にリーダーシップを発揮したい」→◎:「労働環境破壊で日本は積極的にリーダーシップを発揮したい」
×:「米国に謝罪したということでは全くない」→◎:「国民に謝罪するということは全くない」
×:「安心して結婚し、子どもを産み育てることができる日本に」→◎:「富裕階級だけが結婚し、子どもを産み育てることができる日本に」
×:「子供を産み育てるということは崇高な営み」→◎:「子供を産み育てるということは富裕階級の特権」
×:「今こそ戦後レジュームを原点にさかのぼって大胆に見直すべき」→◎:「今こそ歴史に逆行し、戦前の専制体制に退行すべき」
×:「ダメ教師には辞めて頂く」→◎:「ダメ閣僚には辞めないで頂く」
×:「消費税を上げないとは一言も言っていない」→◎:「住民税を上げないとは一言も言っていなかった」
×:「成長を実感に!」→◎:「格差を実感に!」

2ch検索: [自民党]
http://find.2ch.net/?STR=%BC%AB%CC%B1%C5%DE&COUNT=50&TYPE=TITLE&BBS=ALL
Yahoo!ニュース - 意識調査 - 参院選で消費税引き上げの是非を問うべき?
http://polls.dailynews.yahoo.co.jp/quiz/quizvotes.php?poll_id=968&qp=1&typeFlag=1
リアヨロ! - リアルタイム世論調査@インターネット
http://www.yoronchousa.net/

注: 「美しい国」略して「美国」とは中国表記でアメリカ合衆国のことを指す。

投稿: kaibun | 2007.07.15 16:36

kaibunさん、面白い投稿ありがとうございました。
安倍さんは反対のことを言うにしても演技が下手すぎます。
ユーモアとかシャレが感じられないっすね。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2007.07.17 10:45

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55913/12158421

この記事へのトラックバック一覧です: 『憲法九条を世界遺産に』 太田光・中沢新一 (集英社新書):

« 『私のこだわり人物伝 寺山修司&松田優作』 美輪明宏&リリー・フランキー(NHK出版) | トップページ | 『ホテル・ルワンダ』 テリー・ジョージ監督作品 »